絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之拾参 来たるべき明日のために
七拾参 光が導くその先へ
西暦7000年 磯の洞窟岩礁 sideウォルタ

フラットさん、大丈夫かな…………。

シルク達に言われたまま来たけど、心配だよ………。

「………もしかして、行き止まり!?」
「そのようだな。」
「海に潜れば話は別ね。」
「でもわたし、泳げないよー!」
「もしよかったらぼくが乗せてくけど〜?」

とりあえず一番奥まできたけど、ここまでだね。

打ち寄せた波の影響で岩が削れてできたのかな? ここ。

ぽっかりと空いた、ぼく達がいる穴に海の水が浸食してきているよ。

ぼくはベリーの呟きに冗談混じりにこたえた。

本当に乗せてもいいって思っているのはここだけの話。


ベリーには内緒で!

「……うわっ!何!?これ!?」
「ん?ラツェル、どうした?」

ラテ君がふと、壁を見て声を張り上げた。

!? どうしたの!?

「この模様って、もしかして、ベリーの持ってる石盤と同じかもしれないよ!!」
「「「えっ!?」」ちょっと出してみるよ!!」

模様が、同じ!?

ぼくはラテ君が見ているほうに目をやった。

………!? こんな模様、ベリーのでしか見たことがないよ!!

「本当だ!!」
「それに、紋章が光ってない!?」
「!? 壁も光ってるぞ!!」

!!?

なんで!?

おまけに、強さ、増してない!?

「「「「「!!!?」」」」」

うわっ!凄い光!?

目を開けれないよ!!

光が海に向けて一直線に放出された。

「………治まった!?」

ぼくは恐る恐る目を開けた。

……………特に変化はないけど………。

「………みたいだね〜。」
「ん?でも待って。 遠くから何かが来るのが見えない?」

ラテ君が目を凝らして地平線の彼方を見つめた。

「何が? 特に変わった事はないけど?」
「向こうまで広がる海しか見えないけど〜?」

ラテ君?何もないけど?

…………あっ、そっか!

ここ、薄暗いからラテ君の五感が冴えてるんだ!

[ブラッキー]だから。

「見た感じ、[ラプラス]、かな?」
「「[ラプラス]?」」

チェリーとグラスさんが不思議そうに口を揃えた。

…………そうだったね。

[未来]には水タイプがいなかったんだよね?

「うん。あっ、やっと見えたよ!!」

ベリーは声を上げた。

ぼくも、やっと確認できたよ。

「ぼくと同じ、水タイプの………」「皆さん、お待ちしておりました。」

ぼくの言葉を遮って、[ラプラス]の彼が律儀に一礼した。

礼儀正しいね、この人。

鼻先が水についてるよ。

「[ブラッキー]のあなたがラテさん、[アチャモ]のあなたがベリーさんですね?」

「えっ!?なんで僕達の名前を!?」「どうしてわたしの名前を!?」

えっ!?なんで知ってるの!?

「ラックさんから聞きました。もちろん、チェリーさんにグラスさんも。」

「わたし達も!?」「俺もか!?」

チェリーまで!?

「でも、きみは一体……」
「あっ、申し遅れました。 僕は[ラプラス]のライルと言います。[幻の大地]に行くんですよね?」
「………うん、そうだけど………。」

みんな、名前を当てられて呆然としてるよ………。

「なら、僕の背中に乗ってください。」
「えっ!?でも、全員乗れるんですか?」
「乗らないなら、ぼくは自分で泳いでいくつもりだけど〜?」

でも、全員乗れるの?

「大丈夫です。僕は[時の案内人]、特別ですから。もちろん、[ミズゴロウ]のあなた………!? そのネックレスは!!」

ぼくのほうを見ると、終始落ちついていたライルさんが初めて声を荒げた。

「!? ぼくのネックレスが、どうかしたの〜!?」
「あなたに、ぜひ会ってほしい人がいます!!なので、あなたも来てください!」

会わせたい人!?誰なの!?

「えっ、あっ、うっ、うん。」

ぼくはあまりのことにまごついた。


その後、ぼく達はライルさんの背中に乗った。

すると、ライルさんはぼく達を乗せて、地平線を目指して泳ぎはじめた。

………

磯の洞窟最奥部 sideシルク

「…………よし、倒したわね。」
「……そうやな。」
「こっちは、危機を脱しましたね。」

私達の連携で、三人組の襲撃は片付いたわ。

息も、ピッタリね!

「フライ! フラットさんはどう!? 大丈夫!?」

私は昏睡状態のフラットさんの容態を彼に訊ねた。

………無事だと良いけど……。

「シルク、何とか脈は戻ったよ!!」

フライはホッと肩を撫で下ろした。

よかった。

「でも、まだ危険な状態ですよね!?」
「うん。一応、応急処置はしたけど、今すぐに治療をしたほうがいいよ。」

危険な状態には、かわりないのね……。

「そうなのね………。なら、今すぐにギルドに運ばないと!!」

でないと、後遺症が残る可能性があるわ!!

