絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之拾参 来たるべき明日のために
七拾 忘れた頃にやってくる奴ら
西暦7000年 海岸 sideラテ

「……シルク、僕が[過去]のポケモンだってことはわかったよ。 でも、まだわからないことが1つあるんだけど、聞いてもいいかな?」

日が昇って光が差し込んできている朝の海岸で、僕はシルクに質問した。

「なに? 私でわかる事なら、何でも答えるわよ!」

太陽のような笑顔でシルクは答えた。

……眩しいよ……。

「なら、僕の種族、[ブラッキー]について教えてくれる?」

僕、[ブラッキー]を見たことがなかったから、何も知らないんだよね……。

……まだ自分の姿を見てないし……。

「7200年にはいなかったから、わたしもしりたいわ。」
「ぼくもしりたいな〜。」

チェリーさんとウォルタ君も、興味津々で言った。

………ちなみに、グラスさんとベリーはまだ意識が戻らない………って言うより、ぐっすり眠っているよ。

ずっと走りっぱなしだった上に殆ど休んでなかったからね……。

僕も正直、まだ疲れがとれてないし……。

「わかったわ。 [ブラッキー]は悪タイプのポケモンで、守りに特化した種族なの。攻撃面では、物理技、特殊技のバランスはいいわね(シルクの見解。 by @)。[ブラッキー]には私の[エーフィー]みたいに種族特有の能力があるのよ。」
「能力?」

僕は首を傾げた。

「そうよ。五感が冴えるのは私と変わらないけど、発動する条件は、洞窟の中みたいな“薄暗い”場所よ。“月光ポケモン”と言われているのも頷けるわね。[エーフィー]を[太陽]に例えるなら、[ブラッキー]は[月]ね。………つまり、[エーフィー]と[ブラッキー]は対となる種族なのよ。………ちなみに、[ブラッキー]は私が最後まで迷った種族なの。 もしかしから、私は[ブラッキー]だったかもしれないわね。」

へぇー。シルクと同じ能力が僕にも……。

それに、シルクが迷うぐらい[ブラッキー]ってそんなにいい種族なんだー。

……………[ブラッキー]になれてよかったかな?

……うん。よかったよ!!

「シルク、ありがとう。よくわかったよ!!」

最初は戸惑いがあったけど、もう迷いはないよ!!

これからは、[ブラッキー]として生きていこう!!

僕は満面の笑みでこたえた。

………

sideシルク

「シルク、ありがとう。よくわかったよ!!」

ラテ君がとびっきりの笑顔で答えた。

何かが吹っ切れたわね、きっと。

「へぇ〜。シルク、わかったよ〜。」
「そうだったのね。」

二人も、頷きながら聞いてくれた。

〈シルク、今どこにいるの?〉

忘れているかもしれないけど、常時着けているインカムからフライの声が響いた。

「海岸だけど………、あっ、もしかして、もう朝礼の時間!?」

私は思わず声をあげた。

話に夢中で時が経つのもすっかり忘れていたわ。

「朝礼か……。つい最近したばかりなのに凄く懐かしいよ。」
「いろんな事がありすぎたからね〜。」
〈いつも通り、海岸だね? でも、シルクが時間までに戻ってこないなんて珍しいね。何かあったの?〉

……確かに、そうね。

「単刀直入に言うと、ウォルタ君達が全員揃って帰ってきたわ。」
〈えっ!?ウォルタ君達が!? すぐにいくよ!!〉

フライも声を張り上げ、慌てて通信を切った。

「みんな、元気かな……?」
「ええ。ラックさんも、フライ達も、みんないつも通りよ。」

ラテ君が空を見上げながら言った。

……そうね。ラテ君達は2日ぶりになるわね。

「それに、足音からすると全員でここに来るわ。」

微かだけど、いくつもの足音を私の聴覚が捉えた。


この後、フライ、ハク、シリウス、ギルドのメンバー全員が駆けつけたわ。

みんなの話し声で眠っていた2人が目覚めたのはここだけの話………。

疲れているのに、わるいわね……。

そして、[ブラッキー]がラテ君って事がわかった時にこの場が大変な事になったのは言うまでもないわね。

………

ギルドB2F sideシルク

海岸で話しこんで、ギルドに戻った頃には既に太陽が南中していたわ。

だって、2日ぶりだもの。募る話が山ほどあるわ。

ギルドに戻り、話が一段落したところで、ようやく本題にはいったわ。

「………つまり、[時の歯車]は既に5つ揃っているという事だな?」
「そうやで!」
「そして、[幻の大地]の場所も、ある程度は分かっているんだよね?」
「そうでゲス。」

