弐拾泗 2人の宝物
西暦7000年 濃霧の森ベースキャンプ sideベリー
ウォルタ君と初めての探検、楽しかったなー。
短期間であんなに強くなってたからびっくりしたよ。
きっと、シルク達から習ったんだろうなー。
そんな訳で、ちょっと遅れたけど、無事に着いたよ。
…………着いたら着いたでシルク達のカミングアウト。
シルクとフライが過去のポケモンっていうのは知っていたけど…………、まさかシルクが伝説にでてくるエーフィーだったなんて…………。
シルク、伝説の偉人だったんだ……。
それなら、シルクの強さに納得がいくよ。
「………私達の事については以上よ。」
シルク達の話が終わって、今度は明日についてのミーティング。
…………、さっきのねつが鎮まってないけどね。
それも無理ないかな?
だって、小さい時に聴いた昔話の登場人物が目の前にいるんだよ!!
……ラテは記憶がないみたいだから、知らないみたいだけど……。
「シルクさん、フライさん、ありがとうございました♪水をさすようだが、ここで明日からの要項を説明する♪…………基本的に誰と組んでもいいが、調査の状況を随時私に伝えるように。いいな?」
フラットが簡単に説明…………、
「「もちろん!」」「わたっりましたわー!」「わかったでゲス!」「へイ!」「ええ。楽しみね。」「調査……研究者としての血が騒ぐよ。」
皆が一斉に返事、うん!もちろんだよ!!
「うん、みんなで頑張ろうねー!」
ここで親方様の号令。
「「「「「おーー!!」」」」」
皆が一斉に応じる。
うん!!
ここで、ミーティングが幕を閉じたよ。
……早かった………。
………
sideフライ
「「「「「おーー!!」」」」」
ラックさんの号令、やっぱり気合いがはいるよ!!
…………今、夜だけどね……。
「ここからは自由時間だ♪ただし、フライングして探検に出ないように♪」
うん、確かにそうだよね。もう夜だから、危険だもんね。
ここで一度解散になって、散り散りに……………、
「シルクさんにフライさんは大昔のポケモンだったんでゲスね!?」「キャー凄いですわー!」「シルク、シルクって伝説にでてくるポケモンだったんだね!?」「そんなに凄い人だったんだね〜?」
ならなかった。
理由は言わなくてもわかるよね?
………きっと、質問攻めになるんだろうなー。
「5000年前はどんな感じだったんでゲスか?」
すぐにブラウンさんが質問。
「想像出来ないかもしれないけど、何層にもなる建物が林立している街もあれば、自然豊かな町もあるのよ。」
「どの街も凄く魅力的で、特産品があったり、観光名所があったり……、千差万別なんです。」
誰もが興味津々で聴いてる。
それもそうだよね。
「へイ!シルクさん達はどんな生活をしていたんだ?」
今度はシザーさん。
「私達、ポケモンは野生でのびのびと生活している人もいれば、人間と苦楽を共にして旅をしたり、働いたり、人によって様々よ。………野生といっても、自我がないポケモンは誰一人
いないわ。ちなみに、私もフライも、元々は野生なのよ。…………私には野生だった記憶がほとんどないけどね。」
シルクは笑顔で話しているよ。
…………最後の一言は少し顔が引きつってけど……。
「ちなみに、ボク達は人間、その人達をトレーナーって言うんだけど、その1人とシルクを含めた7匹で自身を鍛える旅、そして、伝説の調査をしていたんです。」
ボク達は各地のジムを巡っていたんだよ。
「………もう少し話したいところだけど、今日はこのくらいにしておこうかしら?今日も疲れているからね。」
それもそうだね。明日から調査だしね。
「そうですわねー。」
「ここで一旦解散だね〜。」
「うん、じゃあ、明日ね。」
「そうでゲスね。」
うん!明日から頑張ろう!
ボク達は散り散りにテントに入っていった。
ちなみに、ボク達はウォルタ君とラテ君達と同じところだよ。
………
テント内 sideシルク
今日も長い1日が終わったわ。
たぶんこの時代に来てから一番忙しい日だったわ。
でも、充実していてとても楽しかったわ。
「ねぇ?シルク、フライ。ちょっと見てほしいものがあるの。」
横になってリラックスしていると、ベリーちゃんが突然話を始めたわ。
見せたい物?
「「遺跡の欠片の事だね?/〜?」」
ここでラテ君とウォルタ君の声が揃ったわ。
2人は見たことがあるのかしら?
「「遺跡の欠片?」」
私達もハモる。
「うん。これなんだけど…………。」
ベリーちゃんは鞄から何かの破片?みたいな物を取り出したわ。
ただの石にしか見えないけど………。
「石?」
「うん。でも、ここをよく見てみて〜。」
ウォルタ君が前脚である一点を指したわ、
…………ん?模様?なのかしら?
