弐拾伍 晴れない霧の謎
西暦7000 濃霧の森ベースキャンプ sideラテ
「………それでは、張り切っていくよ♪」
「「「「「おー!」」」」」
いつものかけ声、でも、今日のは何か違うようにかんじるよ。
だって、今日は全員で調査、しかも、普段は組むことがない人とできるからね。
でも、僕はベリーと離れるつもりはないよ。
「ラテ君、ボクと一緒に行かない?もちろん、ベリーちゃんもね。」
「フライと? うん!もちろん!」
「わたしもいいよ!」
えっ?いいの?
「フライはラテ君達と行くのね。なら、今日は別行動ね?」
「そうなるよね。 ボク達にはコレがあるから、情報交換が出来るからね。」
フライは耳元の通信機をいじりながら言った。
そういえば、そういう機能があったっけ?
「なら、シルク?ぼくと一緒に行ってくれる〜?」
「ええ。いいわよ。ついでに、伝説について詳しく話そうかしら?」
「いいの〜?」
「ええ、もちろんよ!ウォルタ君の夢と、今後のためにね!」
シルクは笑顔で答えた。
伝説って、昨日話していた事なのかな?僕には何のことかさっぱりわからなかったけど………。
だだ、何か重要な事っていうのはたしかだね。
……シルク、凄く真剣に話していたから……。
「うん、わかったよ。シルク達はどこを調べるつもりなの?」
「私達?私達はここから東の方に行くつもりよ。ラテ君達はどこへ行くつもりなのかしら?」
へぇー、シルク達はそっちにいくんだー。
なら、僕達は………、
「僕達は北に行ってみるよ。2人もいいよね?」
僕が勝手に決めたけど、いいかな………?
「うん、“悠久の風”のリーダーはラテでしょ?だから、私はどこまでもラテについていくよ!」
「2人の[絆]は本当に強いんだね? うん、なら、ボクは2人に任せるよ。」
2人共、ありがとね。うん、よし!
「じゃあ、ベリー、フライ、行こっか?」
「うん!」「そうだね。」
うん!いこう!
………
濃霧の森 sideラテ
あれから準備をして、僕達はベースキャンプを出発した。
僕達は準備できた頃にはもうシルク達は出発していたよ。
そして、僕達はダンジョンへの一本道をあるいている。
入り口までもう少しかな?
「ねぇ?ちょっときて!」
突然、ベリーが声を張り上げる。
「ベリー?どうしたの?」
「この石、綺麗じゃない?」
「石?」
僕とフライはベリーの元に駆け寄る。
うん、確かに、綺麗だね!赤く輝いているよ。
「三角錐の石だなんて、珍しいよ。とっておくと良いんじゃないかな?」
「うん!そうするよ。」
ベリーは見つけた喜びで声をあげながらそれを拾い上げた。
「あっ!暖かい!熱を発しているよ!」
「本当に珍しいね。ボクもそういうのは見たことがないよ。」
不思議な石だね。
「じゃあ、行こっか!」
ベリーは上機嫌でいった。
うん!
数分後 sideラテ
「[シャドーボール]!」
「[炎の渦]!」
「[目覚めるパワー]連射!」
僕はシルクには負けるけど、漆黒の弾を、ベリーは渦を巻く炎を、フライは紺色の弾丸、しかも沢山、それぞれ放った。
ベリーの炎が相手を拘束して、僕とフライので相手を倒す。
これはシルク達からアドバイスを貰って考えた、僕とベリーの連携技だよ!
これなら確実にダメージを与えられるでしょ?
これにフライがあわせてくれた。
「ラテ君、ベリーちゃん、腕上げたね!」
「これもフライ達のおかげだよ!」「[シグナルビーム]!」
僕達、最近、本当にがんばってるからね。………自分で言うのもあれだけど……。
話しているベリーにどこからか七色の光線が放たれた。
「ベリー![守る]!」
僕は前に躍り出て、薄緑色の層を作った。
ベリー、よそ見をしたら危ないよ!
「ラテ、ありがとう!」
「これくらい、当然の事だよ![電光石火]!」
言うとすぐに僕は放たれた場所であろう方向に向けて急加速した。
「!!?」
やっぱりいた。僕の技は命中。
「[突進]!」
僕は捨て身で突っ込む。
ちなみに、相手はニドラン♂(出現ポケモンを忘れたので、僕の独断で選ばせていただきます。 by@)。
「「っ!」」「ラテ君!ニドランに直接攻撃したら…………!」
僕は技の反動を受けた。
……ん?
「うっ!頭痛と吐き気が……。」
「……遅かったか………。」
何!?この感じ………、まさか、毒?
「ラテ君、ニドランの特性は[毒の棘]、だから物理攻撃は不向きだよ!」
えっ!?……そうなの?
「知らなかったよ……。」
ベリーも………知らなかったんだね?
