絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























小説トップ
巻之拾 動きだすシナリオ
伍拾参 漁夫の利
西暦7000年 導きの大河 河口 sideシルク

「一応、抜けたわね。」
「うん。 でも、やっぱり何か違和感があるんだよね〜……。」

順調に進んで、私達はダンジョンの最奥部…………というよりは、下流だから河口と言ったほうがいいわね。

とにかく、ダンジョンを突破したわ。

………にしても、やっぱり変だわ。

「そうよね……。ダンジョンに入ってから考えていたんだけど、どう考えてもおかしいわ。戦っている時の音以外は何も聞こえないし、風も吹いていない……。」
「ぼくもさっき泳いだんだけど、川なのに水が流れてなかったよ〜……。」

私達は、疑問の輪廻に捕らわれた。

あれから何時間か経っているけど、まるで変化がない……。

「「まるで、ここだけ[時]が止まっているみたいだ………。/止まっているみたいね……。」」

私達は同じ結論に至った。

そう考えるしか説明がつかないわ……。

おまけに、河口に近づくにつれて暗くなる一方………。

「………とにかく、調査する必要があるわね……。」
「うん。 まだ昼過ぎだし、時間があるからね……。」

ウォルタ君が前脚で鞄を探りながら言ったわ。

まだ帰る時間にしては早すぎるし、何よりここの謎が残されている……。

私達は疑問を解消すべく、河口付近の捜索を開始した。

………本当にわからないわ…………。


…………

北の砂漠 奥地 sideベリー

「ここが一番奥、なのかな?」

わたし達は吹き荒れる砂嵐に苦戦しながらも、なんとか奥地にたどり着いた。

わたしとフライは暑さに強いけど、ラテは本当に辛そうだったよ……。

砂はこの日差しで熱せられているし、空気が乾燥しているから……。

わたしにとっては、乾燥しているほうが嬉しいんだけどね。
空気が湿っていると、体中が痺れて動きが鈍くなるんだ……。

「どうやらそうみたいだね。…………にしても、本当に何もないね……。」

フライが辺りを見渡しながら言った。

確かに、周りには流砂がいくつものあるだけで………。

ここは空振りだったのかな……?

ラテは、ここに着いてからずっと考えこんでいるよ……。
奥地が近づいてからずっとこう。

「何もないみたいだし、ここは一旦……」
「この感じ、どこかであったような………。」

ずっと黙っていたラテが、眉間にしわをよせながら呟いた。

「………引き上げ………、ん?ラテン君、どうかしたの?」「初めてきたはずだけど、この場所を知っていると言うか………、何というか……。……」

ラテはまた黙って考え始めた。

………そういえば、[濃霧の森]に着いた時もこうして考えこんでいたっけ?

「………まあ、いっか。ここにあるのは流砂だけ………。それ以外には何も………。……ん?流砂[以外]………?いや、流がある。[霧の湖]の時も謎を解かないといけなかった………。…………! そっか、もしかして……。」

ラテ、何か閃いたのかな?突然声をあげたからビックリしたよ!

「ベリー、フライ、ダメ元で流砂に飛び込んでみない?」

「「えっ!?流砂の中に!?でも、どうして!!?」」

わたし達とフライは驚きの声をもらした。

ラテ、どういう事!?

「この先にまだ何かが続いている気がするんだ。……何故かは分からないけど……。でも、よく考えてみて![熱水の洞窟]も隠された場所にあったでしょ?もしそうなら、この先に進むためにはこの流砂をどうにかしないといけないと思うんだよ。」

ラテ、熱意が凄いよ………。

以前にも、こんな事があったよ……。

わたし達、“悠久の風”の初めての探検の時も、ラテの閃きのおかげで滝の裏にダンジョンあることがわかった………。

それに、[濃霧の森]の時だって、[時空の叫び]が発動して、謎が解けた………。

もしかして、今日もそれが発動したのかもしれない………。

つまり、わたし達、特にラテに関係あることなのかも………。

なら…………。

「ラテ、わたしはそれでいいよ。“悠久の風”のリーダーはラテでしょ?だから、わたしはラテについて行くよ!」

わたしは後半部分を強めて言った。

絶対に、何かあるよ!!

