nineteenth
AM9:30 105番水道
〈雨に濡れるのって、久しぶりだなー♪〉
〈………でも、降りすぎじゃない?〉
降りしきる豪雨の中、スワンナ、ラティアス、ゼクロムは速度を落とさずに滑空する。
〈ユウキ殿、1つ伺いたいのだが………〉
〈ん?ゼクロム、どうかした?〉
〈汝は何故にこの大地に参ったのだ?〉
「確かにボクもきになるよ。」
〈そうだね………。僕達の目的は2つ。〉
〈一つ目はホウエン地方のジムの制覇♪トレーナーとして当然の目的かな♪〉
〈それと、一番の目的は、ホウエン地方の未解明の伝説の調査。僕は考古学者になったからね。〉
〈なる程、近頃話題の学者というのはあなたでしたか。〉
〈ユウキくんはそれだけじゃなくて、バトルもすごく強いみたいだしね。〉
〈存じています。ところで、あなたは見かけない種族ですが……特殊な能力も持ち合わせているみたいですが………〉
〈ライトは[ラティアス]っていう種族なんだよ♪〉
〈私が知っているかぎりでは、私の種族は私以外に3匹しか知らないよ。私、これでも準伝説だから。〉
〈汝もそのような存在でしたか。〉
〈ううん、関係しているのは別の人で、私はごく普通のポケモンとほとんど変わらないよ。〉
「そんなに珍しい種族だったんだね。 ということは、やっぱりボールに入っていたりするの?」
〈いいや、ライトは姿を変えれるから、その必要はないよ。〉
〈私はちょっと特殊な種族だからね。〉
〈うん。それにしても、スワンナのスピードについてこれるなんて、すごいよ。〉
〈私はエーフィーに少し鍛えてもらったから、なんとかついていけるようになったよ。〉
〈〈えっ!?いつの間に!?〉〉
〈一昨日、別行動をとった時に見てもらったんだ。〉
〈流石はエーフィーだね♪〉
〈どんな感じだったか後できいてみるよ。〉
〈うん。〉
〈ユウキ殿、お話中申し訳ないが、あそこに見えるのが、目的の島だろうか?〉
前方に小さな島が見えてきた。
〈うん。たぶんそうだよ。案外早く着いたね。〉
〈そうだね。さっそく降りよっか。〉
三匹は着陸するために高度を落とした。
………
AM10:05 ムロタウン
「着いた。ゼクロム、お疲れ。」
〈N殿、濡れていたが、大丈夫か?〉
「うん。ボクは平気だよ。」
〈でも、雨は向こうだけでよかったね♪〉
〈うん。とにかく、濡れた体をふきたいからポケモンセンターに行こっか。〉
「うん。ついでに泊まる部屋をとっておくといいんじゃない?」
〈そうだね。……って、いつの間に姿変えたの?〉
ライトを見ると、既に人間の姿になっていた。
「さっき。話している間にね。」
「行動、早いね。」
〈N殿、少しばかり休みたい。拙者を戻してくれないか?〉
「あっ、うん。わかったよ。」
〈すまない。〉
Nはゼクロムをボール戻した。
「あれ?ユウキくんは元に戻らないの?」
〈うん。姿戻すとサインとか頼まれて大変だから、ばれないようにこのままでいることにしたんだ。これなら誰が見てもただの[ピカチユウ]だからね。〉
「有名だといろいろと大変なんだね。」
〈うん。ライト、僕の鞄から……〉
「すみません、バトルお願いします。」
突然一人の青年にバトルを挑まれた。
「えっ、私?」
「ポケモン、持ってるんでしょ?コドラ!たのんだよ!」
〈ジム戦前のウォミングアップ、いくか。〉
「ちょっと待って!私は………」
〈ライト、ここは僕にやらせて!〉
「えっ!?」
〈指示は出さなくていいから。試したい技があるんだ。〉
「試したい技?」
「でも、相手は地面タイプ持ってるんだよ?」
〈大丈夫。さあ、いくよ!〉
「誰と話しているのか知らないけど、いくよ!コドラ、[突進]!」
〈よし、くらえ![突進]!〉
相手のコドラはユウキに向けて走りだした。
〈確か鋼タイプ持ってたよね。なら、[目覚めるパワー]!〉
ユウキは両手に大きさの異なる2つの紅蓮の弾を作り出した。
〈ちょうどいい機会だ。いくよ!〉
丸く形成すると大きい弾から放った。
〈赤い弾?〉
〈僕の[目覚めるパワー]は炎、君にとっては脅威だろうね。〉
すぐに小さい弾も放った。
刹那、衝突し、コドラの目前で5つに弾けた。
〈!? っ!〉
「気を取り直して[メタルクロー]!」
〈………よし、…………[メタル……クロー]。〉
コドラはふらつきながら身構えた。
「凄い。たった一発であんな状態に追い込むなんて……。」
〈言ったでしょ♪ユウキは強いって♪あの使い方は初めて見たけど♪〉
〈よし、今度は、っ!〉
続いてユウキは右手に力を溜め始めた。
〈……くらえ!〉
〈当たるわけにはいかないよ!〉
ユウキは状態を維持しながら尻尾を使い、技をかわした。
「〈えっ!?〉」
〈よし、溜まった。[気合いパンチ]!〉
ユウキは重力を乗せた拳を振りかざした。
〈………っ!やられたっ。〉
「凄い………。」
ライト、Nはユウキの戦いぶりにめを奪われている。
「何も指示してないのに………しかも電気技を使ってない。 くそっ、スバメ、頼んだ!」
〈!? 私で最後なのに!? しかも電気タイプ!?〉
〈飛行タイプか。よし、とりあえず[目覚めるパワー]!〉
今度は両手で紅蓮のエネルギーを溜め始めた。
「[電光石火]!」
〈わかった![電光石火]!〉〈これも試してみようか。〉
スバメは高速で距離を詰めた。
対してユウキはバレーボール程の弾を放った。
〈!!デカい!〉〈[10万ボルト]!〉
すぐに高電圧の電撃を放った。
紅蓮の弾に直撃すると、弾は小爆発を起こし、炎が辺りに散らばった。
爆発に巻き込まれ、スバメは倒れた。
〈っ、思った以上に火力がつよいな。これだと周りに被害が及ぶな。起爆剤は[放電]のほうがいいかな。〉
「負けた………。何も指示してないのに……。」
相手はスバメをボールに戻し、敗走した。
「ユウキくん、強すぎるよ……。」
〈ウチでもあれをまともに受けたら耐えられないかも………。〉
「ユウキ君、[絆の力]、完全にコントロールしてる……。」
全員が技のレベルの高さに圧倒された。