「特性によって、有効な技が変わるから、覚えておくといいよ! はい、これ飲んで!」
うん、…わかったよ。
言いながら………フライはポーチから………薄紫色の液体が入った………小瓶を取り出した。
………何なんだろう……。
「フライ、これは何?」
僕と同じで、ベリーが不思議そうに聞く。
「シルクが開発した解毒薬だよ。すぐにでも飲んで!」
フライは蓋を開けながら言った。
………、
「……うん。」
とりあえず、飲んでみるよ……。
…………、美味しい。甘みの中にアクセントで酸味が効いている。
「……美味しい。」
「でしょ?それに、毒も消えているはずだよ?」
えっ!?…………ほんとだ!言われてみれば、頭痛と吐き気が治ってる!!
「……うん!」
「本当に!?フライ、それって売ってたりするの?」
僕も気になるよ。多分、[モモンの実]よりも効いた気がするよ。売ってたらきっと高いだろうなー。
「いいや、完全に手作りだよ。つまり、非売品だよ。」
へぇー。
今度作り方を聞いてみようかな?
うん。
僕達は再び進み始めた。
………
濃霧の森奥地 sideフライ
ラテ君達、強くなったね。2人の連携も、磨きがかかってるよ。
それぞれの技も威力が上がってるし、何よりも集中力が桁外れに向上しているよ。
ここまでこれば、一気に強くなるよ。
………こんな感じで、ボク達は深い霧が立ちこめる森を抜けた。
「………ラテ、フライ、ここも霧が深いね。」
「うん。ダンジョンで技を当てるのが大変だったよ。」
「ボクは地面タイプ、だから湿気は苦手で………。」
…………湿気ほど嫌いなものはないよ。
天候はどうしようもないから、我慢するしかないけど……。
「………とりあえず、もう少し奥に行ってみよっか。」
ここでラテ君の一言。
「うん。そうだね。」
この道、まだ続いているからね。
ボク達はまっすぐ延びる林道をひたすら進んだ。
数分後
「あっ!何か見えてきたよ!」
ベリーちゃんが声を張り上げる。うん、よく見えないけど、何かあるね。
もう少しで見えるかな?
ん?像?なのかな?
「これ、何だろうね。」
ベリーちゃんが不思議そうに言った。
「うーん、ボクもわからな………」
「へイ!ラテにベリー、それにフライさん、早かったな!」
………いよ。
そう言いきる前に、聞き覚えのある声。
この話し方、シザーさんかな?
「「シザーさん!」シザーさんもついたばかりなんですか?」
ボクは、とりあえず聞いてみた。
「自分は少し前に来たところだ。」
「そうなんですか。ところで、この像な何なんだろうね?」
ベリーちゃんがそれを触りながら言った。
「ヘイ、自分も分からないんだ………。側面に何か書いてあるが、読めないんだ。」
文字?誰かが彫ったのかな?
ラテ君、ベリーちゃんがすぐに見に行った。
「ラテ、どう?わかる?」
「…………ううん、僕も無理だよ……。これは古代の文字なのかな?全く検討がつかないよ……。」
古代の?
………これは見てみる価値がありそうだね。
「ちょっとボクにも見せてくれる?」
「うん。………あっ!もしかすると、フライなら読めるかもしれないね!」
ベリーちゃんがひらめいたように言った。
ええっと、どれどれ?
…………………、うん、間違いないね。
「……、これはボク達の時代の文字だよ。」
そこには[かな文字]と[漢字]で刻まれていた。
「読むよ。{グラードンの像に命の灯を灯せ。それが謎を解き明かすであろう。}…………意味ありげな記述だね……。」
つまり、この象の謎を解けば、何かが起こるって事だね。
「{命の灯}かー。全く解らないよ………。」
そう言ってラテ君もそれに触れる。
………謎が謎を呼ぶ……。疑問の輪廻にとらわれそうだよ……。
……………ここで4人全員が考えこむ。
………………、わからない。
数分後
「…………、わかった。」
沈黙を破り、ラテ君が声をあげた。
えっ!?わかったの!?
「ベリー? さっき拾った石、貸してくれる?」
「? いいけど?」
石? ああー、ダンジョンに入る前にベリーちゃんが見つけたあれだね?
「ありがと。」
ラテ君はベリーちゃんからそれを受けとった。
ラテ君は前脚では持てないから、くわえて持ち運んだ。
そして、ある一点で止まり、像のくぼみ…………あったんだ……………にはめ込んだ。
すると、像の目の部分が一瞬光り、それが全体に…………えっ!?これ、ヤバくない!?
「えっ!?何が起きたの!!?」
「ボクもわからないよ!!」
「ヘイ!とにかく、離れましょう!」
うん!何かあったら大変だ!
ボク達はこの像から10mぐらい距離をとった。
その間にも光りが強くなり……、………眩しくて目が開けられないよ………。
………………………………、収まった、のかな?
ボクは恐る恐る目をあけた。
…………、霧が、晴れてる………。
もしかして、この像は霧を晴らすための装置だったのかな?
うん、とにかく、謎が解けたね!
巻之伍 完 続く