拾参 特訓の成果
西暦7000 オレンの森 sideシルク
《シルク、見つかったよ!今すぐ来て!!》
私達が捜索していると、待ちに待った吉報。ようやくね。
「!? ええ、わかったわ!すぐに向かうわ!」
《うん。一発打ち上げるから、頼んだよ!!》
プツッと音がして、通信が遮断された。
「シルク、見つかったの?」
「ええ。どうやらそうらしいわ。」
知らせが入ったってことは、確実ね。
「でも、どこだろう………。」
ベリーちゃんはこまったように言ったわ。
場所は何もいってなかったから………あっ、黒い球!
あれはおそらくフライの[目覚めるパワー]ね。
「あっ!あれって………。」
「そうよ。フライの[目覚めるパワー]よ。ベリーちゃん、今からあなたに[サイコキネンシス]をかけてもいいかしら?」
「えっ!?」
ベリーちゃんは驚いて声を張り上げた。
私の技を今まで見てきたがら、驚くのも当然よね。
「ダメージを受けないように調整するから、安心して。それに、走る分の体力が温存されるから。そのほうがいいでしょ?」
「………うん、そうだね。」
それに、ベリーちゃんは二足歩行、私は四足歩行だから、スピードは私の方が速いからね。
………敢えて言わなかったけど……。
「話は決まったわね。[サイコキネンシス]!」
ベリーちゃんちゃんが同意したのを確認すると、私はベリーちゃんを優しく浮かせたわ。
ベリーちゃん、やっぱり驚いているわね。浮遊するなんて、滅多に体験談出来ないことだからね。
「凄い!!わたし、浮いてる!!こんなことも出来るんだー!」
ベリーちゃんの瞳が太陽のように輝いた。
「さあ、いくわよ!!」
「うん!」
ベリーちゃんと目を合わせ、互いに頷いた。
そして、私は四肢に力を込めて全力で走り出したわ。
フライ、ラテ君、今いくわ!!
………
同刻 sideラテ
「[目覚めるパワー]! よし、5分もすれば来ると思うよ。」
……でも、そんなに早く来れるのかな………。
あっ、今の状況を説明すると、少し前に、お尋ね者のラクライを発見したんだ。
幸い、まだ気付かれてないからフライにシルクに知らせてもらったんだ。さっき言ってた通信機っていうものでね。
それから、フライは特大の紺色の弾、[目覚めるパワー]を今放ったところだよ。
…………凄い大きさ……しかも凄く短い時間で溜まってる。
実際に溜めてみてわかったけど、凄く難しかったよ。
ええっと、こんな感じかな?
「そんなに早く着くの?」
僕は疑問に思ってフライに聞いた。
「シルクなら、きっと可能だよ。たぶんベリーちゃんに[サイコキネンシスをかけて来る筈だからね。」
「えっ!?あの技を!?あんな強力な技を操っている、[サイコキネンシス]で!?」
あんなに強いのに、僕達ではとても耐えられないよ。シル……
「大丈夫。シルク曰わく、[サイコキネンシス]は強さを調節できるみたいだから。」
「えっ!?そうなの?」
加減できるんだね!?
「うん。だから、ベリーちゃんは殆どダメージを受けないはずだよ。」
良かった。
「安心したよ。 とりあえず、僕達はベリーとシルクを待たないといけないね。」
「うん。もちろん、見張るのも忘れずにね。」
そうだね。
5分後 合流
「フライ、ラテ君、待たせたわね。っ!」
予定通り、シルク達が到着した。
フライの予測が当たったよ。ベリー、浮いてたから。
「早かったね。」
「ええ、全力でとばしてきたからね。」
シルクは笑顔で答えた。息、もう整ってる。
「ラテ、これが今日最後の依頼だね?」
「うん。シルク、フライ、ここは僕達だけでいきます。」
一応確認だけど、シルク達はいわゆる一般人。……僕達とは比べものにならないくらい強いけど………。
「ええ、そうね。」
「これは[依頼]だからね。ボク達は別件の依頼主、ボク達の出る幕じゃないからね。」
フライの言うとおりだよ。
「ベリー、いくよ!」
「うん!」
僕達は気合いを入れて、目的の
人物の元に走った。
「お尋ね者のラクライ、やっと見つけたよ!」
僕は大声で叫ぶ。
「!!?折角の隠れ家だったのに、もう見つかったか!?もしや、テメェら、探検隊か!?」
口が悪い……やっぱりそうだ。
「わたし達は探検隊、[悠久の風]、君を逮捕しに来たんだよ!!」
ベリーにも力がこもる。
「出来るものなら、やってみろ!![電気ショック]!」
言うや否や、ラクライは電撃を放った。
「ベリー、いくよ![電光石火]!」
「うん![気合い溜め]!」
ベリーが志気を高めている間に、僕は高速で接近する。
放たれた電撃は空を斬った。
僕はそのまま突っ込ん……
「甘いな。[放電]!」
「!?っ!」
だのが間違いだった。直撃は避けたけど、そこそこダメージを受けた。
「ラテ!!大丈夫!?」
「うん、まだ…いけるよ。」
ここでくたばる僕じゃないよ!
