絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之八 黒の有識者
参拾八 黒い訪問者
西暦7000年 ギルド sideベリー

「ハア、ハア、いけない!寝坊しちゃった」

わたしは部屋から飛びだした。

寝坊したのっていつ以来だろう。
いつもはちゃんと起きれるんだけど………

あっ、そういえば昨日は道具の整理をしてたから遅くまで起きてたんだ。

「ごめんなさい、寝坊しちゃっ………あれ?いつもはシルク達がいるはずだよね?」

わたしが起きる頃には3人ともいるのに、今日はシルク達の姿がそこにはなかった。

「シルク達なら、まだ寝てるよ。」
「シルクさん達は、昨日久しぶりに外出したから疲れたのだと思う♪」

フラットが声を潜めて言った。

そういえば、1ヶ月ぶりの外出だったっけ?

「それに、[誘いの坑道]はランクで言うと、シルバーぐらいでないと突破出来ないって聞いたことがあるでゲス。」
「わたしでも油断すると失敗するぐらいですわー。」
「えっ?いきなりそんな所にいったんですか!?」

ブラウンさん、本当に!?

ラテが声をあげた。

「しっ、静かに♪だから、ゆっくり寝てもらってる。私も勧めた手前、無理させてしまったからな♪ だから、今日は静かに朝礼を始めるぞ♪」

フラットが声を細めて言った。
疲れてるのに、起こしたらかわいそうだもんね。

「うん!」

こんな感じで、今日はボリューム少なめで朝礼が始まった。

………

部屋 sideシルク

「…………っ、朝……?」

私は差しこむ日の暑さで目を覚ました。

「あっ、シルク、起きたね〜。」

埋めていた顔を起こすと、背後から聞き慣れない低い声がした………。

「………、そうだったわね。ウォルタ君だったわね。」

私は寝起きでぼーっとしている脳をフルに使って、昨日の記憶を探り出した。
起きあがって振り返ると、そこには[ウォーグル]………、[真実のチカラ]で変化したウォルタ君が鋭いけど優しい目つきで私を見つめた。

鋭いのは種族上仕方ないんだけどね………。

「うん。一晩この姿で過ごしたから、大分慣れたよ〜。………まだ飛べないけどね〜。」

ウォルタ君は笑いながら言った。

………やっぱり、種族が変わると雰囲気も変わるわね。

[ミズゴロウ]の姿だと、のんびりとした感じだけど、[ウォーグル]だと凄く威厳があってたくましいわ。

…………かなりのイケメンね……。

「これから飛ぶ練習もしないといけないわね。………フライ、まだ寝てるわね。」

私は寝息をたてているフライに目をやった。

「うん。………とりあえず、そっとしておく〜?」
「そうね。 昨日は帰る時に乗せてもらったからね。」

たぶん、フライは私以上に疲れているからね。

「じゃあシルク?ぼく達で先に[トレジャータウン]に行ってよっか〜。」
「ええ、そうね。 でも、ウォルタ君は元の姿に戻ってからね。本来なら、ウォルタ君は[ミズゴロウ]だからね。」
「あっ、そうだったよ〜。すっかり馴染んだからこのまま出るところだったよ〜。」