グラスさん、ベリーちゃんが話をまとめた。

「ただ、1つ問題があって、そこに行くためにはある[証]が必要なのよ。」

あいにく、書籍に残ってなかったわ。

「そうなんだよ。それで、その事を聞くために、長寿で[コータス]の[フレア]さんに来てもらう事になっているんだよ。」
「[コータス]……?[コータス]って確か………。」

進化して低くなった声でラテ君が言った。

「………そうです。[温泉]にいつもいる、物知りな[コータス]です……。」

黙って聞いていたシリウスが口を開いた。

確か………来るのは今日だったわね。

「ポケモン発見!!足型は[コータス]!!」

ベストなタイミングで、ホール君の声が響いた。

「ピッタリのタイミングやん!」

ハクが歓喜の声をあげたわ。

もしかすると、重要な手がかりが掴めるかもしれないわね。

「……やっと着いたわい……。年寄りには堪えるのぉ……。」

しばらくすると、一匹の[コータス]がゆっくりと階段を降りてきたわ。

………会うのは初めてだけど、見た感じ、相当年配のようね……。

「わざわざすみません。 ………早速ですが、[証]について聞いてもいいですか?」

フライがゆっくり、聞こえるように、丁寧に言った。

「……では、話そうかな。」

ここで一度、咳払いをした。

「[証]は所有者を選ぶと、昨日いったな?」
「はい、伺いました。」
「その[証]には、形容し難い模様が描かれているんじゃ。」

模様? 形容し難い?

幾何学的な模様なのかしら?

「見た事のない模様………? ………あっ、ベリー?ベリーが大切にしている[秘密の石盤]にも不思議な模様が描かれていたよね〜?」

何かを考え、思い出すようにウォルタ君が言った。

「ウォルタ君、何か思いあたる事があるの?」
「うん。ベリー、一度見せてくれる〜?」
「えっ?うん、いいよ。」

ベリーちゃんが、私達の言葉を聞くとすぐに、鞄から何かの欠片を取り出した。

…………今思い出したけど、遠征の時に見せてもらったわね。

何かの魔法陣のような………、渦のような………、確かに言い表しにくいわね。

「……!!! こ、これじゃ!!」

フレアさんが、年に似つかわしくないくらいの大声で驚いた。

えっ!?

「これがその[証]じゃよ!」
「えっ!?これが!?」

ベリーちゃんも目が点になる。

「って事は、彼女が選ばれたって事になるわよね!?」

チェリーも声を荒げた。

「そうなるな♪ 親方様、この模様、見たことがありますよね?」
「うん。確かに見たよ!」

「「「「ええっ!!?」」」」

私達を含めて、一同、騒然となる。

ラックさん、フラットさん、本当なの!?

「確か、[磯の洞窟]だったよ。」

ラックさんが地図を広げながら言ったわ。

[磯の洞窟]?

確か、ランクで言うと難易度はシルバーだったわよね?

でもこの時期は………、流れ込む潮の満ち引きが激しいからゴールドだっけ?

「[磯の洞窟]でゲスか……。ならあっし達は行けないでゲスね……。」

ブラウンさんが残念そうに言った。

………という事は、必然的にメンバーはラックさん、フラットさん、ラテ君、ベリーちゃん、ハク、シリウス、グラスさん、チェリー、そして、私達3人の計11人になるわね。

「だから、私達が案内しますよ♪」
「………すまんな。」
「ほっほっほっ、久しぶりに夢を見させてもらえそうじゃな。 では、ワシはそろそろ失礼するかのぉ。」
「はい。今日はありがとうございました。」

フライに続いて、私達は深々と一礼した。

「………とりあえず、打ち合わせをしたほうがいいわね。」
「うん。あと、旅の準備だね?」

そうね。

今まで以上に本格的な調査だから、念入りにね!

私達は集まって、会議を始めたわ。

………

交差点 side・・・

「ほっほっほっ。[幻の大地か。ロマンがあるのぉ。ワシがもっと若ければワシも……」
「クックックッ、爺さん、待ちな。詳しく話を聞かせてもらおうか。」
「!?おぬしら、何者じゃ?」
「毒状態になりたくなければ、大人しく来るんだな!」
「ひぇー!!」

昼下がりの交差点、1人の老人が三人組にさらわれた………。

■筆者メッセージ
三人組が誰かはわかりますよね?
@ ( 2013/10/05(土) 00:22 )