「………うんわかったよ。 ボクはあくまでもラテ君達の付き添い。それも無理を言ってここに来たんだから、決定権は2人にあるよ。だから、行こう、流砂の中に!」

フライも同意してくれた。

………話は決まったね!!

「じゃあ、同時に飛び込もうよ!!わたしが数えるから!」
「うん、いいよ!」
「ボクもOKだよ!!」

わたし達は威勢良く声を揃えた。

「じゃあ、いくよ! 1、2の3!!」

3の合図と同時に、渦巻く砂の流れに飛びこんだ。

………うっ!口に砂が入った!?


…………

流砂の洞窟入り口 sideフライ

「「うわああぁぁー!」」

流砂に飛びこんで、ラテ君とベリーちゃんが重力に引かれて自由落下を始めた。

ボクは慌てて急降下。

何か広い空間に出たけど、今はそんな暇はないよ!!

2人の下に回りこんで、背中で受けとめた。

このまま落ちていたら2人は大怪我していたかもしれないね………。

ボクが来て正解だったよ。

「っ!フライ、助かったよ。」
「本当に危なかったよ。でも、まさかこんなに広い空間があったなんて想像出来なかったよ!!」

ボク達は、大発見で歓喜の声をあげた。

「フライ、このまま乗せてもらってもいいかな?」

背中から、ラテ君がボクに聞いた。

「うん。構わないよ!じゃあ、しっかり掴まってて!」

「「うん!!」」

ボクは2人の返事を聞いてから、翼に力を込めた。


………

導きの大河 河口 sideシルク

「やっぱり、何も分からないわ……。」

探索を始めてから随分経つけど、なんの手がかりも見つからないわ………。

「……でも、絶対に何かあるはず……」
「やっぱり、チェリーから聞いた通りだ………。」

ウォルタ君の言葉を遮って、静まり返った河口に第三者の声が響いた。

この声は…………、

「あれ?シードさん、どうしてここに?」「シルクさんにウォルタ君!?」

シードさん。

「ぼく達は調査でここに来たんだよ〜。……来たときには既にこうなっていて……。」

声がうわづりながらも、落ちついて答えた。

「っていう事は、ここのはもう回収したんだ………。」

回収した?どういう事なの??ここに何かがあったって事?

「シードさん、ここに何かあったの〜?」

[ミズゴロウ]の姿のウォルタ君が、私が思った事を聞いた。

「はい。チェリーから聞いていると思いますが、[時の歯車]です。きっと、グラスさんかラツェルさんのどっちかが回収しからだと思います。」

シードさんが冷静に答えた。

「つまり、[時の歯車]が無くなったから、ここの[時]が止まったという事ね!?」

やっと謎が解けたわ!!

でも、そうという事は、もうここに[時間]が流れないって事よね??

「そうです。 僕も実際に見るのは初めてですが………。」
「でも、[ラツェル]っていう名前、チェリーから以外のどこかで聴いたような………。」

ウォルタ君が空を見上げて考え始めた。

「…………あっ!確かシリウスが言ってたよ!!確か、時を越えた人間がいるって。その人間の名前が[ラツェル]だった!!」
「!!?言われてみれば、そうね!!ってことは、もしかして、シリウスが言う[ラツェル]さんと、チェリーが言う[ラツェル]さんは同一人物になるわよね!?」

私の脳裏に閃きの電流が流れた。

「僕も初めて聞いたときは驚きました。確かに、同じ人間です。」

そうしか考えられないわ!

