八 活気づく繁華街
西暦7000年 トレジャータウン sideシルク
さっきの三人組、本当に腹が立ったわ。
正論を言ったラテ君に仇で返すなんて……。
えっ?あの後はどうなったかって?
換気するついでに吹き飛ばしてやったわ。
朝からそんな事があって……、
「ええっと、トレジャータウンはこんな感じだよ。」
ラテ君達に案内してもらっていたわ。
時刻は朝8時半、道具屋に銀行、雑貨屋、倉庫も早くから営業しているのね。
「うん、だいたいわかったよ。」
「助かったわ。住みやすそうな街なのね。気に入ったわ。」
食料品売り場もあって、日常生活には困らなさそうね。
「わたしの事じゃないけど、嬉しいなー。」
ベリーちゃん、本当に嬉しそうね。
「あっ、ラテ君、ちょっと雑貨屋を見ていってもいいかしら?」
私はいくつかある店のうちの一軒の前で立ち止まって、提案した。
「うん、いいよ。でも、何を買うの?」
ラテ君は首を傾げて聞いた。
「鞄よ。調査するのに手ぶらだと何かと不便でしょ?」
「ボク達はこの通信機しか持ってない状態でタイムスリップしたからね。」
「うん、わかったよ。でも、お金持ってるの?」
私達は当然持ってる訳もなく……、
「一銭もないわ。」
困ったわね……。
「持ってないなら、僕が出そっか?」
「えっ?いいの?」
「うん!困った時はお互い様でしょ?」
2人は笑顔で返してくれたわ。何から何まで頼ってばかりで申し訳ないわ……。
「本当にありがとね。貯まったらすぐに返すわ。 で、この時代の鞄は何円が相場なのかしら?」
私は2人に聞いた。
「円?お金の単位のこと?」
えっ!?円じゃないの!?
……よく考えたら、5000年も経ってたら通貨単位が変わってないほうがおかしいわね。
「うん。ボク達の時代では、それが通貨の単位だったよ。 その様子だと、違うんだね?」
「うん!ここでは、“ポケ”が使われているんだよ。」
ポケ?初めて聴くわね。ドルとかユーロなら知ってるけど………。
「話を戻すと、値段は1000ポケぐらいかな?」
なるほどね。 レートは変わらないのね。これなら混乱しなくて済むわね。
「1000ポケだね?わかったよ。」
フライがそう言ってから、私達は開店したばかりの雑貨屋に入っていったわ。
………
20分後 sideシルク
私はショルダーバッグを、フライはウエストポーチタイプの物を選んだわ。
「お代は2000ポケだよ〜!」
「はい。」
ラテ君は私達の代わりに店主と思われるマッスグマに払った。
「毎度あり〜!」
私達はそれぞれ受けとって、店をあとにしたわ。
「ラテ君、いろいろと悪いわね。」
「ううん、気にしないで!技を教えてもらえるんだから、これくらいしないとね。」
ラテ君は笑って答えた。
ありがとう。
私達が雑談をしながら歩いていると、
「あっ!ラテさん、ベリーさん、おはようございます!」
私とすれ違ったマリルが元気よく言った。
ルリリも一緒だね。兄妹かしら?
「ブルーくんにシズクちゃん、おはよー!」「おはよう!」
「うん!おはよう!」
ラテ君達と仲がいいのね。
「ブルーくん、今日はどうしたの?」
ベリーちゃんがマリル、ブルー君に聞いた。
「朝ご飯がおわったから、散歩に行こうとおもったんです。 ん?ラテさん、この人達は?」
ブルー君、しっかりしてるわね。
「この人達とは昨日知りあったんだよ。」
「はじめまして、私はエーフィーのシルク、よろしくね。」
ブルー君に聞かれ、私は笑顔で答えたわ。
「ボクはフライゴンのフライ、よろしく!君達は兄妹なんだね?」
フライも同じようにおうじたわ。
「よろしくお願いします!」「よろしくね!」
この2人、元気いいわね。私まで明るい気持ちになるわ。
「シルクとフライは、この辺では珍しい考古学者なんだよ。」
「それに、バトルでも凄く強いんだよ!」
2人は明るい声で私達の説明をしてくれたわ。
凄く強いってのは言い過ぎだけど。
「考古学者なんですかー。何を専門にしているんですか?」
ブルー君、私達に興味津々ね。
「2000年……、いや、7000年前の伝説だよ。」
「神話とか、伝承が私達の研究テーマよ。」
「そうなんですかー。今度、それについて聞かせてもらってもいいですか?」
ブルー君に目を輝かせて言った。歴史に興味があるのね?
「うん。ボク達はいろいろと調べたから、次会ったときに話すよ。」
「本当ですか!?」
「ええ、もちろんよ。」
私達は快く承諾したわ。
「ありがとうございます!!」
ブルー君は直角に近いぐらいのお辞儀をしたわ。よっぽど嬉しかったのね。
こうして、私達にこの時代での知り合いが増えたわ。
巻之弐 完 続く