とある青年の物語 〜kizuna〜 - §3 a visiting professor
fifteenth
PM6:40 115番道路 スカイ宅

〈実際に中に入ると案外広いんだね〜。〉
〈この木は体積が結構大きいので…。〉

ユウキ達がスカイのツリーハウスに入ると、そこには広大な空間が広がっていた。

〈天井のほうに収納スペースを作ったんだな?〉
〈はい。散らかっているのは嫌いなので、収納スペースにはこだわって作りました。〉
〈いい感じね。 こういう造りにしたってことは、普段はポケモンの姿で生活しているってことね。〉
〈はい。働いていると、人間の姿でいることがほとんどなので……仕事以外では本来の姿でいるようにしているんです。〉
〈確かに、僕達だと不便だけど、スカイさんやライトみたいに浮遊しているなら、かえってこのほうが都合のいい造りかもね。〉
〈この姿でいるほうが楽なので。 話がそれましたが、伝説について聞かせてくれますか?〉
〈私も聞きたいなー。〉

スカイは話を元に戻した。

〈はい。では、イッシュの伝説はご存知ですか?〉

コバルオンが聞いた。

〈詳しくは知らないです。〉
〈どんな話なの?〉
〈要点だけ話すと、遥か昔に2人の王によって建国された国があったの。〉
〈その国には二匹のドラゴンポケモンがいたの♪〉
〈その国である時、政策の不一致で王達が仲違いになってしまったんだ。〉
〈1人が理想を求め、もう一人は真実を求めていたんだよ〜。〉
〈それで、国は2つに別れ、二匹のドラゴンポケモンもそれぞれの王についたんです。〉
〈その後、2つの国は長期にわたる戦争に入った。 これが古来からの伝承です。〉

エーフィー、スワンナ、コジョンド、ジャローダ、コバルオン、ユウキの順に説明した。

〈イッシュ地方にはそんな伝説があったんですね。〉

〈はい。そして、ここからが僕達が解明した伝説です。〉
〈続きがあるんだね?〉
〈そうよ♪長期にわたる戦争状態を打開するために、三人の賢者とそのポケモンが立ちあがったの♪〉
〈その三人はそれぞれのポケモンと[絆]、[友情]、[志]で繋がっていたんだ〜。〉
〈その三人には特殊な能力があって、その能力を活用して、戦争の愚かさ、残酷さを説いて各国を遊説して廻った。〉
〈三人の活動のおかげで戦争は一時休戦となったの。〉
〈そのタイミングを見計らって三人は両国の国王に和解するよう呼びかけたんです。〉
〈両者はその三人、[三賢者]の仲介で和解し、戦争は幕を閉じた。そしてその後、一部の人とポケモンに[真実、理想、絆、友情、志の揃いし時、再び繰りかえされむ。]という言い伝えが残ったんです。〉
〈へぇー。〉

スワンナ、ジャローダ、コジョンド、エーフィー、コバルオン、ユウキの順に説明した。

〈でも、この伝説とユウキさんにはどういう関係があるんですか?〉

〈ここからは公にしてないんだけど、半年前に予言にあった[真実]、[理想]、[絆]、[友情]、[志]を秘めた5人が同じ時代に揃ったんです。〉
〈えっ!?ってことは、伝説が繰り返されたってこと?〉
〈ええ。事情が少し違うけど、ある組織に所属していた人が[理想]を秘めていて、人から私達、ポケモンを解放しようとしたの。〉
〈確かそんなニュースを聞いたことがあるような……。〉
〈それから、[真実]を秘めたトレーナーが阻止しようとして二匹のドラゴンポケモンをはじめとしたポケモンとトレーナーによる壮絶な戦いが始まったんだ〜。〉
〈同じ頃、ある三人のトレーナーが[絆]を秘めたポケモンに見いだされて、三賢者となったの♪〉
〈[絆]の賢者はそのまま行動を共にして、残りの2もそれぞれ合流した。〉
〈そして、三賢者は[理想]を秘めたトレーナーがしていることは、組織のリーダーの指示であると突き止めて、解放させないために、直接戦いを挑んだの。〉
〈そして、三賢者は戦いに勝利して無事に組織の行動を止めることに成功したんです。〉
〈そんなことがあったんですね。………でも、どうして公にされてないことをユウキさんが知っているんですか?〉
〈私も気になるなー。〉