ウォルタ君は慌てて目を閉じて集中したわ。

次第にウォルタ君は淡い光に包まれていつた。

「ウォルタ君、変化にかかる時間が短くなっているわね。」

私のトレーナーは、始めのうちは3分ぐらいかかっていたけど、それに対してウォルタ君は1分ぐらいで終わりそうね。

きっと、人間からポケモンに変わるから時間がかかったのかもしれないわね。
身体の構造が違いすぎるし……。

そうこうしているうちに、ウォルタ君を包んでいた光が収まったわ。

「シルク、お待たせ〜。」

そこには、いつものウォルタ君、[ミズゴロウ]がそこにいた。
………当然といったら当然ね。[ウォーグル]と[ミズゴロウ]は同一人物だからね。

「終わったわね。じゃあ、行きましょ。」

私はノートの切れ端………ウォルタ君が変化している間に書いたメモ書きを置いて、部屋をでたわ。

ダンジョンに行くつもりはないから、先に行ってるわね。

………

トレジャータウン sideウォルタ

「やっぱり、いつ来ても賑やかだね〜。」
「そうね。聞いたところによると、この辺では一番大きな街らしいわね。」

ぼく達は坂を下って繁華街にはいった。

「その通りだよ〜。シルク?まずはどこからいく〜?」

ぼくは4足で歩きながらシルクにきいた。

「そうね………、奥からいったらいいんじゃないかしら?」

シルクはぼくのほうを見て、行く先を見た。

「………となると、シスさん達の店だね〜?」
「そうなるわね。たぶん、話している間にフライも来ると思うから、行きましょ。」

シルクは口元を緩めていった。

……やっぱり、いつ見ても可愛いよ……。

数分後

「…………そうなんだ……。やっぱり、現地まで取りにいかないといけないんですね……。」

シスさん達の店の前まで来ると、ベリーとラテ君がシスさん達と話している場面に出くわした。
ラテ君、残念そうに言ったけど、何かあったのかな〜?

「あら?ラテ君にベリーちゃん、こんな所で会うなんて奇遇ね。」
「あっ、シルクにウォルタ、起きたんだね?」

シルクが話しかけると、ベリーが笑顔とともに振りかえった。

「うん。フライはまだ寝てるけどね〜。」
「シルクもだけど、昨日は久しぶりのダンジョンだったみたいだしね。」
「ええ。疲れたけど、何とか感覚を取り戻せたわ。」

ぼくを含めて、シルク達と和気あいあいと話がすすむ。

「取り戻すというか、いつも以上に技の威力が上がってたよ〜。」
「へぇー。やっぱりシルク達は凄いよ。」
「噂では、そこそこのランクの探検隊でないと突破出来ないダンジョンを抜けたらしいですね。」

トランスさんが感心したように言った。

「あのダンジョン、そんなに難しかったんだ〜。」
「でも、肩慣らしには丁度よかったわ。」

肩慣らしって………。

確かに、シルクとフライは2人で[グラードン]を倒すぐらいだから、気休めにしかならなかったのかもしれないね〜。

ぼくはギリギリだったのに………、やっぱり、レベル高いよ。

「シルク達も強いけど、最近はウォルタも急に強くなったよね。」
「えっ?ぼくも〜?」

ベリーはぼくの方を見て言った。

そうかな………?

「うん。一昨日一緒に[林檎の森]に行った時、[モンスターハウス]で囲まれたけど、ウォルタ君が相殺してくれたからね。………正直驚いたよ。」
「[地震]の威力、遠征の前より上がっていたしね。」
「1ヶ月間の努力の賜物ね。」

みんな揃ってぼくを褒め称えた。

…………そんなに褒められると、照れちゃうよ〜。

ぼくは少し顔が火照った。

「…………に会えるなんて、光栄ですよ。」
「ボク達って、そんなに有名だったんですね。」

ぼく達の話が一区切りしたところで、ギルドのほうからフライと誰かが喋りながらやってきた。

「フライ、起きたのね?………でも、その人は誰かしら?」

シルクはフライに聞いた。

…………一体誰だろう…。

「ああ、この人は[ヨノワール]のシャドウさんって言って、探検家らしいんだよ。」
「どうも、紹介に預かったシャドウです。」

そう言って、その人が律儀に一礼した。
………紳士的な人だね。

「「えっ!?あの有名な探検家の??」」

シスさんとトランスさんは声を揃えた。

「あなたは探検家なのね。私は[エーフィー]のシルク、考古学者をしているわ。よろしくお願いしますわね。」

シルクも丁寧に挨拶して、右前脚をだした。

「[エーフィー]に[フライゴン]ということは、あなた達が噂の2人組ですか。お会いできて光栄です。最近は弟子をとったらしいですね。」

シルクとシャドウさんは握手を交わした。

「私、主従関係で結ばれるのは嫌いだから、弟子はとってないわ。」
「うん。だから、ぼくは対等な立場だよ〜。 あっ、ぼくは[ミズゴロウ]のウォルタ、よろしくね〜。」

ぼくも簡単に自己紹介した。

「よろしくお願いします。」

ぼくもシャドウさんと握手した。

…………こうやって、人と人が繋がるのって、何かいいね。

シルクの言葉を借りると、[絆]の橋が架かった………のかな?

@ ( 2013/08/20(火) 00:40 )