絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之拾参 来たるべき明日のために
七拾八 闇に染まりし時の化身
西暦7000年 幻の大地遺跡 sideシルク

「…………ぐっ……この私が……………負けるとは………。………っ!!」

悠然としていたシャドウが、とうとう崩れ落ちた。

「…………しゃ……………、シャドウ様が………」
「………やられた………!?」
「ひ………、ひとまず………撤退………するぞ……!」

この光景をみた[ヤミラミ]は一目散に逃げ出した。

「シャドウ………、お前はいい部下を持ったな……。」
「本当にそうね。 どこまでも忠実に就いてくる部下はそんなにいないわ……。」

確かにそうね。

「………っ。」
「あっ、良かった。気がついたね!」
「……シャドウは………?」
「ウォルタ君、無事に倒したわよ。」

意識が回復したウォルタ君に、私は優しく語りかけた。

ウォルタ君、無事で良かったわ。

ウォルタ君はすぐに翼を支えにして立ちあがった。

「ウォルタ……、なんだよね?無理しないで。」

ベリーちゃんが心配そうにのぞき込む。

「……何とかね……。ベリー、心配かけて……ごめん。」
「そんな事ないよ! ウォルタ君が無事ならそれで十分だよ!」
「拙者も、同感だ。 無事で何よりだ。」
「………ウォルタ………で、合ってるよな……?お前は一体……。」

徐に、立ち尽くしていた[ラグラージ]が口を開いた。

この人は、誰?

「うん。合ってるよ。……父さん、ぼくの事は後で話すから、さっき言おうとしていた事、教えてくれる〜?」

「「えっ!?お父さん!?」」

えっ!?この人が!?

「シルク、フライ、そうだよ〜。この人がぼくの父さんだよ。金のネックレスをしてるでしょ〜?」

確かに、首にかけられているわね。

あと、左目を裂くように入った傷、どうしたのかしら……?

「そういえば、そうだったね。」
「じゃあ、来なさい。[証]を持ってる彼女も一緒に。」
「えっ?私も!? うん。」
「じゃあ、いこっか〜。」
「一応、ボクもついて行ってもいいかな?」

フライも名乗りを上げたわ。

「構わなくが、あなたは?」

彼が不思議そうにフライに質問したわ。

「あっ、ボクは考古学者のフライです。」
「考古学者ですか。なら、どうぞ。」


そう言って、ウォルタ君、彼のお父さん、ベリーちゃん、フライは階段を駆け上がっていったわ。

………

sideフライ

「で、どうやって行けばいいの〜?」

石段を登りきると、ウォルタ君が口を開いた。

「………この石碑に作動方法が書いてある事はわかったんだが、文字が読めなくてな………。」
「読めない? ならフライ?どう?」

ベリーちゃんがボクのほうを向いて尋ねた。

「読めないんですね。 ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「………ということは、古代の文字の専門………」
「いいえ、ボクの専門は伝承です。」

ボクは彼の言葉を遮りながら、その石碑に近づいた。

………うん、大丈夫だね。

「フライ、どう〜?」
「……大丈夫、読めるよ。これはボク達の時代の文字だね。………ええっと、{証を窪みにはめれば、[虹の石舟]は作動する}…………。ってことは………ベリーちゃん、[証]をはめてみて。」

この石碑が正しければ、きっと…………。

「うん。…………よし、はめたよ!」

ボクの指示通り、ベリーちゃんがそれをはめ込んだ。

「「「「!!!なに!?」」」」「!?」

ベリーちゃんがはめるとすぐ、足元の紋章が輝きだした。

「もしかして、作動した!?」
「かもしれないよ!」

次第に、機械音に似た音が響き始めた。

………

sideシルク

「あっ、作動したわね。」

階段の上から、何かの音が響いてきたわ。

「よし、良さそうだな……」
「………させて、なるものか……!!」

「「「!!?」」」」「っ!」

突然、シャドウがグラスさんを突き飛ばした。

!? まだそんな体力が!?

「グラスさん!!」「お前らもろとも、[未来]に連れ帰ってやる!!」

すると、奴の背後に黒い渦が現れた。

「クソっ!!」
「なっ、何をする!!

グラスさんは抵抗する奴につかみかかった。

「「「!!?」」」「うおぉぉぉ!!」

そのまま渦に押し込む。

まさか、グラスさん!?

