絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之八 黒の有識者
参拾九 届いた脅迫状
西暦7000年 トレジャータウン sideフライ

「そうですか。シルクさん達は伝説の調査をしているんですね。」
「ええ。 今のところ、何も成果がないけどね。私達、一昨日まで怪我で外出できなかったから滞っていたのよね。」

シルクが後半部分をボソッと呟いた。
ボクも動けなかったし……。

「シルクは喉を火傷、フライは全身打撲で完治するのに1ヶ月もかかったからね。 でも、無事に治って良かったよ。」

ラテ君が改めて肩をなで下ろした。

「そんな重傷を…………」

……負ったのですね……。

シャドウさんが言おうとした時、

「シズク、はやくいくよ!」
「お兄ちゃん、待ってー!」

ブルー君とシズクちゃんが通りかかった。

急いでるみたいだけど、何かあったのかな?

「あっ、ブルーくんにシズクちゃん、どうしたの?」
「ベリーさんにラテさん、それにシルクさんにフライさんもお久しぶりです!」

ベリーちゃんが話しかけると、2人は息を切らして立ち止まった。

本当に久しぶりだね!

「久しぶりね。 それにしても、そんなに急いでどうかしたのかしら?」

シルクは2人に優しく話しかけた。

「前に話した[水のフロート]を見たっていう人がいたんです!」

ブルー君がぱっと明るい声で言った。

見つかってよかったね。

ボク達がこの時代に来たぐらいから探していたみたいだから、もう2ヶ月ぐらいになるかな?


……………どんなものかは知らないけど………。

「本当に? みつかって良かったね。」
「[水のフロート]?それは何なんですか?」

話していると、シスさんが口を挟んだ。

「商店経営している私達でも聞いたことがないですよー。」

今度はトランスさん。
2人でも知らない物ってあるんだね?

「えー、確か[マリル]と[ルリリ]専用の道具で、人々と何度も交換しないと手には入らない貴重な道具です。」

シャドウさんが淡々と説明した。

へぇー、珍しいんだー。

「シャドウさんは物知りなのね。」
「そんなに貴重なら、私達の店に入荷する事は殆どないですね。」

シスさんが笑いながら言った。

「入荷…………?あっ、そうだった!!ラテ、報告に行かないと!!」

「「「!??」」」

突然ベリーちゃんが声を張り上げ、ボク、シルク、ウォルタ君は飛びあがるほど驚いた。

………ベリーちゃん、ほんとにビックリしたよ……。
たぶん、[驚かす]に匹敵したと思うよ?

「僕もうっかりしていたよ! じゃあ、僕達はこの辺で失礼します!」
「あっ、うん!」

ラテ君は頭をぺこりと下げると、ギルドの方へかけていった。

「ベリー達、慌ててたけど、何かあったのかな〜?」

ウォルタ君は首を傾げた。

「トランスさん、何かあったんですか?」

ボクはトランスさんに質問をぶつけた。

「ラテ君達、[セカイイチ]がうちで入荷するか聞きに来たんですよー。」
「[セカイイチ]…………、ああー!ラックさんが大好きな林檎みたいな果物の事ね?」

少し考えて、シルクは閃いたように声をあげた。

ラックさんの好物だね?

「きっとフラットさんに、聞いてくるように頼まれたんだろうね。」

たぶんそうだね。

「[セカイイチ]も高価な木の実ですよ。」
「そうなんですね。 僕達もそろそろ行きますね。」

ブルー君も一礼して、この場をあとにした。

「……ブルー君、ラテ君と同じで礼儀正しいわね。」
「うん。ブルー君は妹ができてから、急にしっかりしたんだよ〜。ブルー君とも昔からの知り合いだからね〜。お互いによく知ってるよ〜。」

へぇー、そうだったんだー。

「……あっ、忘れるところだったわ。シスさん、トランスさん、いつものやつ、お願いしますわね!」
「そうだったね。すっかり忘れてたよ〜。ぼくもお願いね。」
「シルク達は買い物に来てたんだね?じゃあボクも買おうかな?」

シルク達、本来の目的を忘れかけていたんだね?

「「はい!毎度ありー!」」

2人が威勢良く返事した。

ボク達は、いつもの金額を払った。

「買い物も済んだし、私達も行きましょ。」
「そうだね〜。」
「では、私も失礼しますか。」

ボク達はギルドのほうに歩いていって、雑談会は幕を閉じた。

………

交差点 sideラテ

「ベリー、やっぱりダメだったね。」

僕達はフラットに報告を終えて、後回しにした買い物をするために坂道を駆け降りた。

毎日上り下りしているから、流石にもう慣れたよ。

「うん。でも、あんなにぼそぼそ言わなくてもいいよね?」
「確かにね。失敗したのは事実だけど、引きずられるのもね……。」

気分はいいものじゃないよ……。

僕達はさっきのことの愚痴をこぼした。

「嫌だよねー。……あれ?あんなところでブルー君達、どうしたんだろう?」

交差点の真ん中で、ブルー君達がたちつくしていた。

見つけた人と待ち合わせしているのかな?