7200年代は[終焉の戦]より後の時代だから人間は存在しないはず。

だけど、チェリーはこの時代に[グラス]という名前のポケモンと、[ラツェル]という人間を導いた。

対して、シードさんはいつの時代からかは分からないけど、[ラツェル]という人間を[未来]に導いた。

これなら、7200年代に人間がいた事の説明ができる。

……………2つの謎が、繋がったわ。


………

地底の湖 sideフライ

「まさか、こんな所に湖があったなんて………。」

20分ぐらい天井スレスレを飛んでいたら、突然開けた場所に出た。

ボクは地面に降りて、背中に乗っている2人を下ろした。

それにしても、神秘的だよ………。

所々から漏れ出ている地上からの光が乱反射して、幻想的な光景を創り出している……。

周りが暗いから、断片的な光が際立っているよ……。

「ラテ、フライ、これは大発見だよ!!」

ベリーちゃんは興奮して声を荒げた。

ボクも同じ気持ちだよ!!

「ベリー、フライも、もっと近くで見てみようよ!」

ラテン君も、上機嫌で言った。

ボク達が三人揃って湖に近づこうとしたその時、

《あんた達が盗賊ね!!私の命に代えてでも絶対に取らせはしないわ!!!》

ボク達の頭の中に怒号が響いた。

「まって!!それはわたし達じゃないよ!!」
「僕達はただ、ここに迷いこんだだけです!!」
「第一に、何のことかボクにはさっぱり……。」

必死に無実をつたえていると、ベガさんに似た感じのポケモンが姿を現した。

もしかして、伝説のポケモン!?

「あんた達の事はベガから聞いているのよ!口答えはさせないわ!![金縛り]!!」
「だから、わたし達じゃな……「「っ!!!」」」

ボク達は突然超能力で拘束された。


くっ!!動けない!?

「[神通力]!!」

「っ!!!」「「フライ!!」」

刹那、ボクは体内から猛烈な痛みに襲われた。

くっ!!結構な威力…!

「気が逸れた![シャドーボール]!!」

相手がボクに集中している隙に、ラテ君が口元に漆黒のエネルギーを溜めて撃ちだした。

「くっ!!流石は大盗賊。私の技を振りきるとはね……。」

「「だから、僕達/だから、ボク達は盗賊じゃないって!!」」「だから、わたし達は盗賊じゃないって!!」

ボク達は彼女?に必死に訴えた。

完全に誤解されてるよ……。

………仕方ない………。

「………戦うしかなさそうだよ……。[超おん……]……」「[サイコキネ……]………」

ボクが戦闘を覚悟して技を出そうとしたその時、

「大盗賊とは俺の事か?[縛り玉]で!!」

第三者が現れて、何かを発動させた。

えっ!??

「「「「!??っ!!」」」」

一方的に攻撃してきた相手を含めて、ボク達4人は行動の自由を奪われた。

「っ!今度は、何!?」
「取り込み中悪いが、使命を果たすためだ。[時の歯車]はもらっていく。……許せ。」

言うなり、[縛り玉]を発動させた張本人、[ジュプトル]が湖に飛び込んだ。

でも……、えっ!?今、[時の歯車]って言った!?

「…………私の早とちりで………、本当に、ごめんなさい……。ベガが言っていた盗賊は、あいつだったのね……。」

彼女はうなだれて言った。

「誰でも間違える事はありますよ。ええっと……」
「[アルタイル]、[エムリット]のアルタイルです。」

ボクが名前が解らず、困っていると彼女、アルタイルさんが名乗った。

「アルタイルさ…………」

ボクが言いかけたその時、

ゴゴゴゴゴゴ

突然、辺りは轟音に包まれた。

今度は何!?

「………[時]が、止まる……。」

「「「えっ!?今、何て……」」」

ボク達は声を揃えた。

「[時の歯車]が外された今、急激に[時]の停止が進み始めてしまいました!!……」

アルタイルさんが切羽詰まった様子で言った。

!!?

「……あれに巻き込まれたら、私達の[時]も止まってしまいます!!」
「でも、わたし達は[縛り玉]を使われて身動きがとれないんだよ!!」
「これだと、逃げるにも逃げられない!!」
「……一体どうすれば……。」

アルタイルさん、ベリーちゃん、ラテ君、ボクの順番に言った。

…………まさに絶体絶命………。

…………本当に、マズい………………。

縛られているから、[穴抜けの玉]を使えない。

一体どうすればいいんだ……………。


@ ( 2013/09/15(日) 02:07 )