「みんな、準備………!! 何!?これ!?」
「俺は、コイツをみちづれに[未来]に帰る!!」

「「えっ!?グラスさん!?」」

私とチェリーは声を揃えた。

「クソっ!放せ!!」
「もう少し黙ってろ!!ラツェル!俺はお前に出逢えて本当によかった!!」
「グラスさん!」
「本当は、最期まで成し遂げたかったが、ここでお別れだ!それにチェリー、最期まで俺のわがままにつきあわさて悪かったな!」
「そんな事ないわ!! わたしも、あなたに逢えてよかった!! だって、グラスさんに逢わなかったらシードにもシルク達にも会えなかったもの!」
「…………ベリー、だったな。ラツェル………、ラテの事を頼んだぞ!!」

「「「「「グラスさん!!!」」」」」

それだけ言い残し、グラスさん!!!は奴と共に渦に飛び込んだ。

黒と緑の影が入ると、渦は消滅した。

「…………行っちゃった………。」
「グラスさん…………、あなたの思いは無駄にしないわ……。」

きっと、グラスはこれからの[未来]を案じて言葉を遺したのかもしれないわね。

「……………行かなきゃ………。」
「うん……。」

ラテ君、ベリーちゃんが声を揃えた。

「………でも、どうする……?ボクはもうエネルギーが残ってないうえに[PPマックス]も切らしているし………。」
「わたしも残ってないよ………。」

肝心なのは、誰が行くかよね………。

今、エネルギーが残っているのは私、シロさん、ラテ君、シードさんだけ………。

「……なら、僕のを使ってください。 ベリーさん、でしたよね?どうぞ。」
「シードさん……、いいの?」

シードさんが、最後と思われるそれを取りだした。

「はい。…………最後なので、チェリーと一緒にいたいんです………。」

そっか………。チェリーは消滅してしまうから………。

シードさんが消え入りそうな声で言った。

………気持ちは痛いほど分かるわ………。

「ならフライさん、相性を考えて、わたしのはあなたに託すわ。」
「………いいんですが………?」

チェリーも、それをさしだした。

「ええ。 頼んだわよ!」

彼女は言葉を強めた。

「……ウォルタ君は、動けそう?」

私は、何とか立っているウォルタ君に尋ねた。

…………でも、無理そうね……。

「…ぼくは無理かも………。シロは〜?」
「拙者は、入り口が狭くてはいれない故、不可能だ。 故に、直接頂上に向かわせてもらうとしよう。」

確かに、シロさんは入れないかもしれないわね。

「……となると、残りは私ね? ………わかったわ。私も行くわ。」
「シルクも? なら心強いよ!」

[ディアルガ]はドラゴン、鋼タイプ。

万が一の事を考えると、竜の[目覚めるパワー]を使える私が行くのが最善策かもしれないわね。

「じゃあ、行こっか! 世界を救うために!!」

「「うん!」」「ええ!!」

私達は、残るメンバーの声援を受けて、階段を駆け上がった。

………これが、本当に最後の調査になるわね……。



「うわっ!!さっきより音が大きくなってるよ!!」
「今にも動き出しそうじゃない!?」
「と、とにかく乗りましょ!」

頂上にあがると、軽い地響きと共に轟音が上がっていた。

本当に、動き出しそうね!

私達は慌ててそれに飛び乗った。

「!!動いた!!」

乗るとすぐに、それは浮いた。

そして、浮上を開始。

それが通った後には、一筋の虹が緒を引いていた。

………………いよいよね……。

………

時限の塔入り口 sideシルク

「シルク、これ、やばくない!?」
「今にも崩れ落ちそうだよ!!」
「間に合うかしら………。」

塔の麓に着くと、激しい地響きと共に外壁が少しずつ崩れかけていた。

………いつ崩れてもおかしくないわね……。

保つかしら……。

「……本当は中から行かないといけないのだろうけど………非常事態だから…………、シルク、ラテ君、ベリーちゃん、ボクの背中に乗って!!」
「そうしないと間に合いそうにないよね!!」

その方がいいわね!!

「うん!」
「じゃあフライ、頼んだわよ!!」
「任せて!!」

もちろんよ!!

私達は、フライの背中に飛び乗り、崩壊目前の塔の頂上を目指した。

………どうか、間に合って!!

………

時限の塔頂上 sideシルク

「よし、着いた!このままいくよ!!」

「「うん!!」」「ええ!!」

フライは頂上にたどり着くと、そのまま祭壇を目指して滑空した。

これなら、間に合いそうね!!

