九 ダンジョンの性質と捜索
西暦7000年 オレンの森入り口 sideシルク
私達はラテ君達の探検隊、“悠久の風”にある依頼をして……、
「ここがさっき話した、僕達の目的の場所、[オレンの森]だよ。」
別の依頼のために昨日とは違う森に来ているわ。
日当たりも良さそうね。
「ラテ、今日の依頼は中奥部でウパーの救助、奥部でお尋ね者のラクライの討伐、そしてシルク達だね?」
「うん。3つであってるよ。シルク達のは一応、道案内になるのかな?」
2人は依頼の確認、重要よね。
「そうなるのかもしれないね。ボク達は2人について行くことになるからね。」
フライもそれに応じたわ。
「シルク、フライ、準備はできた?」
ラテ君が笑顔でふりむいて聞いた。
「私の荷物はこれだけだから、大丈夫よ。」
「ボクも準備出来てるよ。」
私達、鞄と通信機しか持ってないからね。
「じゃあ、行こっか!」
ベリーちゃんが確認して、先陣をきったわ。
………
オレンの森 浅部 sideシルク
この森、のどかねー。
木漏れ日が暖かいわ。
「シルク、フライ、まず始めに、ここは[ダンジョン]という構造なんだよ。」
少し歩いて、ラテ君が説明を始めたわ。
でも、ダンジョンって何かしら?初めて聞くわね。
「ダンジョンって?」
フライが聞き返して、
「入る度に地形が変わるんだよ。この時代では、洞窟とか森のほとんどが[ダンジョン]なんだよ。」
ベリーちゃん、そうなの?
「地形が、変わるのね? ……ほとんどが[ダンジョン]ってことは、昨日の森をそうなのかしら?」
その可能性があるわね。
「うん。」
「1つ気になるんだけど、ここのポケモンはどうして正気を失ってるの?」
フライ、私も聞きたかったわ。
これがこの時代の一番の謎よね。
考えれば考えるほど疑問の
輪廻に捕らわれて………。
………頭が痛くなるわ……。
「ええっと、確か周辺の時空が歪んだ影響でバランスが崩れたからだったかな?………どうして時空が歪んだのかは誰も知らないけど………。」
ベリーちゃんが思い出しながら言った。
……とにかく、深い訳があるのね?
「なるほどね。」
やっと謎が解けたわ!
つまり、突然それに巻き込まれて、その影響でなったというのね?
「ベリーちゃん、ラテ君、わかったわ。 整理すると、ここに住んでいた人達は謎の自然災害の被災者という訳ね。」
この人達を救う方法はあるのかしら……。
「言い忘れたけど、ダンジョンに落ちている道具は誰の物でもないから、自由に持ち帰って使ってもいいんだよ。」
あっ、拾ってもよかったのね?
なら、わざわざ店で買わなくてもいいわね。
「拾ってもよかったんだね?」
「うん!いろんな種類があって、回復アイテムとか、闘いに使えるもの、お金も拾えるんだよ!」
「「えっ!?お金もいいの!?」」
ウソでしょ!?ベリーちゃん、お金まで落ちてるの!?
もしかすると、あのメダルがそうなのかしら?
「うん。僕達にとっては貴重な収入源なんだよ。………うちのギルド、謝礼金の9割を持ってくから………。」
制約、厳しいのね。
「でも、そんなに拾ってもなくならないの?」
私はふと思ってきいてみたわ。
「……何故か知らないけど、次来たときには湧いてるんだ……不思議だよねー。」
「ってことは、取り放題なんだね?」
「うん!見つけ次第、効果とか、使い方を教えるね!」
ええ、わかったわ。
「2人とも、だいたいわかったわ。ありがとう!」
私は笑顔で言った。
………
数時間後 中奥部 sideラテ
僕達はあの後、闘いながら順調に進めた。
闘いながらシルクに教えてもらったしね。この技、凄く便利だよ!だって、近づかなくても攻撃出来るんだよ!
えっ?何を教えてもらったのかって?それは………、
「[シャドーボール]!」
「大分形になってきたわね。」
そう、シルクも使えるシャドーボール。まだ威力は弱いけど、なんとかなるよね?
