泗 探検隊ギルド
西暦7000年 トレジャータウン sideシルク
私は森で出逢ったラテ君とベリーちゃんに導かれて……。
「シルクさん、フライさん、着きましたよ。」
「ここが話した[トレジャータウン]だよ。もう夕方だからどこの店もやってないけどね。」
聞くところによると、ここは結構賑わっている街らしいわね。
「へぇー。 にしても、まさかタイムスリップするとは思わなかったよ。」
確かにそうよね。時代を越えるなんて、伝説クラスのポケモンしかできないからね。………私達には準伝説の仲間が元の時代にいるけど。
「そうよね。」
「シルクさん、シルクさんは元の時代で何をしてたの?」
そういえば、言ってなかったわね。
「ボク達は各地方に伝わる伝承について調べていたんだよ。」
「だから、私達は[考古学者]よ。今となったら、元の時代も太古の昔になるけどね。」
そう。私達は伝説を専門とした考古学者よ。
「ボク達のトレーナーは結構名が知れていたんだよ。」
「考古学者ですか。 この後時代には殆どいないんです。」
えっ?ラテくん、そうなの?
「そうなの?」
「うん。大抵の人はわたし達みたいに探検隊だったり、商売をしていたりするんだよ。」
「僕もまだよくわからないけど、そうらしいです。」
なるほどねー。
「そうなんだね?」
「はい。 ところで、皆さんはこの後はどうするんですか?」
ラテ君、確かにそうね。森から出るのに必死で考えつかなかったわ。
「……私達は、この後行くあてはないわ………。」
「僕達はこの時代のポケモンじゃないからね。 もちろん、知り合いも君たち以外にはいないよ……。シルク、どうする?」
そうよね。野宿する訳にはいかないわね……。でも、この時代の事は全くわからないから……。
「困ったわね……。」
「なら、僕達の所属しているギルドに来ませんか?」
「「ギルド?」」
また知らない単語、住む時代が違うと知らない事も多いのね。
「うん!わたし達はそこで住み込みで修行してるの。」
「だから、頼めば何とかしてもらえると思います。僕も身よりがなかったので……。」
「なら、お願いしようかな?シルクもいいよね?」
「お言葉に甘えて、そうしようかしら?」
ラテ君、助かるわ。
? よく考えると、ラテ君、何か事情がありそうな発言をしていたわね。後で聞いてみようかしら?
「はい!」
「こっちだよ!ついてきて!」
ラテくん、結構しっかりしてるのね。
私達はラテ君達に連れられて、例のギルドという場所への坂道を登っていったわ。
………
プクリンのギルド前 sideシルク
「ここです。」
ギルドとか言ってたけど、案外小さな建物?いや、テントと言ったほうがいいわね。
にしても、この外観、設計者のセンスを疑うわ……。ポケモンをそのままデザインにするなんて……。
「こんなに小さいのに?どう見ても2、3人入るぐらいしかないよね?」
フライ、ごもっともだわ。
「ここの地下にあるんだよ。」
あっ、そういうことね?だから小高い丘に建ってるのね。
「地下にねー。」
「はい。 あっ、入る前にこの格子の上に乗って下さい。」
格子? ああ、あの木で組まれたあれのことね?私はいいけど、フライが乗っても大丈夫かしら?
「ボクは結構重さがあるんだけど、乗っても大丈夫なの?」
「はい。あれでも、結構強度があるんです。 まずは僕からいきますね。」
つまり、手本というわけね。
そう言って、ラテ君はその格子の上に乗って……
「ポケモン発見! 誰の脚型!?」
「「!? 何!!?」」
突然格子から声が響いた。凄くビックリしたわ。
「脚型はイーブイのラテ!」
「よし、入れ。ラテということは、ベリーも一緒だな?」
さっきとは別の声が響いた。ふたりがかりでしているのね?
「うん!わたしもいるよ!」
「よし、わかった。 他にもいるな?」
私達のことね?
「ええっと、こんな感じです。」
「ええ。大体わかったわ。」
つまり、入室検査というわけね。
私はすぐにその格子に乗った。 下から覗いているのね。
「ポケモン発見! 誰の脚型!?」
このやりとり、いつもしているのかしら……。
「脚型は、エーフィー!」
「怪しい者ではなさそうだな。よし、入室を許可する。」
……何も問題はない、ということね。
「これでいいのね?」
「うん。」
「次はボクの番だね?」
私が終わった後、フライもそこに乗って……
「ポケモン発見!………(以下、省略)………許可する。」
見張りのポケモン、大変そうね。
「……終わったよ。」
「おわりましたね?シルクさん、フライさん、お待たせしました。では、どうぞ。入って下さい。」
「ええ。お邪魔させてもらうわ。」
ラテ君達の案内で、奇抜なテントの中に入ったいった。
この螺旋階段で地下に降りるのね。
………
ギルドB1F sideシルク
「フラットさん、チーム[悠久の風]、只今帰りました。」
「うん、ご苦労だったな♪ 依頼主からの報酬だ。」
「ありがとね。」
下に降りると、ラテ君はフラットと呼ばれたペラップから報酬なのかしら?森で見かけたメダル受けとったわ。
「……ラテ、この方達は♪?ダンジョンで加わった新規のメンバーかい♪?」
「えっ?違います。」
そう思うのも、無理はないわね。
「私達はそういう者ではないです。私はシルクと言って、考古学者をしています。」
「あっ、これは失礼しました!!」
この人、フラットさんだったわね。凄い慌てよう……。
「ボクもシルクと同じで考古学者のフライです。遭難しているところを助けてもらいました。」
フライのいう通り、私達は遭難していた事になるわね。
「私達、土地勘がなかったから、助かったわ。お礼に何か渡した方がいいかしら?」
助けてもらったんだから、何かお礼をしたほうがいいわね。
「えっ!?公式な依頼じゃないから、いいですよー。」
「でも、ボク達の気持ちとして、受け取ってくれると嬉しいよ。」
「あのまま出会ってなかったら、未だにあの森でさまよっているところだったわ。」
「えっ?でも、シルクさん達、何も持ってないのに……。」
ベリーちゃんの言うとおり、私達は通信機を除いて何も持ってないわ。
お礼は物というわけにはいかないわね……。
「ラテ君、お礼として技を教えようと思っているけど、ダメかしら?」
技マシンと思えば、大丈夫よね?この時代にあるのかわからないけど……。
「えっ?いいんですか?」
「ええ。私の進化前は[イーブイ]だから、使える技はある程度把握しているわ。 今日はもう遅いから、明日でいいかしら?」
私は満面の笑みで聞いた。
「はい!ぜひ、お願いします!」
「シルクさんの技かー。楽しみだなー。」
喜んでくれたわね。よかったわ。
「あっ、フラットさん?ボク達、この後泊まる場所がないので、泊めてもらってもいいですか?」
すっかり忘れてたわ。フライ、ありがとう。
「弟子達が使うような部屋しかありませんが、そこで良かったらありますよ♪」
寮の一室というわけね。
「ありがとうございます。寝れれば十分なので、助かります。」
「いえいえ。私も情報屋として歴史とか気になるので……。あっ、そうだ♪親方様に報告をしないと……。」
親方?ああー、ここの代表のことね?
「そういう事だから、ラテ、ベリー、この人達を部屋に案内してやるんだ♪」
「「はい!」」
ラテ君達は元気よく答えた。
……とにかく、休める場所が見つかって良かったわ!
巻之壱 完 次回に続く。