絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之八 黒の有識者
参拾七 ウォルタのチカラ
西暦7000年 ギルド sideラテ

「……………足型は[ポッポ]!」

傾いた日差しが入る穴の中、僕はヘルツさんに聞こえるように声をはりあげた。

ええっと、今日の僕達の仕事は見張り番。ホール君が用事で出かけているみたいだから、ベリーと代わりを任せられたんだよ。

…………おかげで喉が痛いよ………。

「ラテ?時間的にも、もうすぐ終わりじゃないかな?」

ベリーがカスカスの声で言った。

やっぱり、何回やっても慣れないよ。

ホール君、これを毎日やってるなんて、凄すぎるよ。

「そうだね。外の光も弱くなって来てるし、もうすぐ門限の時間だね。」

門限になったら入れなくなるから、そこで仕事が終わるんだよ。

………ん?足音が………。

誰か来たね。

「ポケモン発見!」

僕は声が掠れないように注意しながら大声を出した。

「誰の足型だ?」

暗がりからヘルツさんの声が響く。

「足が………」
「あっ、今日はラテ君達なんだね?」

……たは………。
僕の言葉を遮って、はるか上から低い声がした。

「この声は、フライだね?」

ベリーが僕の横で声を弾ませた。

「私もいるわよ。」「ぼくを一緒だよ〜!」

続けてシルク達の声もした。

「だから、足型はフライさん! たぶんすぐに入れると思うよ!」
「フライさん達だな? 今行く!」

僕はシルク達の帰還を伝えた。

「ええ、……あっ、開いたわ。」
「時間には間にあったみたいだね〜。」

上で門が開く音がした。
それに続いて3つの足音……。

「ラテ、ベリー、今日の仕事は終了だ♪」

足音が消えるか消えないかのタイミングで、業務終了の合図。

この時を待っていたよ!!

………

食堂 sideシルク

「なんとか間にあったわね。」
「うん〜。フライ、ありがとね。」

フライのおかげで、ギリギリ間にあったわ。
やっぱり、フライのスピードは凄いわ。

陸路でいくと3時間はかかったけど、フライはその距離をたった30分でたどり着いたわ。
………私達が乗ってたから、実際はもう少し速いかもしれないわね。

私はフライの苦労を労いながら、いつもの席についたわ。

「……えー、シルクさん達も帰ったから、食事にするよ♪親方様、お願いします♪」
「うん。じゃあ、いただきます。」

「「「「いただきます!!」」」」

全員が声を揃えて号令………、やっぱりこれがないと1日が終わった気がしないわ。

「あれ?シルク?今日の朝にそのスカーフを着けてたっけ?」

ラテ君は、皿に盛られた林檎にかじり付きながらいったわ。

そのスカーフとは、今日シロさんから貰った水色の[従者の証]のこと。

ウォルタ君は、白の[真実の証]。

私達、まだコントロールできないから、うかつに[チカラ]を使えないわね。

私も、技を何にするか決めてないし、………。
………明日から練習したほうがいいわね。

「いいえ、してないわ。 これは御守りみたいなものよ。」
「御守り……? あっ、そういえば、今日は[真実の頂]の神社にいくって言ってたね。」

ベリーちゃんが思い出したように言ったわ。

「ええっと、うん、そう。ぼくのもそうだよ〜。」

とりあえず、[証]は御守りってことにしておいたわ。
ウォルタ君は特に、伏せておく必要があるからね。

「ウォルタのもなんだね?」
「うん。ボクは持ち合わせがなかったから買えなかったんだよね……。」

フライが空気をよんでいったわ。

これが[証]とは、人が多い所では言えないわ。


…………ええっと、この後はいつもの雑談で夜が更けていったわ。

…………

部屋 sideウォルタ

「シルク、フライ、今日はいろいろあったね〜。」
「そうね。 ダンジョンの突破、絶景………。」
「それに、登山と[チカラ]だね。」

日付が変わる頃、ぼく達は旅の余韻に浸っている。

ギルドを出発したのが随分昔なような気がするよ〜。

「うん。それに、まさかぼくが[英雄]に任命されるとは思わなかったよ〜。まだ実感が湧かないや〜。」

突然だったから、びっくりしたよ〜。

「私のトレーナーが任命された時も突然だったわ。 ……ウォルタ君、技の練習はできないけど、変化する事は出来るから、練習してみたらどうかしら?」

……うん。ぼく達は明後日ぐらいまで技は使えないから、これぐらいしかできないね。

「うん、やってみるよ〜!」

慣れるためにも、練習しないとね〜。

ぼくは目を閉じて、[ウォーグル]の姿を強くイメージした。

……………ぼくは[ミズゴロウ]じゃなくて[ウォーグル]だ………。

「……始まったね。」

ぼくは次第に淡い光に包まれる。

ぼくの姿も実体がなくなり、光と同化する………。

痛みはなくて………むしろ心地がいいくらいだよ。

光がだんだん鳥のかたちを形成し始める。

……光が弱まり、ぼくの身体も実体化する。

「………ウォルタ君、終わったわよ。」

ぼくはシルクに言われて、ゆっくりと目を開ける。

嘴、羽毛、翼、爪………

「まだ時間がかかるけど、コツを掴んだよ〜。」

そして、普段よりも低い声……。

「その調子だね。」

今のぼくは、誰がどう見ても[ウォーグル]。
たぶんシルクとフライ、ルアン君、そしてシロ以外には、ぼくがぼくであることに気づかないだろうな〜。

声も低くなるし……。

「頑張るよ〜。 フライ、今のぼくって、どんな感じ?」

ぼくはフライのほうを見て言った。

今日はまだ自分の姿をみれてないから、ぼくがどんな感じかわからないんだよね。

「カッコイいよ。」
「それに、並みの[ウォーグル]より、少し大きいわ。」
「へぇ〜。ぼくってそんな感じなんだね〜? シルク?1つ聞いてもいい?」

そういえば………

「ええ、いいわよ。」

シルクはにっこり微笑んだ。

「[ウォーグル]って、どんな種族なの〜?野生では見たことがあるけど、どんな種族かわからないんだよね〜。」

自分の種族の事を知っておかないといけないよね?

「ボクも知らないから、教えてくれる?イッシュの種族っていうことくらいしかわからないから……。」

フライも、知らなかったんだ…。

「ええっと、確かノーマル、飛行タイプで、一度進化している種族よ。特殊技より、物理技の方が相性が良くて、攻撃に特化した種族だったと思うわ。……………うろ覚えでしかないけど………。」
「ノーマルと飛行だね〜? うん、わかったよ〜。ありがとね〜。」

うん、大体わかったよ〜。

「[ウォーグル]について説明できたから、そろそろ寝ましょ。明日も早いからね。」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、お休み〜。」

たぶん、話している間に日付、かわったね?

ぼくは[ウォーグル]の姿のまま眠りについた。

@ ( 2013/08/19(月) 00:51 )