「今すぐに運ばないといけないですね!!」
「なら、ウチらが運ぶわ!シルク、フライさん、フラットさんの事はウチらに任せて先に進んで!!」
「でも……」
「シルク、フライさん、帰る前に結末を見届けるんやろ! 本当はウチらも行きたいけど、それどころじゃないから! だから、ウチらの代わりに行ってきて! そして、戻ってから聞かせて!!」

ハクが必死の思いで私達に訴えた。

「……………わかったわ!!ハク、シリウス、フラットさんの事、頼んだわよ!!」
「ボク達も、しっかり見届けてくるから!!」

私達はハク達の思いを受け入れ、互いに握手を交わした。

「じゃあ、頼んだよ!」
「そちらこそ!!」

親友の顔をしっかりと目に焼き付け、それぞれの目的のためにその場を後にした。

………

磯の洞窟岩礁 sideシルク

「この紋章は…………。」
「きっと、ベリーちゃんの持っていた石盤と同じのはずよ。」

道なりに進むと、地面の殆どが海水に浸かった岩礁にたどり着いたわ。

その壁の紋章が、夕日の朱で照らされているわ。

きっと、ラテ君達はここから[幻の大地]に向かったのね。

「たぶんそうだね。……シルク?ウォルタ君がシロさんも来るって言ってたから、一度そこから出てみない?」

フライが跳ねる水しぶきを煩わしそうに避けながら言った。

「そうね。シロさんは体格的に入れないから、その方がいいわね。」
「じゃあ、乗って!」
「ええ、頼んだわよ。」

そう言うと、私は彼の背中に飛び乗った。

「いくよ!!」
「ええ!!」

羽ばたき、宵の岩礁を脱出した。

………夕日が眩しいわ……。

でも、水面に朱が反射して画になるわ………。

「………そういえば、こうしてシルクと2人っきりになるのって久しぶりだよね。」
「………言われてみれば、そうね。いつ以来かしら?」

徐に、フライが呟いた。

ええっと、確か………。

「記憶が正しければ、この時代に来た時からないと思うわ。」

遠征での傷を癒やしているときは、スズネさんが付きっきりで看てくれていたし、その後の調査でも、私達は別々な事が多かったからね……。

「そっか………。もうそんなに前になるんだね。みんな、元気かな………。」
「彼らなら、大丈夫よ!」

私達は2000年代で待つ仲間の事を思い出し、哀愁感に浸った。

「シルク殿、フライ殿、待たせてすまない!」

「!?」「うわっ!びっくりした!」

突然、名前を呼ばれて、私は彼から落ちそうになった。

本当に、驚いたわ!!

「シルクさん、フライさん、チェリーが[幻の大地]に向かったって本当ですか!?」
「!? シードさんも!? ええ。一足先にいったわ。」

シロさんの陰で見えなかったけど、シードさんもいたのね!?

「そうですか。 とうとうその時が………。とにかく、僕達も行きましょう!」

シードさんが、何かを決心したように声をあげた。

「はい!! でも、どうやって行くんですか?」
「言われてみれば、そうね。飛んで行ける場所ではないから……。」

……うっかりしていたわ……。

[幻の大地]は、名前の通り、伝説として密かに語られた土地……。

そこに行く方法は1つしかない。

……それを使ってラテ君達がいったから、手段は無いわね……。

「心配無用だ。 [幻の大地]に行くには、抜け道がある。」

「「抜け道? 抜け道って??」」

私達は想ってもいなかった言葉の登場に首を傾げた。

そんなものが、あるの?

「拙者、シードのような[伝説]の種族が事務的に使っている通路があるのだ。」
「それを利用して、僕達は頻繁に[伝説]同士て交流しているんです。それは、どの時代でも変わらないんです。」

そうなのね?

ということは、[真実の頂]にも繋がっているっていう事ね?

「そんな道があったんですね?」
「そうだ。拙者達は、それを成層圏に有ることから[光の雲海]と呼んでいる。」

「「[光の雲海]?」」

「はい。ただ、この30年ぐらいてダンジョン化してしまったらしくて、僕達でも突破が難しくなってしまったらしいんです。」

ダンジョン化?

「拙者も一度行ったが、この時代の基準で言うとプラチナランク以上だな。」
「おまけに、陸地が一切ないんです。」
「…………ということは、相手は飛行、虫、ドラゴンタイプが中心になるわね?」

地面がない?それにプラチナ以上!?

という、私はフライかシロさんの背中しか足場がないという事?

…………油断は禁物ね………。

もしかすると、最高難度のダンジョンかもしれない……。

「如何にも。 そこを通るので、心してほしい。」

「わかりました!」「わかったわ! シロさん、シードさん、戦法を考えたいから、使える技を教えてもらってもいいかしら?」

突破が困難なら、念入りに考える必要があるわね!

私は2人に質問した。

「僕は、[エナジーボール]、[光合成]、[リーフストーム]、[成長]です。」

シードさんは、私と同じで遠距離型ね。

「拙者は[火炎放射]、[ドラゴンクロー]、[ソーラービーム]、[クロスフレイム]だ。」

シロさんは遠近両方いけるのね。

「…………わかったわ。 着くまでに考えておくわ。」

私達を含めて、使えるタイプは、超、霊、雷、毒、岩、悪、竜、草、炎の9種類ね。

[ドラゴンクロー]は物理技だから、組み合わせは28通りになるわね。

相性の優劣で、いくつか重なるけど………。

とにかく、それぞれの技の性質を考慮して作戦をたてたほうがいいわね。


…………失敗は、許されないから………。

@ ( 2013/10/08(火) 00:19 )