絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























小説トップ
巻之九 各地で起こる異変
泗拾八 チェリーの目的
西暦7000年 言霊の森中奥部 sideハク

「シルク、ありがとう。」

シルクは自分の鞄からクリーム色の液体?が入った瓶を取りだした。

何なんやろう?

それをフライに手渡した。

………それにしても、シルクって不思議な人やな。

過去のポケモンっていうのもあるけど、見たことがない技を使っとったし……。

[シャドーボール]と[目覚めるパワー]を使ったのはわかったんやけど…。それに、普通は技を4つしか使えないのに、シルクは5つ目の技………、おまけに[エーフィー]は絶対に使えない[電気ショック]も使っとった……。

一体どういう事なん!?

「ハク、ウォルタ君、シリウスも、これを飲んで!」
「うん、ありがと〜。」

「……自分にも、ですか?」「んっ!?」

ウチは突然名前を呼ばれて素っ頓狂な声をあげた。

「シルク、それって何なん?」

他にもたくさん聞きたいことがあるんやけど、まずはシルクにもらった謎の液体について質問した。

「これは、[林檎]と[オレンの実]から作ったドリンクよ。シリウスはわかるかもしれないけど、[化学]を利用して効果を高めたのよ。」

[化学]……?そういえば一度、聞いたことがあるような……、ないような……。

「……[化学]ですか。詳しくは分かりませんが、その技術を応用したのですね?」
「ええ、そうよ。」
「ちなみに、シルクの戦法もそれを応用しているんだよ。」

……あっ、そういえば、シリウスと初めて出会った時に聞いた気がするわ!

フライがシルク達の説明に付け加えた。

「そうなんやな。……とにかく、古代の技術を使ったんやな?」
「そうよ。」

ウチは無理やり結論づけた。

「……あと、シルクさんはどうして[電気ショック]を使えるのですか?自分達、ポケモンは4つしか使えないはずなのに……。」

シリウスが、ウチが聞こうとしていたことをたずねた。

「ぼくと同じで、シルクにも[チカラ]があるんだよ〜。」

[ウォーグル]の姿のウォルタ君が言った。

えっ!?シルクにも!?

「私の[絆の従者のチカラ]は、攻撃に特化した能力なのよ。その関係で、通常より多く……、6つの技を使えるのよ。……私はまだ5つしか使えないけどね。」

シルクはにっこりと笑って言った。

「ただ、ぼく達の[チカラ]にはマイナスの部分もあるんだよ〜。」

「……「マイナス?」」

ウチとシリウスが声を揃えた。

……つまり、シルク達にとって悪いことやな?」

「そう。私とウォルタ君は守りが極端に弱くなっているのよ。」

守りが?

「ウォルタ君は他にも、二つの姿で合わせて4つしか技を使えないんだよ。」
「あと、シルクは毒とかにも弱くなって、道具を使って回復も出来ないんだよ〜。」
「これらは[代償]と代々呼ばれているわ。」

三人が少し暗い声で言った。

…………これで謎が解けたよ!

シルクとウォルタ君、常識外れな能力は[チカラ]の影響やったんやな?

やっと解ったわ!

………

言霊の森奥地 sideシルク

あの後、ハク達は無事に全ての依頼を達成する事ができたわ。

………当の本人は楽勝って感じだったけどね!

そして、私達は自分達の事をもっと話しながら楽しく探検したわ。

シリウスは元の時代で数学を学んでいたのね?

それに、ハクは[真実の頂]の麓の村の出身らしいわ。

もしかすると、ルアン君の事も知っているかもしれないわね。


そして、話しているうちに薄暗い森を抜けて……、

「やった、出口だ〜。」

ウォルタ君が安堵の声を漏らしたわ。

ちなみに、ウォルタ君は戦っているうちに[シャドークロー]を習得したわ。

「やっとついたな。 とりあえず、一番奥に着いたから………」
「……このあたりなら、大丈夫かもしれないわね。」

私達が話している近くで、聞き覚えのある高い声がしたわ。

ピンク色で小さい身体………、

「………そろそろ戻ろう……、? あのポケモン、見たことない種族やな?」

そして、あの声…。間違いないわ!

