絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之拾弐ー丙 闇と光
六拾八 知らされる真実
西暦7200年 森の高台入り口 sideラテ

「ねえ、ユーさん?ユーさんはどうして[過去]に行くの?」
「えっ!?いや、ぼくは………。」

ベリーが[ウォーグル]のユーさんに興味津々だよ…。

ユーさん、突然だったから慌ててるよ……。

それにしてもユーさん、ギャップが凄いよ。

見た目は大きくて厳つい感じだけど…………、なんて言うか……、凄くマイペース……。

話し方ものんびりしてるし、格好いい[ウォーグル]なのに一人称が[ぼく]って……。

多分平均より大きいし、進化しているからもう大人なのかな?

でもあどけなさもあるし、不思議な人だよ……。

「……[過去]にいる大切な人に会いに行くため、かな〜?」
「へぇー、大切な人かー。会えるといいね。」
「……う、うん。」

ユーさんが、何故か悲しそうな顔で言った。

……何かあったのかもしれないね…。

でも、聞かないほうがいいかも。

「……とりあえず、息も整ったし、そろそろ行こっか。」

話が終わったところで、僕は2人に明るく言った。

「うん、そうだね!」
「ぼくは言うほど戦ってないから大丈夫だよ〜。」

2人も、笑顔で答えてくれた。

「チェリー、グラスさん、お待たせ。ぼく達はもう大丈夫です。」

ユーさんがチェリーさん達のほうに飛んでいった。

僕達も追いかけないと!

「僕達も行こっか。」
「うん、そうだね!」

僕達も走って後を追いかけた。

………やっぱり、湧き上がる力、気のせいじゃないよ!!

鮮明になってきてるし、何より何かのイメージが膨らんできてる!?

本当に何なの??

………

森の高台 中腹 sideユー(ウォルタ)

「くっ、囲まれた囲まれた……。」
「こんな沢山に遭遇するのは初めてよ!?」
「油断するとさすがにまずいかも…。」
「どうする!?」
「戦うしかないですよ!!」

ぼく達は順調に進んでいたけど、[モンスターハウス]に足を踏み入れてしまった。

……正直、[ミズゴロウ]にも戻って[地震]で一掃したいところだけど……、相手はゴーストタイプばかりで地に足が着いてないし、何よりここでは正体を明かす訳にはいかない……。

「ラテ君、ここはぼく達でいくよ! チェリー達は援護をお願い!!」

ぼくは瞬時に作戦をたて、大声で伝えた。

作戦はこう。

まずぼくが先陣をきって、素速さを生かして相手の口内に種を放りこむ。

その間にラテ君には[シャドーボール]を最大まで溜めてもらう。

元々ラテ君は5100年代の出身のはずだから、ぼく達とは違ってエネルギー量が多いはずだから、多分可能……。

ベリーには[炎の渦]で相手を拘束してもらう。

チェリーに聞いたら、戦闘は苦手みたいだから補助にまわってもらうとして、グラスさんには[穴を掘る]で奇襲をしかけてもらう、

グラスさんが着く頃には相手は何らかの状態になっていて、炎が取り囲んでいるはずだから、ぼくが[シャドークロー]をするついでにグラスさんを回収する。

おそらく、これでいけるはず。

「……なかなかいい作戦だな。」
「わかったわ。」
「はい。僕は大丈夫ですよ。」
「わたしもいいけど、ユーさんが一番大変だけどいいの?」

グラスさんは腕を組んで頷き、チェリーは快く承諾。

ラテ君も笑顔で答えてくれて、ベリーは心配そうに見上げた。

……この中ではぼくが一番身長が高いからね。

「平気だよ〜。さあ、いくよ!!」

ぼくはそれだけ言うと、翼に力を込めた。

……さあ、戦闘開始だ!!

………

数分後 sideラテ

「[シャドークロー]!!」「[シャドーボール]!」「[火炎放射]!」

僕達はゴーストタイプの群れにトドメの一撃を放つ。

僕は漆黒の弾、ベリーは燃え盛る火炎、ユーさんは……声しか聞こえない。

ユーさん、ジュプトル………確か[グラス]って言ったっけ? 彼を乗せたままなのに凄いスピードだよ……。

残像だけが残って、何をしているのかわからないよ……。

「「「っぐ!!!」」」

三人の技が命中し、群れはバタバタと倒れていった。

「よし。終わったな。」
「うん。 にしてもユーさん、凄く早かったよ!!」
「でも、これでもまだ8割ぐらいかな?」
「えっ!?あれでもまだ全力じゃないんですか!?」

えっ!?でも、凄くはやかったよ!?
僕達も結構戦闘を積んできたつもりだけど、あんなスピード見たこと無いよ!!

「うん。まあ、準備運動にはなったね〜。」

グラスさんもだけど、ユーさんとは次元が違う……。


僕達はこの後、ひと息ついてから頂上を目指した。

溢れる謎の力は、技を出せそうなくらいまで溜まっていた。

本当に何!?訳がわからないよ!?

………

森の高台 頂上 sideラテ

「よし。とうとうここまで来れた……。」

あの後、おかしいぐらい順調………、一度も戦わずに突破した。

順調なのはいいんだけど、その分何か都合の悪いことがあるような気がして、気が気でないよ……。

「ここが、[時の回廊]だね〜?」
「ええ、そうよ。さっそく準備するわね!」
「とうとうわたし達、帰れるんだ!!」

ベリーが歓喜の声をあげた。

やっとだ!!

