絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之拾参 来たるべき明日のために
七拾泗 時の歯車
西暦7000年 光の雲海突入口 sideシルク

[光の雲海]、今まで突破して来たダンジョンの中………、いや、元の時代で連戦だったリーグよりも難易度が高いかもしれないわね。

あの後シロさんに聞いたら、ダンジョン中は陸地がないだけではなくて、アイテムが何一つないらしいわ。

それに、そこは異空間に延びる通路みたいだから、一度落下したら二度と戻ってこれないって言っていたわ。

………唯一飛べない私は注意しないと………。

「シルクさん、フライ、ここです。」
「これが?」
「光? かしら?」

シロさん達と合流してから一時間ぐらい経ったかしら?

朱かった夕日もすっかり沈んで、眼下の景色は漆黒につつまれている。

目線を上に向けると、黒のキャンバスに満天のダイヤモンドが光り輝いているわ………。

幻想的ね………。

2000年代では滅多に観られない星空………、見とれてしまうわ‥……。

そうこうしているうちに、私達の目の前に漂う半径が2mぐらいの光の塊が現れた。

これは、なに?

「そうだ。これが、先ほど話した[光の雲海]の入り口だ。 これは名前の所以(ゆえん)の1つでもあるんだ。」
「そうなのね?」
「光かー。 ところでシルク?息のほうは大丈夫?」

由来に感心していると、フライが横目で心配そうに私に訪ねた。

言い忘れたけど、ここは高度8000m、空気が凄く薄いわ。

私は飛行タイプでもドラゴンタイプでもないから、気圧の変化には強くないのよね……。

「[サイコキネンシス]で私の周りだけ地上の気圧に保ってるから平気だけど、それでも息苦しいわ………。」

私はエスパータイプだがらね……。

でも、もし[サイコキネンシス]を使えなかったら、窒息していたかもしれないわね………。

「なら、早めに突入したほうがいいですね。」
「ということは、中の気圧は1013hPa前後ってことかしら?」
「如何にも。ただ、一度中に入ると突破するまで出られないがいいかな?」

1気圧なら、大丈夫そうね。

「ええ、構わないわ。 シロさん、シードさん、フライ、行きましょ!」

「うん!」「はい!」「御意。」

私のかけ声で、私達4人は光の回廊に突入した。


星空の空中戦の幕開けね!!

………

光の雲海 sideシルク

「………不思議なところね……。」
「神秘的というか、なんというか………。」

光に突入した直後、突然目の前が真っ白になったわ。

2、3秒すると次第に視界も鮮明になってきて、見渡すと辺り一面が雲で覆われているわ……。

普通、ダンジョンは木や岩壁がエリアと通路の壁になっているけど、ここは濃密な雲がその代わりになっているわ。

それに、夜にも関わらずぼんやりとした光が浮遊している鉱石から漏れ出ているわ。

私とフライは夢の中のような光景を目の当たりにして、感嘆の声をもらした。

「ここは日常の空間とは少しずれた場所に位置していますから。」

シードさんが、優しく語りかけるように呟いた。

「つまり、異次元って事ですか?」
「そういうことだ。 拙者が一番気に入っている場所だ。………以前とは様変わりしてしまったがな………。」

シロさんがもの寂しげに呟いた。

でも、異次元?

「シロさん、あなたが気に入る気持ちも分かるわ。 なぜか落ちつける空間ね、ここ。」
「うん、たしかにそうだよね。 ………1つ気になるんだけど、ここに浮いている石って何なんですか?」

フライが2人に疑問をぶつけた。

確かに、気になるわね。

見たところ、金属の酸化物ではなさそうだし………。

だとしたら、無機物質?

「ああ、これは[時鉉石(じげんせき)]という、特殊な岩石だ。 何で出来ているかは拙者でも分からないが、1つ1つに[時]を動かす効力があるそうだ。」

[時]、を?

「そんな物質があったなんてしらなかったわ。………でも、[時]を動かすって事は………。」

時? なら、私の推測が正しければ、[時の歯車]の材料? の可能性があるわね。

少なくとも、私達の時代には存在しない物質ね。

「察した通り、これで[時の歯車]が造られたのだ。」
「金よりも反応しにくい物質なんです。」

えっ!?Au()
よりも!?

っていう事は、希硝酸にも、王水にも溶けないって事!?

「金よりって………。でも、どうやって加工するんですか!?」
「実は、[時鉉石]は熱に弱いんです。……………弱いと言っても、2000℃以上の熱を加えないと溶けませんが………。」

熱に、弱いのね。

「でも、[火炎放射]がだいたい1000℃、[オーバーヒート]でも1500℃よね? 私が知る限りそれ以上に達する技は知らないわ。」

だったら、一体どうやって……。

「炎タイプの[伝説]の種族なら可能だ。 拙者の場合、[クロスフレイム]がそれにあたるな。ちなみに、2300℃だ。」

2300℃…………、さすがは専用技ね。

「………どうりで、砂漠育ちのボクでもむせかえるような熱気だった訳だ………。」

フライでも、耐えられない熱なのね………。

私が受けたらひとたまりもないわね。

「そして、溶かしたら[ディアルガ]というポケモンの技で加工するんです。」

シードさんが補足で説明を加えた。

「[ディアルガ]って、どういう種族なんですか?」

フライが再び首を傾げた。

「………私も詳しくは知らないけど、確か[時]を司る[伝説]の種族だったと思うわ。」

記憶が正しければ、シンオウ地方のはず………。

行ったことないけど………。

「御名答だ。」
「一応、僕も[時]を司っているけど、ツァイトさんの方が力で勝ってるから…。」

なるほどね。

[ディアルガ]がね……。

それに、[ツァイト]は、きっと名前ね。

「確か、[時のほうこう]だったな。 これも、専用技だ。」

それもね……。

とりあえずわかったわ。

[時の歯車]について。

私は忘れないうちにノートに書き留めた。


■筆者メッセージ
スマホの辞書で検索しました。

Zeit (ツァイト)

ドイツ語で[時間]という意味だそうです。

あと[時鉉石]は架空の鉱石です。
@ ( 2013/10/08(火) 23:08 )