とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§4 southern island
eighteenth
PM6:00 カナズミシティー ポケモンセンター

「じゃあ、2人、お願いします。」
「はい。2人ですね。206号室をお使いください。」
「ありがとうございます。」
「20分後にお越しください。回復させてお渡しします。」
「はい。お願いします。」

ユウキはエーフィー達を回復させるため、受付に5つのボールを預けた。

「ユウキくん、206号室だね。」
「うん。」

今日仲間に加わったライトと指定された部屋に向かった。

………

PM6:30 ポケモンセンター 206号室

「よし!みんな、お待たせ。」

ユウキは5つのボールを投げた。

〈やっぱりどの地方でも一緒なのね。〉
〈設備はほとんど変わらなかったな。〉
〈うん、そうだね〜。〉
〈この感じ、久しぶりだね♪〉
〈はい。やっぱり科学の力ってすごいですよ。〉
「そんなにすごいんだー。でも、ボールに入らないといけないんでしょ?」
〈………ええ。〉
「…………でも、いいや。第一にこうしてポケモンセンターに泊まるの、初めてだし」
〈ってことは、ライトは普段どうやって寝泊まりしてたの♪?〉

不意にスワンナが聞いた。

「私は普段木の上で眠ってたよ。  ラティアスの姿でね。そうじゃないと登れないから。」
〈木かー♪そういえば、ウチもユウキ達と出会う前は町のはずれの森を住み家にしてたっけなー♪〉
「へぇー。みんなはユウキくんに出会う前はどんな所にすんでたの?私は[南の孤島]っていう島にすんでたんだ。たぶん、地図には載ってないけど……。」
〈そうなんですか。僕は洞窟育ちです。〉
〈俺は岩場だ。〉
〈私は大都市よ。  あっ、ジャローダ、こんな話してもよかった?〉

ジャローダだけ浮かない表情をしている。

〈悪いな。思い出させてしまったな。〉
〈…………うん、大丈夫だよ〜……ライトにも知っていて欲しいことだから…。ユウキ、代わりに話して………。〉
「えっ、いいの?」
〈うん、いつかは話さないといけないから。〉
「うん。わかったよ。 ジャローダは僕達と出会う前は、ある森に家族と兄弟達と暮らしてたんだ。」
「森に?」
「うん。ある日、その森が密猟集団に襲われたんだ……。そのせいで、森は焼失、そこにいたポケモン達はジャローダ達も含めて、捕らえられてしまった。」
〈それで、僕は家族とはそれぞれ別の檻に入れられた……。それ以来、家族とは離れ離れ………今も行方はわからない………。他の檻が運び出されている時に偶然ユウキ達が通りかかったんだ。〉

辺りの空気が少し重くなった。

〈たまたま密猟者が近くにいなかったからユウキ達は、檻を壊してくれて森の仲間を逃がしてくれたんだ。〉
〈うん。ウチらは壊すのに夢中で、密猟者が戻ってきていた事に気づかなくて、奇襲攻撃を受けたの…。〉
〈反応が遅れたせいで、後でわかったことだけど、スワンナが右翼を折る大怪我を負ってしまったの。〉
〈うん。密猟者はエーフィー、コジョンドが追い払ってくれたんだけど………解放された仲間の中には僕の家族は誰もいなかった………。それ以来、僕はユウキ達への恩返しと、捕らわれた家族を捜すためにユウキ達に加わったんだ。〉
「…………そんなに壮絶な出会いだったんだ………。」
〈うん。  ごめんね〜、なんかしんみりとした空気にしてしまって……。〉
「……うん。話してくれて…ありがとう。」
〈……仲間として、当然だよ〜!〉

ジャローダは満面の笑みで答えた。

………

PM9:25 ポケモンセンター 206号室

〈ユウキ、明日はどうするの〜?〉

ジャローダは既に立ち直っていた。

「そうだなー、とりあえずトウカの森を抜けて、海を渡るつもりだよ。」
〈海ですか。その先に行くあてがあるんですか?〉
「うん。その海に[ムロタウン]っていう島があるんだ。そこにジムがあるらしいから、そこに寄ろうと思ってるよ。」
〈海を渡るのか。なら、フェリーを使うのか?〉
「うん。そのつもりだよ。だから、今日はそろそろ休もうか。」
「うん。疲れをとらないとね。」

