とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§3 a visiting professor
fourteenth
PM5:25 カナズミシティージム前 sideユウキ

「ありがとうございました。」
「どうも。」
〈ユウキ、この人で最後だね♪〉
「うん。ふぅー、やっと終わった。」


即席のサイン会が終わる頃には、空が色づき始めていた。

〈ユウキ、とりあえず終わったってコバルオンに伝えたほうがいいんじゃない♪?〉
「うん。そうたね。」
(コバルオン、聞こえる?)
《あっ、ユウキさん、サイン会、終わったんですね。》

  ーーー前回と同じなので省略します。ーーー

(うん。わかったよ。体育館だね。)
「スワンナ、スクールの体育館にいるって。」
〈体育館だね♪日も沈みそうだし、ウチに乗ってく♪?〉
「うん。そうするよ。ちょっと待ってて。」
〈うん♪〉

ユウキは[絆の証]の力を借りて、自身の姿を歪ませた。

〈よし、お待たせ。〉
〈半年前に比べて、変化にかかる時間短くなったよね♪〉
〈うん、確かにね。〉

半年前は少なくとも一分はかかっていたが、今ではたった五秒でピカチュウの姿になることができる。

〈じゃあ、行こっか♪〉
〈うん、お願い!〉

ピカチュウはスワンナに飛び乗った。

〈いくよ♪〉

スワンナは飛び上がった。

………

PM5:45 カナズミシティースクール体育館 合流

〈ここだね。〉
〈うん♪この辺で降りるよ。〉

スワンナは体育館の入り口付近に降りたった。

〈この中にみんながいるんだよね♪〉
〈うん。スワンナ、入ろうか。〉

ユウキとスワンナは、下駄箱の並ぶ入り口をくぐった。

〈やっぱり僕達が最後だったね。〉 
〈ユウキ、お疲れ様。ジム戦の後のサイン会、大変だったわね。〉
〈うん。おかげで指が痛いよ………〉
〈ユウキさんって本当に有名人だったんだね。〉
〈半年前は普通のトレーナーだったけどね〜。〉
〈うん。〉
〈やっぱりいつ見てもピカチュウの姿、かわいいよねー♪〉
「ちょっと待って!彼が君達のトレーナー!?誰がどう見てもピカチュウだけど……。左腕にバンダナ付けている以外は……。〉
〈エーフィー、この人は?〉
〈そういえば、ユウキ達は初めて会うわね。この人はスカイといって、ライトのお兄さんよ。〉
〈ライトのお兄さんなのね♪ということはウチらの言葉もわかるってことだね♪〉
「うん。わかるよ。一つわからないのが、君達のトレーナーが見あたらないんだけど……。」
〈俺達は少し訳ありでな。このピカチュウが俺達のトレーナーだ。〉
〈うん。確かに僕がトレーナー兼考古学者のユウキです。〉
「えっ!?」

スカイはあまりのことに驚いた。

〈これが証拠だよ。〉

ユウキは自分が持っているバックからトレーナーカードの入ったバッチケースを取り出した。
それをスカイが受け取った。

「カードによるとかなりの実力者みたいだけど……信じられないよ。」
〈今のユウキの姿は、本当の姿じゃないのよ。〉
「えっ!?それはどういう……」
〈直接証明したほうが早いから見ていてください。〉

ユウキは再び姿を歪ませた。

「!?」
「よし、これが僕の本当の姿です。」
〈お兄ちゃん、ユウキさんは私達みたいに姿を変えれるんだよ。」
「!?まさか自分達以外にいたとは………。」
〈僕達はちょっとした伝説に関わっているんです。〉
「伝説に!? 1人の教師として気になるから、聞かせてくれますか?」
〈でも、スカイさん?時間は大丈夫なの〜?6時、過ぎてるけど〜?〉

時計の長針は既に[2]を指していた。

「あっ、もうこんな時間か。仕方ない、自分の家にきてもらえますか?こんな時間なので……」
「うん。わかりました。」
「お兄ちゃんの家に行くの、初めてだなー。」
〈えっ、ライト、いつの間に姿変えてたの!?〉

ライトはユウキ達が話している間に姿を変えていた。

「戸締まりするので、校門の前で待っててください。」
「うん。」

ユウキ達はスカイに言われ、体育館をあとにした。

 5分後

「お待たせしました。」

スカイはスーツから楽な格好に着替えていた。

「やっぱりお兄ちゃんは私服じゃないと違和感があるなー。」
「ライト、こういうきまりだから仕方ないよ。 自分の家は115番道路なので。ついてきてください。」
(本当はすぐに飛んでいきたいけど、まだ人通り多いから無理か……)

スカイはそう言い、歩き始めた。

「115番道路かー。」
「自然豊かな所だよね。」

続いてユウキ達も歩き始めた。

………

PM6:30 115番道路

「ここです。」
〈この大きな木がそうなの♪?〉

スカイは周りより比較的大きい木の前で止まった。

〈ツリーハウスか。〉
〈ウチは大丈夫だけど、スカイさんはどうやって登るの♪?階段もハシゴもないけど……。〉
〈確かに、ないね〜。〉
〈なるほど、そういうことね。〉「そういうことだったんだね。」
「察したとうりです。」
〈なるほどな。〉
〈つまり、ライトのお兄さんってことは、スカイさんも姿を変えて登るってことね。〉
「ここまで見抜かれてましたか……わかりました。自分の正体、明かしましょう。」

そう言うと、スカイは目を閉じて意識を集中させた。

〈!?この光、ライトのと似てるかも♪〉

すぐに眩い光に包まれた。

〈……自分もポケモンです。自分は……〉
「[ラティオス]っていう種族ですよね?」
〈あっ、はい。そうですけど、どうしてわかったんですか?〉
「ジム戦しに行く前に図書館でホウエン地方に生息するポケモンと、伝承について調べたからね。解明されてない伝説を調査するためにね。」
〈そういえば学者って言ってましたね。立ち話もあれなので、中で話しましょう。〉
「そうですね。」
「なら、私達も姿、変えないとね。」

2人はほぼ同時に集中した。

〈…よし。〉
〈今回は私の出番かしら?〉
〈そうだね♪ボールに戻ると、時間がかかるしね♪〉
〈そうだな。だが、俺はエスパータイプが弱点だから、スワンナ、乗せてくれるか?〉
〈うん♪いいよ♪〉
〈よし、[サイコキネンシス]!〉

コジョンドはスワンナに乗った。
エーフィーは、ユウキ、ジャローダ、コバルオンに技をかけた。

〈ライト、乗ってもいいかしら?〉
〈えっ、うん、いいよ。〉

エーフィーはラティアスに乗った。

〈よし、いくよ!〉

三匹は飛び上がり、計8匹のポケモンがツリーハウスに入っていった。



@ ( 2013/04/29(月) 23:32 )