絆の軌跡 〜過去と未来の交錯〜
























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巻之六 霧の湖で
弐拾七 伝説の影
西暦7000年 熱水の洞窟 sideフライ

……………、あいつら、全然反省していなかった……。

ましてや、ちからづくでラテ君の手柄を奪うなんて……、探検家として………、いや、ポケモンとしてあってはならないこと………。

なのに、あいつらは………

「……………イ、フライ、どうしたの?」
「えっ!?」

!? ラテ君!?

「もしかして、“ドクローズ”のこと?」
「えっ、ああ、うん………。」

もしかして、ボク、深く考え過ぎてた!??

そうだった。あの後、ボクはラックさんに半ば無理やり誘導されたんだ。
そして、ボクは半分ぐらい意識がよそに飛んでいる状態でダンジョンに入ったんだ……。
完全に前が見えてなかったから、どんな種族とどれだけ戦ったか覚えてないよ……。

………で、ラテ君の一言でボクは我に返る事ができた。

ラテ君、ありがとう……。

「親方様はあんな感じだけど、探検隊の最高ランクなんだよ!」
「だから、フライ、“ドクローズ”相手にやられる事はないと思うよ?」

ベリーちゃん、ラテ君の順番で言った。

最高ランク?

「あの人が?」
「うん。だから、心配しなくても大丈夫だよ。」

[誘いの坑道]と[言霊の森]でしか見たことがないけど、そうだったかもしれない……。
たまたま相性が悪くて、全力で闘えてなかったけど……。

「…………そっ……か……。うん、そうだよね。とりあえす、信じてみるよ。」
「うん!  フライ、君が考えこんで黙っているなんて、らしくないよ、だから、ね?」

うん、そうだよね、ベリーちゃん。

でも、この感じ、デジャヴな気が………。

まっ、いいか。

「ラテ君、ベリーちゃん、心配させたね。でも、もう大丈夫だよ。さあ、先に進もうか。」
「やっぱり、フライはこうでないとね!」

うん、ボクが黙り込んでいたら、2人の調子も狂うみたいだし、しっかりしないとね!


ボク達は、ダンジョンの奥地に向けて進み始めた。


数十分後 sideフライ

「[目覚めるパワー]!」「[シャドーボール]!」「[火炎放射]!」

ボクは紺色の弾を、ラテ君は漆黒の弾を、ベリーちゃんは燃え盛る炎を、互いに背をあわせて放った。

状況?  ええっと、ボク達は[モンスターハウス]という場所に入ってしまって……、大量の野生ポケモンに囲まれてるよ……。

まさに“四面楚歌”だよ…。

「くっ、これだとキリがないよ……、[守る]!」
「どうにかして脱出しないと……[岩雪崩]!」
「こんな状態だとスタミナがもたないよー![炎の渦]!」

ボク達は囲まれてずっと、技を乱用している……。[ドラゴンクロー]のPPも切れたし、残りの3つもあと僅か。

このままだと……。

「ラテ!何か使える道具持ってる?」
「あいにく、[濃霧の森]で使い切ったよ!フライは!?」
「ボクは種ぐらいしか持ってないよ!ボク達は種類によって道具を持ち分けているから……。」

ボク達は途切れ途切れに会話……。個々の実力はそれほどでもないけど、これだけいると………。

「なら、何の種を持ってるの?」

ベリーちゃんが火の玉を放射しながらボクに聞いた、

ええっと…………、

「[睡眠の種]、[縛られの種]、[猛撃の種]、[復活の種]、[俊足の種]の5種類だけだよ!」

ボクが今持っている種はこれだけ。

「[俊足の種]があるなら、それを使って!!フライ、僕達を乗せて飛べる!?」
「えっ、うん。1人しか乗せた事がないけど、やってみるよ!!」

ラテ君、名案だよ!!

「2人とも、ボクが[超音波]をする間に乗って!!」

ボクはポーチから例の種を取り出しながら言う。

「「うん!わかったよ!!」[守る]!」

ボクは口にそれをほおりこみ、噛み砕いた。
ベリーちゃんはボクの背中に飛び乗り、ラテ君は背中で薄緑のシールドを作り出した。

「[超音波]!!」

ボクは高周波を発生させる。

たちまち数匹が混乱した。

「いくよ!!」

ボクは翼に力を込めて飛びたった。
辺りに砂埃が舞い上がる。

晴れた時にはボク達の姿はそこにはなかった。

洞窟の天井スレスレを飛んでいるからね。

よし、このまま奥地に行こうか!