「何かの模様が描かれているわね……。こんな模様、見たことがないわ………。」
「うん。ボク達の調査不足なのかもしれないけど、ボク達が知っている伝説では見たことがよ。」
まさに“幾何学的”ね。
これは調べてみる価値がありそうね。
「これ、わたしの宝物なんだよね。………わたしはこの欠片の謎を解くのが夢なんだー。」
「ロマンがあっていいね。」
「夢ねー。ベリーちゃん、応援するわ!」
ベリーちゃん、頑張ってね!
努力すればいつか達成できるわ!
「シルク、フライ、ぼくのも見てくれる〜?」
今度はウォルタ君、あなたもあるのね?
「ええ。」「うん。どんなものなの?」「そういえば僕も気になるよ。」
ウォルタ君は鞄からまん丸で白い石を取り出したわ。
……………ん?白い石?
どこかで見たような………………。
「綺麗で………」
「ウォルタ君、ちょっと見せてくれるかしら?」
「し………えっ?」
私はウォルタ君の言葉を遮った。
この石、以前にも見た気がするわ…………。いつだったかしら……。
「「「シルク、どうしたの?」」」
フライ、ラテ君、ベリーちゃんが不思議そうにきいたわ。
「私、これを見たことがあるような気がするのよ。」
ええっと、いつだったかしら…………?
確かフライと出逢う前だったような…………。
だとしたら、イッシュ地方を旅している時…………。
イッシュなら、私達の旅の目的が大きく代わった時………。
その時に[絆]の名を授かったから………。
ん?[絆]?[絆]といえば、[友情]、[志]、[理想]、[真実]………。
確か[理想]は黒で[真実]は白………。
白くて丸い石といえば、砂漠の遺跡で見つけた…………………。
………!!?まさか!?
もしかして!?
いや、でもあれは偽物が多かった…………。
でも、この感じ……………、断定は出来ないけど、可能性はかなり高いわね。
ここまで綺麗な球体は5000年前の技術でも作り出すことは不可能…………。
………だから、残る可能性はただ1つ………。
「ウォルタ君、私はこの石のことを知っているわ。…………おそらく、[ホワイトストーン]である可能性が高いわ。」
「「「「[ホワイトストーン]?」」」」
一同が声を揃える。
「ボクも知らないよ。」
フライにも話したことがなかったからね。
「まずウォルタ君、あなたは学者になって何を一番したいのかしら?」
まさかとは思うけど………、でも、これは所有者を選ぶ………。
「ぼくは学者になって、伝説を調査して、誰も発見していない歴史に埋もれた、[真実]をつきとめたいんだ〜。」
「!!?」
まさか……、[真実]という言葉が出るなんて…………偶然にしては……都合が良すぎる………。
いや、それもとも必然?
もしかして、“あの人”がウォルタ君が選んだということ??
だとしたら…………。間違いないわね…。
「フライ、ラテ君、ベリーちゃん、特にウォルタ君は落ち着いて聞いてくれるかしら?」
「シルク?そんなに真剣な顔をしてどうしたの〜?」
ウォルタ君…………。
「ウォルタ君、心して聞いて。この[ホワイトストーン]は伝説のポケモン、[レシラム]が姿を変えたもの………。」
「「「「[レシラム]?」」」」
4人の頭上に疑問符。
私は構わずに続ける。
「フライ、クロさんと対になる種族と言ったら分かるかしら?」
「えっ!?クロさんと!?シルク、ってことは………まさか………。」
フライはわかったようね。
クロさんは、私の知り合い……、いや、切っても切れない関係………。
種族は[ゼクロム]。
「ウォルタ君、[絆の従者]として言わせてもらうわ。…………ミズゴロウのウォルタ、あなたは[真実の使者]、[レシラム]に[真実の英雄]に選ばれた。ウォルタ君、この事は誰にも話さないように……。」
「えっ!?でも、[真実の英雄]って………」
ウォルタ君は慌てているわ。
むしろ、慌てないほうがおかしいわ。
「そうよ。あなたには底知れない[真実]を求める心が秘められているわ。[真実]を求める心が最高潮に達した時………、[レシラム]を復活させた時、あなたは正式に[真実の英雄]に任命される。」
「でも、シルク!?[英雄]になれるのは人間だけのはずだけど〜?」
ウォルタ君が聞き返す。
「よく考えてみて。この時代には人間がいない。だから、選ばれるのは必然的にポケモンになる。ボクは伝説には関わってないけど、そう断言出来るよ。」
フライが付け加える。
自動的にそうなるわね。
「……だとしたら………ウォルタ君は………。」
ラテ君が言ったわ。
「そうよ。ウォルタ君は伝説の当事者になるということよ。」
「ぼく…………ぼくって………。」
ウォルタ君はおそらくパニック状態。完全に取り乱しているわ…。
…………私も予想外だったわ………。
私がもしウォルタ君の立場だったら、こうなっていたと思うわ。