「なら、まずはこの種で…えいっ!」
ベリーは接近しながら、小さな種、[縛られの種]を相手に投げつけた。
「!?っ、しまった!?」
見事に口にホールインワン。ラクライは麻痺状態になった。ベリー、ナイス!
「ラテ!今のうちに回復してて!わたしが時間を稼ぐから![火の粉]!」
「うん、ありがとう!」「俺としたことが……油断した……。」
ベリー、助かったよ。
ベリーは嘴に炎を溜め、小球にして一気に放った。
僕はその間に体勢を立て直した。
「くっ! [噛み砕く]!」
「きゃっ!」
炎球は命中したけど、近かったからベリーは噛みつかれた。
「ベリー!![シャドーボール]!」
僕はとっさに漆黒の弾を放つ。
「何っ!?[シャドーボール]だと!?うっ!」
意表をついたみたいだね。シルクありがとう。
僕の技を受け、ラクライはベリーを放した。
「ベリー、大丈夫!?」
「ううっ、ちょっと……キツいかな……。」
ベリー、顔を歪めてる。ベリーはこのまま闘うのは危ないかもしれない……
「下がって回復してて!僕が引きつけるから!」
「うん、……お願い。」「よくも、俺に……ここまで……、[放電]!」
ベリーはなんとか後退した。
!?ラクライ、とうとうなりふり構わなくなってきた。
さすがに厳しいかも……。
僕は放たれた電波を跳んでかわす。だけど……
「[電気ショック]!」
「しまっ……っ!!」
着地する寸前に追撃を受けた。
……、威力が……上がってる。……まさか、[充電]を………したの?
「どうやら………テメェらも、ここまでの……ようだな……。」
マズい………このままだと………っ!起き上がれない。………!?まさか、麻痺!?こんな時に………。
「これで……最後だ!!」
麻痺て動けない……僕をめがけて……走ってくる。
ダメだ……やられる………。
あきらめかけたその時、
「ラテ!!こういう時こそ[集中]しないと!! 当たって!!」
ベリーが叫びながら、[鉄の棘]を投げた。
……はっ!そっか!
「!?っ!」
僕はまだ完全に……[集中]出来てなかったんだ!
「貴様!!」「ベリー……ありがとう。おかげで……肝心な事を……思い出したよ。」
ベリーの言葉で我にかえった。
僕はそのまま目を瞑る。
「[つつく]!」
感じる。ベリーが風をきる音が。
たぶん……僕からの距離は……5Mぐらい。
「くっ!」
音からすると、命中。? よし、痺れが解けた。
今のうちに……溜めておこう。
「シャドーボール]!」僕は目を閉じたまま……相手に聞こえないように……小声で……唱えた。
「[噛み砕……]」「[火の……」
よし、溜まった!
感じる温度からすると、僕の正面にいるのはラクライ。
よし!
「[………く]!」「[……粉]!」「これで………最後!!」
「!!?」「えっ!?」
僕は驚きの声をあげている2人は無視して、目を見開いた。
やっぱり、ラクライが正面だ。
僕は……溜めた漆黒のエネルギーを……標的に向けて……放った。
「いつの間に!?ぐわっ!」
当たった。
ラクライは2、3M飛ばされた。そして、気を失った。
「……終わった?」
「……うん。そうみたい……だね。」
うん、なんとか……倒せたね。
集中すると……ここまで……威力が……変わるんだ……。
身をもって体感できた……気がするよ。
こうして……今日最後の依頼は……無事……成功に……終わった。