「ラテ君!![時の歯車]の準備、頼んだわよ!」
「シルク、いつでもいいよ!!」

そう言って、ラテ君はそれを取り………

「[時のほうこう]!!!」
「「「「!!?」」」ぐっ!!」

出し…………!?

何!?

どこからともなく出現した衝撃がフライに命中し、彼はそのまま墜落した。

「「「フライ!!」」」「ドラゴン………………タイプ……………?」
「オ前か………。塔ヲ破壊スルのは……。」
「!!?[ディアルガ]!?でも、色が…!?」

突然、赤い雷と共に[時]の化身?が姿を現した。

「いや、違うよ!!わたし達は[時]の停止を止めに来ただけだよ!!」「フライ!!しっかり!!」

「時ヲ、トキを………グオオオォォ!!」「何とか……大丈夫……だよ。」

「「「「っ!!」」」来るよ!!」

突然、自我を失いかけている[ディアルガ]……、[ツァイル]さんが襲いかかってきた。

………戦うしか……、なさそうね。

……でも、作戦を考える暇はなさそう………。

「ラテ君、ラテ君は攻撃をかわしながら技を連射して!! ベリーちゃん、相手は鋼タイプを持ってるから炎を中心に攻めて!! フライは空中で回復してから相手を混乱させて!!その後はあれで攻めて!!」

「「「うん!!」」」

私はとっさに思いついた戦法を三人に伝えた。

………そして、私はまず相手の守りを下げる。

そして、[目覚めるパワー]で一気に攻撃。

………これしか思い浮かばないわ!!

「じゃあ……、[絆]の名に賭けて…………いくわよ!![瞑想]、[シャドーボール]、[ベノムショック]、発散!!」「[悪の波動]!!」「[炎の渦]!!」「[目覚めるパワー]!!」「[竜の波動]!!」