チェリーさんが何かの装置に飛んでいこうとしたその時、

「そこまでだ!!」
「「「「「!!?」」」」」

最も恐れていた人物の声が響いた。

まさか、この声は………

「「「シャドウ!!?」」」「「「「「ウィーーー!!」」」

たちどころに、ぼく達は沢山の[ヤミラミ]に囲まれた。

やっとの事でここまで来れたのに!!

「大人しく………」
「せっかく………、せっかくここまで来れたのに、シャドウさん……、いや、シャドウ!!こっちだって邪魔はさせません!!」

僕はシャドウの言葉を遮って、怒鳴った。

謎の力にもイライラしていたし、もう我慢の限界だ!!

いっそ、この力を放出して活路を開ければ………。

僕は目を閉じて、力を意識を集中させた。

「「「「「!!?」」」」えっ!?ラテ!?身体が!?」

ベリーの声が聞こえたけど、今は関係ない!!

僕は周りを無視してそれを続けた。

「!!?これは一体……。」「やっぱり、思った通りだ………。」

力が溢れんばかりに蓄積する。

………よし、溜まった!!

「これで、決める!!」

目をあけ、名前の知らない技を発動させた。

僕を中心に、黒い波が標的に向けて広がる。

「「「「「ぐっ!!!」」」」」「何っ!?あり得ん!?」「もしかして………、[悪の波動]………?」「ラテ?本当にラテなの!?」

僕の技で、[ヤミラミ]達は吹き飛んだ。

よし、あとは!

「チェリー、今のうちに!!」

「!?わかってるわ!!」「!? させて、なるものか!![ディアルガ]様!!」

「何っ!?[ディアルガ]だと!?」

「グオオオォォォ!!!」「「「くっ、耳が……!!」」」

僕達が次の行動に移ろうとした時、鼓膜を破りそうな声量の声(?)が響いた。

っ!!!

その声で僕達は止められる。

……収まった……?

僕は恐る恐る両耳を押さえていた前脚を離した。

「クソっ、俺達もここまでか………。」
「「!?ジュプトル!?」」

ジュプトルの諦めの含んだ声がした。

「グラス、お前にしては諦めが早いな。」

悔しそうに目を堅く閉じながら言った。

「………[ディアルガ]が来た以上、俺達に勝ち目は無い……。降参だ……。」
「……確かに、無理だよ……。チェリーの種族、[セレビィ]は[時]を司っているけど、[ディアルガ]はそれ以上の力を持つ………。例え[時渡り]を使ったところで、すぐに破られる………。」

!?ユーさんまで!?

「………だが、[過去]にはもう1人の仲間がいる。だから俺はそいつに託す!!」

彼が力強く言った。

「………ハッハッハッ!…」
「何がおかしい!!」

突然シャドウがあざ笑いだした。

「なら、そのパートナーとやらの名前を言ってみろ!!」
「名前は[ラツェル]、俺は親しみを込めて[ラテ]と呼んでいた!!」

「「ええっ!!?」」

!?[ラテ]って、僕と名前が同じ!?

「[ラテって、この[イー……]……、今はちがうけど、わたしのパートナーの名前も[ラテ]だよ!!」
「何だと!? 何故だ!?」

どういう事!?それに、今は違うって……!?

「そういうことだ!!種族は知らんが、[イーブイ]だったそいつが[ラツェル]だ!!」
「いや、違う!!俺のパートナーは[人間]だ!!」

「「えっ!?」それって、完全にラテの事だよ!!」

!!!?

「確かに、僕は元人間です!!でも、どうして!?」

嘘でしょ!?

「それは、ポケモンになったからだ!![時空の叫び]を使えるのが何よりの証拠。」

!?ってことは、僕って[未来]の人間だったって事!?

「もう、完全にラテの事だよ!?」「だから、その鳥ポケモンは知らんが、全員ここでくたばってもらう!!」

そう言って、シャドウは膨大なエネルギーを溜め始めた。

「俺達も、ここまでか………。」
「待って!!何か手段があるはずだよ!! そうだ!チェリーさん、少しでいいから[時]を止めれる!?」
「えっ!?一応できるけど、[ディアルガ]がいるからすぐに破られるわ!!」
「でもいい!諦めたら、底で終わりだよ!!何もしないで失敗すると悔いが残るよ!!だから、お願い!!」

ベリーが叫びにちかい声で訴えた。

「………わかったわ。みんな、行くわよ!![時渡り]!!」

刹那、僕達を光が包み込んだ。

………なんの音も聞こえなくて、シャドウ達も止まってる……。

「今のうちに、[時の回廊]まで全力で走って!!もう準備は出来ているから!!」

「「うん、わかった!!」」「わかりました!!」「すまんな。」

僕達は死に物狂いで光の渦を目指して走った。

あと2mというところまで迫ったその時、

バリッ

ガラスが割れるような音が響いた。

「くっ、破られた!?」
「でもまだ間に合う!!」
「早く!!」
「何っ!?もうそんな所に!?[シャドーボール]!」

最後の手段は破られ、シャドウは漆黒のエネルギーを溜め始めた。

僕達は慌ててそれに飛び込んだ。

「本当は使いたくなかったけど……。」

視界の端で、ユーさんが鞄から何かを取り出しているのが見えた。

次の瞬間、轟音と共に熱風が発生して、僕達を渦の中に押し込んだ。

ダメージは………ない。

「グワァァ………」

渦が閉じる寸前、ユーさんとチェリーさんが飛びこんだのと同時に、シャドウの悲鳴が聞こえた。




…………これで、帰れるの…………かな?

@ ( 2013/10/03(木) 00:49 )