絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之六 霧の湖で
参拾 2人の聖霊
西暦7000年 sideフライ

「………ううっ。」
「良かった……。気がついたね〜!」

ボクは何とか意識を取り戻した。

ウォルタ君がいるってことは、シルクもいるはず。

でも、横たわったまま見渡しても見当たらない……。

「シルクは………?」
「シルクなら、闘ってるよ〜。」

えっ?シルクが………。

ボクは現状を確認するため、身体を起こした。

「あと、ベリーもラテ君も無事だよ〜!」

ボクは頷き、ウォルタ君の言葉を聞いた。

「[ソーラー………ビーム]!」

身体を起こすと、真っ先に光線、ボクを倒した[ソーラービーム]を放つ光景が目に入った。
その先には………

「[シャドー………ボール]!」

今にも倒れそうなシルク………。
彼女はかろうじて横に跳んで技を放った。

っ! 光線が邪魔で見えない!!

シルクは!? 

「っっ!!!」

シルクの悲鳴……。まさか……。

「シルク!!」

ボクはいても経ってもいられず、飛びたった。でも…………

「くっ!!」
「フライ!!」

翼に力が入らず、顔面から地面に激突。

身体がいうことを利かない。…………何で……!?

「フライ……シルクも心配だけど、無理しないで……。フライ、君は火傷を負って、さらに瀕死の重傷だったんだから……。だから、今も予断を許さない状態だよ〜。」

瀕死……。

確かに、節々が痛むというか………身体の内側に違和感があるというか………。

!!?

ここで激しい揺れ…。

ボク達はその揺れの発生もとと思われる方向に目をやった。

ちょうど赤い巨体が崩れ落ちた瞬間だった。

「…………終わった………?」

倒れたということは………きっとそう。

「はっ!シルクは!?」

シルク…………。

ボクは急いで彼女の姿を捜した。

「シルク………。」

彼女は力なく横たわっていた………。

ボクは自由の利かない身体に鞭を打って、無理やり動かした。

「フライ!シルクが心配なのはわかるけど、君も…………。」

ボクは脚を引きずって歩み寄った。

彼女の安否を確認しないと気が済まない……。

「シルク!!フライ!!」

そこにベリーちゃんが血相を変えて駆け寄ってきた。

……元気そうで安心したよ……。

「………たぶん、気を失ってるだけだよ。ちゃんと息もしてるし………。」

ラテ君がシルクの状態を確認した。良かった…………。

「フライは、大丈夫なの!?」
「ベリー、フライは予断を許さない状態。本当は一歩も動けないはず……。」

ボクは…………大丈夫だから……………。

「っ!!」
「「「フライ!!」」」

ボクはとうとう崩れ落ちた。

力が………入らない………。

「ウォルタ君、ボクのポーチから、[復活の種]を出して、シルクに食べさせてくれる?」
「えっ?でも、フライ?君も……」
「ボクは意識があるだけまだマシ………。ボクも危ない状態だけど、意識がないシルクの方がもっと危ない………。だから………。」

ボクはラテ君の言葉を遮った。

シルクがウォルタ君達に指示してくれたように…………。

ボクは横たわったまま訴えた。

「……うん〜、…わかったよ……。」

ウォルタ君がボクの代わりに、ポーチを探り始めた。

「………あった。」
「それを食べさせれば、しばらくすると意識を取り戻すはず………。」

ボクのポーチから例の種を取りだして、ウォルタ君は無理やり食べさせた。

「とりあえず、シルクの方は経過観さ…………「「「!?」」」

ボクが話していると、視界の端から強い光………。

今度は何!?

ボク達は再びグラードンの方を見た。

だけど、そこには目を疑う光景があった。

その身体から光が発せられて………、

「えっ!?消えた!?」

グラードンは光と共に消滅した。…………えっ!??何で!!?

一体どういうこと!?

《それは、私が作りだした幻です。》

そんな状況で、ボク達の脳内に誰かの声が響いた。

「[テレパシー]!?」
「うん!でも、これはシルクのものじゃない!!」

しばらくすると、ボク達の近くに光が集まり始めた。

光が収まると、そこには、種族は分からないけど、黄色と白のポケモンが浮遊していた。

「君は?」

ベリーちゃんが声をあげる。

「名乗る程の者ではありません。この先に行かせる訳にはいきませんので、
[記憶]消させていた…………」

えっ!??記憶を!?ボク達はただここに来ただけなのに………、何があるのか知らないのに………

「記憶? なら、1つ聞いてもいい?」

ベリーちゃんがそのポケモンの言葉を遮った。

「……だき……!?」
「ここに[ラテ]と言う人間が来なかった?」
「………いいえ、来てませんけど………。」

突然割り込まれて、キョトンとしてる……。

「そっか………。手がかりを掴んだと思ったのに………。」

ラテ君が残念そうに言った。

「………でも、これとそれは話が別、宣言通り、[記憶]を消させてもらいます!!」

そのポケモンは話を元に戻した。

記憶を………消される……!?

《ベガ!ちょっと待って!!》

そこに声が響く。今度は誰!??

「この声は………、シード!?」

そのポケモンは声を張り上げた。

《その人達は無実、迷い込んだだけだよ!!》

また[テレパシー]……。一体どうなっているの??

……どこからともなく、黄緑色の…………、あのポケモン、もしかして……。

「迷い込んだだけって……」
「だから、ぼくがみる限り、盗賊でも、犯罪者でも、何でもないよ!!そのエーフィーとフライゴンの様子を見ればわかるはず………。意図的に侵入したポケモンが、傷ついた自分よりも仲間の事を優先すると思う!?少なくとも、ぼくの時代ではそういう悪党はいないよ!!」

黄緑色のポケモンが力強く説得……。

「でも、ここに侵入したのにはかわり………」
「彼等の身元はぼくが保証するよ!!それに、そのエーフィーとフライゴンはぼくが捜していた人だから………。」


えっ!?ボク達を捜していた!?どういう事!?

「えっ!?」

黄色いポケモンも驚く。

「フライゴンの君、そのエーフィーの名前は[シルク]であってますよね??」
「えっ!?どうしてシルクの名前を……」

一体どういう事!?さっぱりわからない!?

「彼女とミズゴロウの彼に聞けば分かると思います!」
「シルクとウォルタ君に!?」

えっ!?

「………シード、わかったよ……。君がそう言うなら……、信じるよ……。なら、2人の手当てをしないといけないですね……。ついてきてください。」

「「「「???」」」」

ボク達は顔を見合わせた。

「………、とりあえず、行こっか?」

………うん……。

ボク達はそのポケモン、ベガについていった。

ボクは脚を引きずり、ラテ君達は意識の戻らないシルクを背負って……。

@ ( 2013/08/12(月) 00:59 )