この日は明日に備えて眠ることにした。

………

AM8:30 カナズミシティー ポケモンセンター前

「今日は天気が優れないな……。」
「うん。 今にも降りそうだね。」

天気はあいにくの曇り、しかも、黒い曇が漂っていた。

〈降り出すまえに船着き場にいきましょ!〉
「「〈〈〈うん。〉♪〉〉」」〈ああ。〉

ユウキ達は雨が降り出す前に船着き場に着くため、走り始めた。

………

AM9:00 104番道路南

「うわっ、降り始めた!!」
〈間に合わなかったか……。」

ユウキ達が着く前に雨、しかも、バケツをひっくり返したように降り始めた。

「服が濡れるな……。」

ユウキは姿を歪ませた。

〈これなら大丈夫だな。〉
「私は姿を変えたら、まずいよね。」
〈そうだった!ライト、僕の鞄の中にレインコートが入ってるから、それを使って。〉
「うん。」

ライトはユウキの鞄の中からレインコートを取り出し、羽織った。

〈……とにかく、船着き場に急ご♪!〉

ユウキ達は再び船着き場に向けて走りだした。

 10分後 トウカシティー 船着き場

〈えっ!?今日は運休だって!?〉
〈…………こんなに降ってるから、仕方ないよね〜。〉
「うん。ユウキくん、どうする?」

ライトはユウキ達に聞いた。

〈うーん、どうしよう………。〉
「これじゃあ、トモダチと先に進めないな………。」
〈ん?[トモダチ]? この声、どこかで聞いたような〜………。〉
〈あの緑色の髪………もしかして、Nか?〉
「この声…………ひょっとすると……ユウキ君?」
〈やっぱり、誰かとおもったら、Nだったかー。〉
〈N、久しぶりね。〉
〈自分探しの旅はどう♪?〉
「うん。順調だよ。おかげで、ユウキ君やブラック達の言っていた事がようやくわかったよ。」

船着き場には、以前敵対したNがいた。

「ねぇ、エーフィー、この人は知り合い?」
〈ええ、簡単に紹介すると、Nといって、イッシュ出身のトレーナーよ。彼も伝説に関わっていて、[理想]をつらぬいているの。〉
「この人が!?」
〈うん、そうだよ〜。〉
〈Nさん、お久しぶりですね。〉
「うん。彼女ははじめましてだけど……。」
〈紹介が遅れたね。彼女はライトといって、ホウエンで加わった旅仲間だよ。〉
「私、ライトといいます。ユウキくんとは知り合いなんだね。」
「こちらこそ。そういえば、キミは普通にユウキ君達と話していたけど、キミも言葉がわかるんだね?」
「N、だっけ?確かに、ポケモンの言葉、わかるよ。」
〈話、変わるけど……この後、どうするの〜?〉
〈そうだったね。〉
〈ユウキ、このくらいの雨なら、ウチは飛べるよ♪〉
《ユウキくん、私も大丈夫だよ。》
〈2人とも、いけるんだね。N、僕達は飛んでいくつもりだけど、きみはどうするの?〉
「その方法があったね。ここだと無理だから、そとで聞いてみるよ。」
〈わかったよ。僕達は準備するから、外についていくよ。〉
「うん。」

ユウキ達、Nは雨が降る中、屋外に出た。

「ゼクロム、この雨で飛べる?」

Nは1つのボールを投げた。

〈N殿、拙者は大丈夫だ。〉
〈ゼクロムさん、お久しぶりですね。〉
〈汝は[絆]のコバルオン殿、そしてユウキ殿、しばらくぶりですな。〉
〈うん、久しぶりだね。〉
「凄い威圧感。押しつぶされそう……。」

ライトはゼクロムの迫力に圧倒された。

〈大丈夫そうね。私達はいつもどうりよね?〉
〈うん。ライト、鞄に入ってるモンスターボールでスワンナ以外を戻してくれる?〉
「えっ、うん。」

ライトはユウキに言われ、スワンナ以外をボールに戻した。

〈よし、スワンナ、お願い!〉
〈うん♪任せて♪〉
「ゼクロム、頼んだよ。」
〈御意。〉
「でも、ライト、だよね?きみはどうするの?ゼクロムに乗せてもらうのも可能だけど?」
「ううん、私は大丈夫。自力で行けるから。」
「えっ!?でも、いったいどうやって………。」
「私、ポケモンだから。」

そう言い、ライトは眩い光を纏った。

〈こういうこと。〉
〈ライト、正体明かしてよかったの♪?〉
〈今回はやむを得ないよ。準備も出来たし、いこ!〉
〈うん、スワンナ!〉
〈本人が言うんなら、大丈夫だね♪〉

スワンナ、ラティアス、ゼクロムは豪雨のなか、飛びたった。

@ ( 2013/05/06(月) 01:01 )