1 L 遅咲きのトレーナー
昼前 船上 sideライト
ライト「カントー地方かー。行くの初めてだなー。」
青い空の下、わたしは高鳴る胸の鼓動と共に呟いた。
ほのかに香る潮風がわたしの髪を靡かせ、波がたっているのか、時々水面から水しぶきがあがる……。
目線を上に向けると、隊列をなして[キャモメ]達がまるで船を導くように風を切っている……。
わたしがいる甲板には、わたし以外にも数人の人やポケモン達が船の旅を楽しんでいる。
…………あっ、わたしはライト。
とあるシリーズを読んでくれた人は知ってるよね?
わたし、トレーナーになる事にしたんだよ!
去年旅に同行した時は別の目的でだったけど、何回かバトルを体験させてもらったのがきっかけかな?
ライト「カントー地方ってどんな所なんだろう。」
???〈……確か、[マサラタウン]だったな。〉
と、わたしの近くで他のポケモン達とは雰囲気の違う白いポケモンが呟いた。
………実はわたし、ポケモンの言葉が分かるんだよ!
わたしは聞き覚えのある声を耳にして、その方に振り返った。
そこには、鞄を肩から掛けている一匹の[コジョンド]………。
………うん。間違い無い!!
ライト「オルト、久しぶり!!」
わたしはその[黒帯]を着けたポケモンの名前を呼んだ。
まさか、こんな所で会えるなんて思わなかったよ!!
オルト〈この声は……ライト!?〉
ライト「うん。久しぶりだね!オルトもカントー地方に行くの?」
オルト〈ああ。 書類を届けるように頼まれてな。ライトこそ、カントーに用事があるのか?〉
久しぶりの再会に、会話が弾む。
オルトは去年一緒に旅した仲間のうちの一匹なんだよ!
ポケモンだけど、文字の読み書きが出来て、手先が器用なんだよ。
ちなみに、仲間の中では2番目に強かったんだよ。
ライト「用事といっても、トレーナーになるためにね!」
オルト〈トレーナーか。旅するには最適だな。〉
ライト「うん。 オルトが行くって事は、シルク達もいるの?」
オルトがいるなら、可能性は高いよね。
オルト〈ああ。ユウキも、全員揃っているぞ。………シルクは凄い事になっているがな。〉
ライト「えっ?シルクが?」
今までも強かったけど、更に強くなったって事かな?
オルト〈そうだ。 フライもいつの間にか強くなっていて、今ではシルクに次いで強く実力だ。………あっ、見えてきたな。〉
へぇー、フライが……。
会うのが楽しみだなー。
船が進む地平線の先に、大陸が姿を現した。
…………いよいよだなー。
わたしはオルトの言葉に耳を傾けながら、旅の舞台となる大地をまっすぐ見つめた。
続く………。