とある青年の物語 〜kizuna〜


























小説トップ
§3 a visiting professor
sixteenth
AM6:45 115番道路 スカイ宅

〈………っ。朝、か。〉

朝の日差しが広い部屋に入り、エーフィーは目を覚ました。

〈あっ、早いですね。〉
〈スカイさんも起きてたのね。〉
〈教師をしていると朝が早いので。エーフィーさんも早いんですね。〉
〈私、[太陽ポケモン]だから、天気がいいと意識が冴えるのよね。〉
〈エーフィーさんの種族固有の能力はそういうものなんですね。〉
〈ええ。 スカイさんはこれから出勤かしら?〉
〈はい。〉
〈荷物とかはいいの?〉
〈全部スクール置いてあるので。荷物があると、出勤するのに邪魔なんです。普段この姿で出勤しているので。〉
〈そうのね。 でも、そのままだとまずいんじゃないかしら?〉
〈大丈夫です。僕達の羽毛はちょっと特殊で、光を屈折させることが出来るんです。〉
〈そんなことができるのね!?〉
〈はい。そのおかげでばれずにすんでいるんです。〉
〈凄いじゃない!〉
〈……話し声が聞こえると思ったら……もう朝かー。〉
〈あら、ユウキ、お越しちゃったかしら?〉

時刻は朝7時、ユウキが目を覚ました。

〈あっ、ユウキさん、おはようございます。朝食、準備してあるので食べてください。木の実ぐらいしかないですが……。〉
〈うん、ありがとうございます。これから出勤ですか?〉
〈はい。では、お先に失礼します。〉

スカイはラティオスの姿のまま家を出た。

〈教師も大変だなー。 みんなはまだ寝てるし、僕達だけで先に朝食済ませようか。〉
〈そうね。いつもならまだ寝てる時間よね。〉

ユウキとエーフィーは早めの朝食を摂ることにした。

  10分後

〈よし、朝食も済んだし、少し体を動かしてこようかな。〉
〈わかったわ。私はみんなが寝てるから、起きるまでここにいるわ。〉
〈わかったよ。僕は近くの浜にいるから、そこに来て。〉
〈ええ。わかったわ。〉
〈とりあえず、[サイコキネンシス]で下に下ろしてくれる?〉
〈ええ。〉

2人は入り口まで歩いていった。

〈荷物も持って行くのね。[サイコキネンシス]!〉

エーフィーはユウキに技をかけた。
そのまま木の下に下ろした。

〈エーフィー、ありがとう。じゃあ、先に行ってるよ。〉
〈ええ。後でいくわ。〉

ユウキはバックを抱えて走っていった。

………

AM7:30 115番道路 海岸 sideユウキ

〈よし、この辺ならいいかな?〉

ユウキは1人海岸にやってきた。

〈まずは、[目覚めるパワー]!〉

ユウキは手元に紅蓮のエネルギーを溜め始めた。

〈この調子だと、もう一ついけるかな。〉

左手にエネルギーを留め、右手だけで溜め始めた。

〈よし、いけそうだ!〉

ユウキの手元に2つの大きさの異なるエネルギー弾が完成した。

〈できた。思うようにいくかわからないけど、試してみようかな。まずは大きいほうから。〉

ユウキは右手に溜めた大きいほうの弾を放った。

〈よし、次はこっちだ。〉

今度は小さい方の弾を、さっき放ったものより速い速度で放った。

〈よし、命中した。〉

2つの弾は衝突、大きいほうの弾は5つの小球となって弾けた。

〈よし、うまくいった!これで応用利かせれるな。〉

思うようにいったようだ。

〈よし、次はこれを試してみようかな。っ!〉

今度は右手に力を溜め始めた。

〈…………あの岩なら、いけそうだな。〉

ユウキは手頃な岩に向けて技を出すようだ。

〈ユウキ、お待たせ。〉〈[気合いパンチ]!!〉
〈〈〈〈〈えっ!?〉〉〉〉〉

エーフィー達が海岸に来た瞬間に、ユウキは1mぐらい、今の姿だとやや大きめの岩を砕いた。

〈ユウキ、その技は[気合いパンチ]か?〉〈よし、成功。  えっ、いつの間に!?〉
〈ちょっと前からいたよ♪〉
〈今の威力、すごかったね〜。〉
〈いつの間に練習してたんですか?〉
〈昨日、みんなが寝静まった後に技マシンを使ってね。〉
〈何か物音がしていたのは、使っていたからだったのね。〉
〈うん。おかげでうまくいったよ。まだ連発はできないけど。ところで、いま何時?〉
〈9時10分だ。〉
〈確か、呼ばれていた時間は10時でしたよね?〉
〈うん。少し早いけど、行こうか。〉
〈そうだな。遅れるよりはマシだからな。〉
〈うん。…………〉
「今から行くと、着く頃にはいいぐらいの時間になってるね。」

ユウキは本来の姿に戻った。

「みんな、ここにいたんだ。」
〈ライトも一緒に来るんだね♪〉
「うん。みんなの戦い方を見て、参考にしたいからね。いいでしよ?」

黄色い瞳で真っ直ぐユウキを見つめた。

「うん。じゃあ、行こっか。」
〈はい。〉

ユウキ達は海岸からスクールに向けて歩き始めた。

………

AM9:45 カナズミシティー スクール

〈ユウキ、私達は一応ボールに戻ってるわね。〉
「うん。公式な公演だからね。」
〈ああ、頼んだ。〉
〈公演、楽しみだね〜。〉
〈うん♪〉

スクールの校門の前までくると、ユウキはエーフィー達をボールに戻した。

「ライト、ちょうどいい時間になったね。」
「うん。確か応接室に行けばいいんだよね?」
「確かね。とりあえず職員室のほうに挨拶してから行こうか。」
「うん。」

ユウキとライトは職員室に向かった。

「教室が静かだから、授業中かな。すみませーん。」
「はいはい。ユウキさん、来ましたね。」

主任のツツジが奥から出てきた。

「9時55分、ちょうどだな。ツツジさん、今日はお願いします。」
「はい。  そちらの方は?」
「えっ、私!?」(何て言えば………)
「ああー、彼女は僕の秘書です。」(とりあえず、こう言っておけばいいかな。)
「秘書ですかー。公演は11時からグラウンドで行う予定です。」《ユウキくん、ありがとう。助かったよ。》
「はい。 !?」
《私は、とっさに思いつかなかったよ。》
(ライト、テレパシーかー。人間の姿でも使えるんだ。)

ユウキはライトにアイコンタクトで応えた。

「この部屋で待っていてください。」
「あっ、はい。」

ユウキとライトはスクールの応接室に案内された。
案内すると、ツツジは席を外した。

「ライトって、その姿のままでもテレパシーを使えるんだね。」
「うん。さすがにこの姿で技を使うのは無理だけど、一言、二言ぐらいなら伝えられるよ。さっきみたいにね。」
「へぇー。」

その後、応接室に校長が入室して、しばらく対話が続いた。


@ ( 2013/05/03(金) 01:01 )