「さあー?ブルー君にシズクちゃん、見つけた人と待ち合わせしてるの?」
「あっ、ラテさんにベリーさん、丁度よかった。僕達は2人に頼みたい事があるんです。」

ブルー君は何かを取り出しながら言った。

「僕達に?」「私達に?」

「はい。 [水のフロート]を取ってきてくれますか?」

ブルー君は安心したように言った。

……あれ?見つかったんじゃないの?

「いいけど、どうして?」

ベリーが不思議そうに聞いた。

「見つかった場所が、ここから凄く遠くにあるんです。 僕は弱いから1人では行けなくて……。」
「遠くで…………」

見つかったんだー。

そう言おうとした時、

「あれ〜?ブルー君、探しに行ったんじゃなかったの〜?」

ウォルタ君とシルクが通りかかった。

「うん。」
「遠くで見つかったらしいんだよ。」

僕が簡単に説明した。

「…………で、場所はどこなのかしら?」
「[エレキ平原]です。」
「………なら、わたし達が代わりに行ってこよっか?」

ベリーが提案………、僕もそう思ったよ!

「お願いします!」

ブルー君が目を輝かせた。

喜んでくれて嬉しいよ。

「ブルー君、ぼくも手伝おっか?」
「えっ!?ウォルタ君!?」

ウォルタ君も名乗りをあげた。

直後にシルクが驚いてウォルタ君のほうに振りかえった。

「大丈夫だよ〜。奮発して道具も沢山買ったし、何とかなるよ〜!」
「でも、ウォルタ君、あなたは……」
「大丈夫だって〜!じゃあ、ラテ君、ベリー、いこ!」

ウォルタ君はシルクの言葉を遮った。
何かを言いかけてたけど……。

「う、うん。」

僕はウォルタ君に押されて、ベリーと共に交差点をあとにした。

「ちょっと、ウォルタ君!!………行っちゃった………。」

交差点には、シルクの声が虚しくこだました。

………

sideシルク

「ちょっと、ウォルタ君!!………行っちゃった………。」

ウォルタ君、あなたは私と同じで明日までは技が使えないのに………。

「あれ?シルク?ウォルタ君も一緒にいたよね?」

私の背後から低い声……フライが私に話しかけた。

…………なぜフライと一緒にいなかったのかというと、あの後、フライはシャドウさんと話していたから、私とウォルタ君だけで先に来たのよ。

「ええ。私は呼び止めたんだけど、大声が出せなくて……、たぶん届かなかったわ。」

できる限り叫んだけど、声が掠れて……。

「うん。間が殆どなかったから、これを渡しそびれて……。」

ブルー君が徐々に暗い声になりながら一枚の紙を取り出したわ。

「………それは?」

フライと話していたシャドウさんが口を開いた。

「これをラテさん達に渡すように言われたんです。」
「これは……手紙?」
「そのようね。」

でも、読めないわね……。

「何て書いてありますか?」

シャドウさんに言われて……

「ええっと……」

ブルー君が読み始めた。

「………{[水のフロート]が欲しければ[エレキ平原]に来い!無事にたどり着けたらだがな…クックックッ……。}………。」
「……………もしかして、脅迫状!?」

文面からして、絶対にそうよ!
文末からすると………。

まさか、奴ら??

アイツ等、ポケモン失格ね!!

私はいつかぶりの怒りの炎を燃や……

「[エレキ平原]!? この時期は確か…………。 !!このままではあの3人が危ない!!」

……した……。

えっ!?

「えっ!?シャドウさん、どういう事!?」

フライが慌てて聞いた。

「今の時期はとても危険なんです!難易度もゴールドランクに匹敵します!」
「ゴールド!?……確か、ラテ君達もゴールドランクだったわよね!?」
「うん!そのはずだよ!」

私は揃って声を張り上げる。

………私はそれほど出なかったけど…。

「こうしてはいられない!今から行ってきます!」

言うや否や、シャドウさんが走り出そうとした。

「待ってください!ダンジョンの名前からすると、電気タイプが中心……。だから、ボクも行きます!」

彼を呼び止めて、フライが名乗りを挙げた。

「私も行きたいところだけど………、私は無理そうだわ……。だから、フライ、頼んだわ!!」

[木の枝]だけでは十分に闘えないから…………。

………だから、私は行けないわ……。

「うん!シャドウさん、行きましょう!」
「はい。こっちです!!」
「頼んだわよ!!」

フライとシャドウさんは、三人のあとを追った。

私は火傷の後遺症で掠れない限界の大きさの声で言って、2人を見送ったわ。

電気タイプなら、ウォルタ君、危ないわね……。

ただでさえ技が使えないのに……。

@ ( 2013/08/21(水) 01:21 )