私のかけ声と共に、最終決戦が幕を開けた。

フライは垂直に飛びながら紺色の弾を連射し、ベリーちゃんの炎塊に衝突させた。

ラテ君は黒い波を飛ばして暗青色のブレスに対抗した。

私はエネルギーの一部で上昇気流を発生させながら、漆黒と紫を化合させる。

「くっ、やっぱり強い!![守る]!!」「拡散、連射!!」「……よし、と。」「!?[オウム返し]!!」

ラテ君の技では防ぎきれなかったけど、威力を軽減させることに成功した。

私は生成しながら、細かく拡散させた藤色の球で相手を取り囲んだ。

フライは体力を回復して、次の技を出すために身構えた。

ベリーちゃんは相手の技をそっくりそのまま真似して打ち返した。

「!?…[原始の力]!!」「[超音波]!!」《フライ!!私を受け止めて!!》「くっ、強い!!」

相手は岩塊を出現させ、私達に向けて飛ばした。

フライは周波数の高い音波を発生させる。

私は球を収束させながら思いっきり念じる。

「うん!![目覚めるパワー]!!」「っ!!」「[火炎放射]!!」「よし、効いた!!」「頼んだわ!!」

ベリーちゃんの技、私の球がそれぞれ命中した。

……守りを下げる続ければ、何とかなりそうね。

私は彼の背中に乗ってからも藤色の雨を降らせ続ける。

「ベリー、危ない!![真空斬り]!!っ!!」「えっ!?混乱してない!?」

ベリーちゃんに岩塊が降り注ぎ、それをラテ君が切り裂く。

防ぎきれずに、破片がラテ君に命中した。

「ならフライ、[銀の針]をお願い!私も攻勢に移るわ!!」「[竜ノ波動]!!」

「うん!! !?」「フライ!!」

ブレスが私達に向けて放たれた。

「[サイコキネンシス]!!「っ!!」」

フライはそれを取り出しながら左に避け、私は超能力で受け止めようとするも、防ぎきれずに命中する。

直撃は避けたから、何とかなったわね。

私はそのまま藤色のエネルギーを右側のそれにコーティングした。

「なら、左だけ[ドラゴンクロー]!!」

フライは左だけ、暗青色のオーラを纏った。

「クッ!!」「このまま行けそうだよ!!」

「でもベリー、油断は禁物だよ!!」

フライは私の乗せたまま急降下する。

「[メタルクロー]!!」「[目覚めるパワー]!!連射!!」
「くっ!強い!!圧されそう!!」

私は暗青色の弾を連射し、フライは藤と暗青色の小刀で切りかかる。

対して、相手は鋼の爪で切り裂く。

金属が擦れる音が辺りに響いた。

「くっ!」「[火炎放射]!!」「[シャドーボール]!!」

フライは力負けし、後方に飛ばされた。

二人はそれぞれ得意の技を打ちだした。

私は途中で飛び降りて、降下しながら連射する。

「ッ!![トキノ……ほうこう」!!」

「「「「っ!!!」」」」

技達は突然の衝撃に為す術なく吹き飛ばされた。

流石には………[伝説]の…………ポケモンね…………。

「みんな…………大丈夫………かしら………。」
「………立つのが………やっとだよ……。」
「僕も………厳しさ状態………だけど、フライは…………?」
「…………ボクは…………限界…………だよ…………。」

私達は…………何とか………起き上がった。

「[時]を…………[トキ]………を………。」

「私達も………そうだけど……、向こうも………倒れそうね………。」
「うん………。ふらついてるし…………ね………。」
「あと………ひと押し………だよ……。」
「でも………わたし………もう動けないよ………。」

[代償]の………影響で………私も………限界だわ………。

……でも、…………倒さないと……[時の歯車]を…………納められない………。

………そういえば…………ベリーちゃん、………さっき………[オウム返し]を………使っていたわよね…………。

…………これしか…………方法は………無さそうね………。

「フライ…………、ラテ君………、ベリーちゃん………、こうなったら………最後の[賭け]に………出るわよ………。」

「「「賭け…………?」」」

これが失敗すれば…………一貫の………終わり……。

「ええ。…………おそらく………、向こうも、限界の………はず………。だから………一発で………確実に………私達を………しとめようとする………に………違いないわ………。」

私は切れ切れに言葉を紡ぐ。

「だから………、たぶん、次も……[時のほうこう]を使ってくると………思うの……。そこで、………、私とフライができるだけ………威力を軽減するから………。ラテ君は………相手のそれを………最大出力で…………[守る]をして…………。そして、ベリーちゃんは…………さっき使ってた……[オウム返し]で……………[時のほうこう]を………相手に………命中………させて………。」

これなら…………。

「うん…。やってみるよ……………。」
「これが本当に……………最後だね…………。」
「…………やってみるよ………。」

みんな、頼んだわよ……。

私達は………身構えた。

「[時の…………ほうこう]………!」

「来たわよ…………! [目覚める…………パワー]……!」
「うん………![目覚めるパワー]………。」

「[オウム返し]…………、[時の………ほうこう]!!」「[守る]!!」

案の定………、時をも砕く……衝撃波が………放たれた。

私とフライは………暗青色と………紺の弾を………それに向けて………放った。

ラテ君は………、緑のシールドを…………私達の周りに………張り巡らせた。

ベリーちゃんは………、瞬時に相手の技を………コピーして……撃ち返した。

そこからは………すごく………スローに………感じられた。

2つの弾か飛んでいき……、ある一点で…………音をあげて…………消滅する。

…………これで、………威力が…………落ちたかしら…………。

衝撃波がシールドに達し、…………亀裂を………入れていく。

ベリーちゃんの………衝撃波は………一直線に………相手に……飛んでいった。

「「「「「っっっ!!!!」」」」」

シールドを砕いて私達に達したのと、[ディアルガ]に命中したのは…………ほぼ同時………だった。

「………守りを…………下げてあるから…………これで……………。」

私は薄れゆく………意識を………何とか…………つなぎ止めて………結末を………見守った。

「っ!!」

すると………相手は………崩れ落ちた…………。

………………………何とか…………倒せた…………わね………。

意識が朦朧(もうろう)としてきたけど…………、[時の………歯車]を………納めるまでは…………気絶する………訳には……いかない………。

「[サイコ………………キネン………シス]………。」

私は………最後の力を………振り絞って………超能力を………使って………、それを………操った。

「みんな………生きてる………?」
「フライ………僕は………大丈夫だよ……。ベリーは………?」
「うん………、何とか………。」
「4人とも…………無事………みたいね………。」

くぼみにそれを納めると、……………私達は………崩れ落ちた。

……………間に合えば………良いけど………。

ここで………、私は………………意識を………手放した………。



@ ( 2013/10/15(火) 01:03 )