twentieth
AM10:30 ムロタウン
〈ライト、みんなを出してくれる?〉
「えっ、うん。」
ライトはユウキのバッグから4つのボールを取り出した。
〈ここは降ってないのね。〉
〈局地的な豪雨だったようだな。〉
〈うん。曇ってるけど、止んでいてよかったね〜。〉
〈そうですね。 でも、結構時間がかかっていましたが、何かあったんですか?〉
「うん。着いた時にトレーナーにバトルを挑まれてね。ユウキくんが相手したの。」
〈ユウキが?〉
〈うん♪ユウキは技の組み合わせを試していたみたいだったよ♪〉
〈うん。後にしたパターンが加減を間違えて大惨事になりかけたけどね。〉
ユウキは苦笑いした。
〈でも、周りに建物がなくてよかったよ。〉
〈確かにね♪凄い威力だったからね♪〉
〈そんなにすごかったんですか?〉
〈僕も見たかったな〜。〉
ジャローダが呟いた。
「ところでユウキくん、この後はどうするの?」
〈久しぶりに全力で技を使って疲れたから、少し休みたいよ。〉
「なら、部屋をとっておこうか?」
〈うん、ありがとう。助かるよ。 Nはどうするの?〉
「ボクは今日1日辺りを見てまわろうとおもってるよ。」
「なら、同じ部屋をとっておいたほうがいい?」
「うん、ありがとう。」
〈なら、決まりね。〉
ユウキ達は浜の広がる島のポケモンセンターに向かった。
………
AM10:45 ムロタウン ポケモンセンター
「………三人部屋ですね。102号室を使ってください。」
「102ですね。」
ライトは受付で鍵を受け取った。
2分後 102号室
「この部屋って、大部屋だったんだね。」
〈うん。これだけ広いとゆっくりくつろげそうだよ。〉
〈そうね。 ユウキ、しばらくフリーでいいわよね?〉
〈うん。僕は昼まで休めば回復するかな〉
「それまで自由時間でいいよ。」
ユウキは姿を元に戻した。
〈なら、ライト、ちょっといい?〉
「ん?エーフィー、どうしたの?」
エーフィーはライトを呼んだ。
〈前に本で読んだことがあるんだけど、エスパータイプのポケモンも練習すればテレパシーを使えるようになるらしいのよ。〉
〈確かに、俺も聞いたことがあるな。〉
〈そこで、お願いなんだけど、私にテレパシーのしかたを教えてくれないかしら?使えたほうが、伝説の調査に役立つと思うのよ。〉
「うん。確かに使えて損はないよね。わかったよ。私でよかったら。」
〈僕もお手伝いしますよ。〉
〈ライト、コバルオン、ありがとう。〉
〈3人はそうするんだね♪ジャローダ、せっかく海に来たんだし、ウチらは外に行かない♪?〉
〈いいね〜、いこ!コジョンドはどうするの〜?〉
〈俺はここにある書籍を見にいくつもりだ。地理的な情報も把握しておきたいからな。〉
「みんな決まったね。じゃあ、正午にここに集合にしようか。」
「そうだね。」
〈わかったよ〜。〉
〈ああ。〉
それぞれ思うように行動を開始した。
AM11:05 102号室 sideエーフィー
「じゃあ、始めようか。」
〈ええ。 まず、どうするの?〉
〈伝えたい事を強く念じることで、相手に伝達することができます。〉
〈強く、念じる、ね。わかったわ。他にコツとかあるの?〉
「うん。感覚的だと、[サイコキネンシス]をする時に似てるかな。」
〈[サイコキネンシス]ね。とりあえずやってみるわ。〉
エーフィーは集中し始めた。
(伝えたいことを強く念じる、イメージは[サイコキネンシス]………。強く念じる、強く念じる……強く念じる……。)
「補足だけど、伝えたい相手を同時にイメージすると、伝えやすくなるよ。」
〈相手をイメージするのね………。〉
エーフィーは再び集中した。
同刻 sideスワンナ
〈海っていいよね〜。〉
〈うん♪何故かはわからないけど、癒されるね♪〉
〈そうだね〜。波の音の効果かな〜?〉
〈かもしれないね♪〉
二匹の間に穏やかな時間が流れ始めた。
〈あれ、見かけない種族だ……。〉
そこに一匹のポケモンが飛来した。
〈ん?僕達のこと〜?〉
〈ウチらのことだよね。〉
〈うん、見かけない種族だったので……〉
〈確かに、知らなくて当然だよね〜。僕はジャローダ、イッシュ地方出身だよ〜。〉
〈イッシュ地方から……。あなたは?〉
〈ウチはスワンナ、ウチも同じ地方出身だよ♪ 君は♪?〉
〈ぼくの種族はペリッパーです。皆さんからは[ぺリーさん]と呼ばれています。〉
〈[ペリーさん]……どこかで聞いたような〜………。〉
〈もしかして、ジグザグマが言ってたホウエン1の情報屋って、このひとのことじゃない♪?〉
〈はい。ぼくは情報屋をしてます。〉
〈一度会ってみたかったんだ♪!さっそくだけど、一つ聞いてもいい?〉
〈はい。本当は情報一つにつき、オレンの実一つだけど……初回限定サービスで無料で提供しますよ。〉
〈……有料なんだね……。〉
〈情報屋にとって情報は命の次に大切な事ですから。 で、聞きたいこととは?〉
〈じゃあ、ここ、ムロタウンのジムって、何タイプなの♪?ウチら、トレーナーのポケモンで、旅して廻ってるの♪〉
〈ええっと、ここは格闘タイプです。〉
〈格闘タイプだね〜。〉
〈うん、わかったよ♪ありがと♪〉
〈はい。今度はオレンの実を用意しておいて下さい。〉
〈うん♪わかったよ♪情報、ありがとう。〉
〈はい。旅しているなら、また会うかもしれないですね。〉
〈うん。またその時にね〜。〉
ペリーは飛びたった。
………
AM11:30 102号室 sideユウキ
♪♪♪
ユウキが休んでいると、ライブキャスターが鳴った。
「ん?誰だろう。」
ユウキは電源を入れた。
「はい?」
《あっ、つながった。》
「この声は、サファイアだね?どうしたの?」
電話の相手博士の助手をしているサファイアだった。
《博士から手紙、博士にはイッシュから届いたみたいなんだけど……手紙、届いてるよ。渡したいんだけど、今どこにいる?》
「ムロタウンのポケモンセンターだよ。」
《わかったわ。じゃあ、私のオオスバメに預けるから、受けとって。》
「うん。どれくらいかかる?」
《オオスバメなら、30分ぐらいかな。》
「うん、わかったよ。」
《じゃあ、切るね。》
通話が切断された。
「30分後か。今からだと、12時10分ぐらいかな。受けとるのはみんなと合流してからかな。」
ユウキはとりあえず時間になるまで待つことにした。