ライト、スカイは疑問に思い、ユウキ達に聞いた。

〈じつは、僕の遠い先祖が、伝説の三賢者のポケモンのうちの一匹なんです。〉
〈〈えっ!?〉〉

コバルオンが答えた。

〈そして、ユウキさんが現代の[絆の賢者]なんです。〉
〈うん。伝説の[絆の賢者]はポケモンに姿を変えることができて、残りの2人もポケモンの言葉がわかったんです。〉
〈まさか、そんなに凄い人だったなんて………。〉
〈………これで私達の関わって、解明した伝説は全部説明したわ。〉
〈凄いよ!伝説の当事者だったんだー。〉
〈うん。僕はこのバンダナ、[絆の証]の力をかりて姿をコントロールしているんです。ないと、コントロールできなくて、自分の好きなタイミングで変えれないんです。〉
〈ユウキくんのバンダナにはそんな効果があったんだね!〉
〈いろいろ大変だったんですね。〉

ライト、スカイは浮遊(当然ですね……)しながらユウキ達の話を聞いていた。

〈そういえばユウキ?ホウエンの調査結果はどうだったの♪?〉

スワンナは話題を変えた。

〈ああー、すっかり忘れてたよ。この地方には、場所は定かではないけど、巨大な結界によって封印されたポケモンがいるらしいんだよ。〉
〈〈!?〉〉〈えっ、そうなの〜?〉

ユウキの言葉を聞いた途端、ライトとスカイの表情が曇った。

〈一人で調査しているときに小耳に挟んだ話だけど……その封印を解こうとしている組織があるらしいんだよ。〉
〈〈えっ!?それは本当のことなんですか!?〉〉
〈お兄ちゃん!ソウルさんとアオイさん、大丈夫かな!?〉
〈うん、あの人達なら大丈夫だと思うけど……心配だな。〉
〈ライトにスカイさん、突然どうしたんだ!?〉
〈僕達は関わってないんですけど、僕達の種族は普通のラティアスとラティオスが持ってない能力を持つひとが代々守っている宝具があるんです。〉
〈それがその封印を解く鍵の一つなの。他にも沢山あるんだけど……。〉
〈つまり、特殊な能力を生かしてその鍵を守ってるってことね。〉
〈でも、もしその封印が解かれたら、どうなるんですか?〉
〈言い伝えですが……世界を滅ぼすほどの力を持つポケモンが解き放たれて、各地を破壊し尽くすらしいです。〉
〈もしそうなったら大変だよね〜。〉
〈書籍に載ってなかったから、詳しく解明されてないことか……。研究者として興味があるけど……それ以上に絶対に封印を解かせたらいけないよね……。ライト、スカイさん、僕達で出来ることがあったら協力しますよ!〉
〈私達も協力するわ!〉
〈もちろんだ!〉〈ウチも賛成だよ♪〉〈うん、僕も協力するよ〜。〉〈伝説の当事者として無視出来ないですよ。[絆]の名に賭けて、僕もお手伝いします!〉
〈皆さん、ありがとうございます。〉
〈ユウキくん達がいてくれたら心強いよ。〉

ユウキ達はこの事を調査することを決心した。

〈そう言ってもらえると嬉しいわ。〉
〈あっ、そういえば、明日、急に仕事が入ったんだ!〉
〈えっ!?〉
〈ジムリーダーにスクールでバトルの特別指導を頼まれたんだよ〜。〉
〈ジムリーダー、ツツジさんが?もしかして、明日急に来る事になった特別講師って、ユウキさんのことだったんですか!?〉
〈うん、そうみたいだよ♪〉
〈本人から聞いたんですが……スクールの講師で一番の実力のある特待生コースの主任に、ダメージを受けずに勝ったらしいですね。〉
〈うん。でも、作戦が良かっただけですよ。一応、公演では技の組み合わせについて講義するつもりだけど……。〉
〈ってことは、かなりの実力者ってことですね。〉
〈普通に戦っただけですよ。気になるなら、明日実演するつもりだから、その時に見せますよ。みんな、いいよね?〉
〈ええ。〉〈バトル講座か。わかった。〉〈たのしそうだね♪いいよ♪〉〈うん、いいよ〜。〉〈はい。最近忙しくて戦えてなかったので、ぜひ!〉
〈よし、きまりだね。〉
〈なら、もしよかったら泊まっていってください。ライトを助けてもらったお礼もしたいので。〉
〈ありがとうございます!〉

ユウキ達はスカイの好意に甘えて、一晩泊めてもらえることになった。



@ ( 2013/05/01(水) 01:29 )