「チェリー、こんな所で会うなんて奇遇ね!」
「この声は、シルク!それに、ウォルタ君にフライさんも!その様子だと、怪我も治ったのね!」

色違いの「セレビィ]、チェリーが私達の存在を確認すると弾けるような笑顔とともにこっちに飛んできたわ。

「うん、お陰様でね〜。2人共、完全に治ったよ〜!」

[ミズゴロウ]の姿でウォルタ君が言ったわ。

「………[セレビィ]……!?でも、色が……。」「シルク?この2人は?」

シリウスはチェリーの色に気づいて1人、かんがえこみ、チェリーはハク達を見て言ったわ。

「チェリー、彼女は[ハクリュー]のハク、彼は[アブソル]のシリウス。2人は探検隊をしている私達の友達よ!」

私はチェリーに、簡単に紹介した。

「よろしくね!」

チェリーは陽気な笑顔で2人を見つめたわ。

「………よろしく、お願いします……。」「こちらこそ、よろしくね!」

2人はそれぞれチェリーと、前脚と尻尾で握手を交わしたわ。

「……早速で悪いんだけど、シルク、あなたにどうしても伝えたい事があるの……。」

チェリーは急に真剣な表情になって言った。

………彼女の真剣な顔を見るのは、戦った時以来だわ……。

「「「話したい事?」」」

私、フライ、ウォルタ君が疑問符とともに声を揃えた。

《この2人はまだ会ったばかりだから、この2人には言うわけにはいかないのよ………。》

私の頭の中に声が響いた。

フライとウォルタ君も、チェリーの方を向いたから、2人にも聞こえたのね?

〈わかったわ。私しか[テレパシー]を使えないから、私から伝えておくわね。………で、話って?〉

私も、チェリーに向けて言葉を伝えたわ。

《……私は7200年代の出身て言うのは知っているわよね?》
〈ええ。前に聞いたわ。〉

私とチェリーの、無言の会話が始まった。

《その7200年代だけど……、実は[時]が止まっているの……。》
〈えっ!?[時]が………止まっている!?〉

えっ!?チェリー、今、何て言った!?

《正確には、[星]がって言ったほうがいいわね………。それは色もなくて、風、音、光も無い……、まさに暗黒の世界……。》
〈星が……!?〉

私は、あまりのことに言葉を失った………。

チェリーは絶句している私に構わずに話を進める。

《わたしは、そんな世界を変えたくて、同じ思いを持った2人をこの時代に連れてきたのよ。………種族は言えないけど、1人は[グラス]という名前。もう一人は、わたしはあだ名で呼んでいたけど、[ラツェル]っていう名前なのよ。》

ラツェル……………、どこかで聞いたような…………。

《私達は途中までは順調だったけど、[時渡り]をしている最中に事故に巻き込まれて[ラツェル]とはぐれてしまったのよ……。今も彼の行方はわかってないわ。》
〈事故…………?それに、行方不明って…。〉
《その事故はおそらく外部の誰かが引き起こしたもの……。おそらく奴に違いないわ……。》
〈奴……?奴って?〉

私は、その[奴]が誰なのか気になって、聞き返したわ。

《種族と名前は言えないわ………。シードから聞いた情報によると、奴はこの時代では凄く信頼されているらしいわ……。これだけ言っておくと、そいつの本性は、[星の停止]を引き起こすためには手段を選ばない奴なの……。それに、そいつは[トレジャータウン]に我が物顔でとけ込んでいるわ………。》
〈!!?[トレジャータウン]に!?〉

うそ、よね?

もしかすると、仲がいい人物の可能性かあるって事よね………。

《そう………。そいつに私達は追われているのよ。》
〈チェリー、その人の………特徴を……もう少し……教えてくれるかしら………?〉

私は無理を承知で、彼女に聞いた。

せめて………手がかりの1つだけでも……。

チェリー、[絆]を紡いだ仲、いや、友達、一匹の[エーフィー]として、あなたにふりかかる危険を軽減してあげたい……。

だから………。

《奴はゴーストタイプを持っているわ。………シルク、あなたのためにもこれだけしか言えないわ。……もし、奴に感づかれたらあなたの[命]も危険にさらされるから………。》
〈…………わかったわ。これ以上は聞かないわ。〉

チェリー、わかったわ。


私は、チェリーの言葉を心に留めた。

私は何度も身の危険に遭遇してきた…。

だからこそ、お節介かもしれないけど、私はあなたの手助けをしたい!

だから……………。


私は意を決した。

誰にも気づかれないように、この事を調べると………。

フライとウォルタ君に危ない目に遭わせる訳にはいかない。

………身の危険にさらされるのは私だけで十分………。

だから………、私1人で…………。



巻之九  完  続く

@ ( 2013/09/08(日) 01:30 )