………

熱水洞窟中間地点 sideフライ

「ふぅ、ここまでこれば大丈夫かな?」

ボクは手頃な場所を見つけて着陸した。

………やっぱり、慣れてないから2人乗せるのは疲れるよ。

ボクは大体身長が170ぐらい……。ラテ君とベリーちゃんが小さい種族で良かったよ。

仮にそうじゃなかったら、シルクがいないとできなかったよ。

「うん。フライ、ありがとね。おかげで中間地点まで来れたよ。」
「中間地点?」

中間?ダンジョンの、かな?ラテ君?解説を頼んでもいいかな?」

「そう。ここなら、襲われる心配もないし、ゆっくり休めるんだよ!!」
「僕達、探検隊にとっては、ダンジョン内で唯一落ちつける場所なんだ。」

へぇー。それは助かるよ!

「なら、休もっか?」
「賛成ー!」
「さっき、技を使いすぎたからね。」

うん、そうしよう!!

ボク達は腰を下ろし、小休止をとった。


「そういえばフライ?前から聞きたかった事があるんだけど、いいかな?」

ベリーちゃんがPPマックスを飲みながらボクに聞いた。

聞きたいことって?

「うん、いいけど?」
「フライって、年はいくつなの?」

えっ!?そんな事!?

「ボクは16だけど?」
「えっ!?わたしと3つしか変わらないの!?」
「じゃあ、僕とは2年違うだけ!?」

うん。ボクは人間でいうとまだ高校生ぐらい。進化してからあまり年数は経ってないよ。
……進化してから知ったんだけど、2回進化する種族で10代で最終段階に達する人は滅多にいないらしいよ。

「ってことは、ベリーちゃんが13でラテ君が14?」
「うん、そうだよ。フライって、しっかりしていて大人っぽいからもっと上かと思ったよ。」
「まさか、わたし達と同じでフライも未成年だったなんて、予想外だよ!」

2人とも、驚きで声が凄いことになってるよ……。

「ちなみに、シルクもまだギリギリ未成年、19だよ。」
「「えっ!?シルクも!?」」

ラテ君とベリーちゃん、驚きで押しつぶされそうになってるよ……。

「うん。聞いた話だけど、シルクは6歳の時には既に闘っていたらしいよ。」
「そんなに小さい時から?? シルクの強さの秘密がわかった気がするよ……。」

ラテ君?気づいてないと思うけど、[オレンの実]、落としているよ?


数分後

「グオ………」

「あれ?ラテ、フライ?今、何か聞こえなかった?」

ボク達が何気ない話で盛り上がっていると、ベリーちゃんが突然辺りを見渡した。

「えっ?何が?」
「何かの、うなり声のような……」
「グオ……。」

?確かに!聞こえたよ!!

「本当だ!!」
「ボクにも聞こえたよ!!」

一体何何だろう……?

「大分休めたし、行ってみようよ!!」
「うん、わたしもそれでいいよ!」

ラテ君が声を上げ、ベリーちゃんがそれに続く。

「ボクも大丈夫だよ!」

うん、よし!

「じゃあ、行こうか!」

「「うん!!」」

この声の持ち主を知るために、そして、目的を達成するために……、行こう!

ボク達は広げていた荷物を片付け、洞窟の奥に向けて再出発した。

多分最奥部まであと少し……、あと一息だ!

………

数分後 熱水の洞窟 sideシルク

くっ、何でここだけ野生のポケモンが沢山いるのよ??

私達は狭いエリアで、しかも、何十匹ものポケモンに囲まれているわ。
フラットさんから聞いたことがあるけど、コレが[モンスターハウス]なのかしら?

っ!こんな場合じゃなかったわ!!

「[シャドーボール]!っ!」

私は風圧で飛び上がる………、飛ばされると言ったほうが正しいけどね。

「[地震]!」

そこでウォルタ君が地面を踏み鳴らす。

刹那、大地が唸りをあげて震れ始めたわ。

「「「「「っ!!!」」」」

下にいた相手が揺れでダメージを被る。

「竜と毒、霊と水で……っ!」

私はBrと戦った時に採取した毒と竜を化合させ、暗紫色の弾を2つ生成、打ち出した。

間を開けずに、霊と水も配合、明度の低い水色の弾を作り出した。

時間差で、二色の雨が降りそそぐ。
もちろん、ウォルタ君に当たらないようね!

一発目で守りを無力化、二発目で攻撃。

「ウォルタ君、[地震]の威力、上がったわね!!」
「本当に〜?」

ええ、そうよ。実際、何体かはウォルタ君の攻撃だけで倒れていたしね!

私は降下し、着地しながら言った。

「ええ。ウォルタ君、次が来ないうちに進みましょ!」

新手が来ないとは限らないし、急いだ方がいいわね。

「うん、ベリーちゃんも先にいるかもしれないし、そうしよ〜。」

ええ。

私達は足早に先を急いだわ。

@ ( 2013/08/09(金) 00:15 )