「本当に?」
「うん。今は3、4発当てないと倒せないと思うけど、練習を積めば威力も上がるから、
安心して!」
フライが励ましてくれた。
「[シャドーボール]については以上よ。」
「ラテ、良かったね!」
ベリーも祝福してくれた。ちょっと嬉しいよ。
「あっ、ラテ?もしかしてあの人が依頼主じゃないかな?」
えっ?どこ?
「確か、[ウパー]だったわよね?なら、左のほうよ。」
左? あっ、ほんとだ。
「この森にはいない種族だから、間違いないね。」
ここにはポッポとか、コラッタとかしかいなかったから、確実だね。
僕達はそのポケモンの方に走って(フライは飛んで)いった。
「あなたが依頼主だね?」
ベリーが話しかけた。
「………えっ?……あなた達は……?」
「僕達は探検隊“悠久の風”、あなたを助けに来ました。」
「もう大丈夫だよ。」
僕もベリーに続く。
「探検隊……、!助けに来てくれたんですね!?」
依頼主のウパーは僕達が探検隊だとわかると、声が明るくなった。
この瞬間が一番やりがいを感じれるんだよね。
「うん、だから安心して!」
「はい!」
「僕達はまだ他の依頼があるから直接送れませんが、いいですか?」
本当は一緒に脱出するのが一番安心なんだけど、まだ依頼が残ってるから仕方ないよね。
「それでいいですよ。」
ウパーさんは了承してくれた。
僕はバッグに取り付けていたバッチをウパーにかざした。
すると、ウパーはバッチからの光に包まれて姿を消した。
………
sideシルク
ラテ君達は無事に依頼主を見つけたわ。
ウパーさん、安心して座り込んでいるわね。
「それでいいですよ。」
ウパーさんがそう言ったわ。
その時の私達はというと、ラテ君達の様子を近くで見ていたわ。
私達の出る幕ではないからね。私達も依頼主だから。
そうこうしているうちに、ラテ君が鞄から何かを……ちょうど死角になって見えないわね……取りだした。
ん?今、何かが光ったわね?気のせいかしら?
「ラテ、これでひとつは解決したね!」
「うん。次はお尋ね者の逮捕だよ!気を引き締めよう!」
「うん!シルク、お待たせ!」
ラテ君の喝入れ、気合いが入るわね。
「ええ、大丈夫よ。」
「ボク達も拾った道具の整理ができたから、むしろよかったよ。」
確かにそうね。
とりあえず、鞄の大きさから、フライはPP マックスとかの回復アイテム、木の実類、銀の針(飛び道具らしいわ)、種何種類か、私は木の実類、木の枝(合わせ技に使えそうね)、不思議玉(いろんな種類、効果があるらしいわ)、グミ(タイプによって好みがあるらしいわね。元の時代にもあったけど、違いはあるのかしら?)をそれぞれ持つことにしたわ。持てる数が限られているからね。
「うん。じゃあ、行こっか。」
ええ、そうね。ラテ君、ベリーちゃん、フライ、いきましょ!
ラテがまず歩きだして………あれ?何か忘れてるような………。!!?
「「えっ!?ウパーさんは!?」」
えっ!?さっきまでいたわよね!?一体どこにいったの!?
私とフライは声を揃えて驚いたわ!
「ラテ君!?ベリーちゃん!?ウパーさんは!?」
フライも驚いて聞いたわ。
また謎が……………。
「このバッチを使って送り届けたんだよ!」
そうそう、瞬間移動をさせてねー………えっ!?
「えっ!?送り届けたの!?どうやって!?」
でも、一歩も動いてなかったわよね!?
「このバッチを使ったんだよ。このバッチが出す光を浴びると、一瞬でダンジョンから脱出できるんだよ。」
ラテ君、そんな効果が………。5000年も経つと技術も進歩するのね。
「へぇー、そんな効果があるんだー。」
「わたし達、探検隊のために開発された最新技術なんだよ!」
「技術も進歩してるのね。」
納得、そういうことね。
「ってことは、昨日も使ったのかしら?」
整理すると、そうなるわね。
「うん!だからわたし達、これに凄く助けてもらってるんだよ!」
バッチ様々ね。
………とにかく、また謎が解けたわ!