とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§2 The speed of sound
ninth
PM0:30 104番道路

〈あと、私達の種族は人間の姿になることで、紛れ込んで自らの身を守ってるの。〉
〈へぇー。〉〈そうなのね。ところで、人間の姿の時に普通に話していたけど、最初から喋れるの?〉

昼の日差しがさす中、エーフィーはライトに聞いてみた。

〈ううん、テレパシーは生まれつき身についているけど、普通に話せるようになるにはかなり練習が必要なの。〉
〈そうたんだね♪〉
〈うん。人とポケモンとでは、発声方法が違うから。私も最近、やっと日常生活で困らない程度のレベルに達したぐらいだから。〉
〈結構大変なんだな。〉
〈そういうものなんだね。普段意識してないけど、そんなに難しいことだったんだね。〉
〈うん。姿変えるのも練習が必要なんだ。〉
〈そんなに大変なの〜?〉
〈そう。私はまだ姿変えても、一部でラティアスの特長が残っちゃうの。姿変えるから見てて。〉

ライトはそう言い、意識を集中させた。

「私の場合、瞳が黄色いままになるの。」
〈確かに、よく見るとライトさんの瞳、黄色いままですね。〉
「あと、右の手の甲を見ればわかるとおもうけど、三角形の模様がどうして残るんだよね……。」
〈本当だ。さっきは気がつかなかったなー。〉
「うん。そういうこと。 言い忘れたけど、私達は性別で種族が変わるの。」
〈ってことは、ラティアスは♀しかいないってことかしら?〉
「そう。」
〈なるほどね。〉
「私のことは、これで全部かな。」
〈へぇー。  とりあえず、僕も元にもどるよ。〉

ユウキも姿を歪ませ、元に戻った。

〈そういえば、ライト♪?1つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?〉
「ん?どうしたの?」

突然、スワンナがライトに聞いた。

〈さっき森で、なんで追われてたの♪?〉
〈そういえば気になるわね。〉
「最初から話すと、私にはカナズミシティーに兄ちゃんがいるんだけど、会いに行くために森を抜けてたの。」
〈兄弟がいたんですね。〉
「うん。それで、半分ぐらいきたところで密猟集団と鉢合わせしちゃったの。」
〈密猟集団に〜!?〉
「うん。相手は私達のことを調べていたらしくて、正体がばれちゃったの。その集団は悪い噂しか聞かないから……もし捕まったら…何をされるかわからないし……隙を見て逃げだしてもすぐに見つかりそうだし…………とにかく捕まったら酷いことをされるらしいから、必死で逃げてたの。私の技、あまり練習してないから弱いし……。」
〈…………そういうことだったのね……。〉
「うん。だから、また襲われるといけないから、一緒に連れてってもらってもいいかな?」
「うん。むしろ歓迎するよ。」〈ええ。〉
〈ああ、もちろんだ。〉〈はい。〉
〈密猟者に襲われたみたいだし、僕にとっては他人事じゃないからね〜。特に僕から家族を奪った密猟者は誰であろうと絶対に許さない!!〉
〈うん。ウチもそうだよ♪〉
「みんな、ありがとう。」
「[絆]を深めた者として、当然だよ。ちょうど僕達もカナズミシティーに用事があるしね。」
〈はい。では、行きましょうか。〉

ユウキ達はライトを加え、歩き始めた。

………

PM1:00 104番道路 中央部

「104番道路って、結構自然が豊かだね。」
〈うん。僕、ここを気に入ったよ〜。〉
「ジャローダって、こういうところが好きなんだね。」
〈日当たりもいいしな。〉
〈ええ。私も日当たりがいいと五感が冴えるわ。〉
〈エーフィーに進化するための条件は、<日当たりのいいところで長時間過ごすこと>っていうことも関係しているのかもしれないね♪〉

ユウキ達は道路の大半を占める池に架かる橋を渡ながら雑談に華を咲かせていた。
ライトは出会って間もないにも関わらず、ユウキ達に打ち解けている。

〈ただ、この橋が少し狭いことが残念だな。〉
〈うん。確かに僕みたいに体が長いと、渡るのに苦労するよ〜。〉
〈ウチは飛べるから関係ないけどね♪〉
「私は常に浮遊してるから尚更かな。」

今度は橋についての議論が始まった。

「すみません。バトルお願いします。」

橋の上で突然バトルを挑まれた。

〈ユウキ、この子、ユウカじゃないかしら?〉
「うん。ここじゃあ狭いから、とりあえず橋から降りようか。」
「あっ、そうですね。」
〈ユウカ、少したくましくなったね♪。〉

結果的に、ユウキのほうが多く渡っていたため、ユウカが戻ることになった。

「ねぇ、この人は知りあいなの?」

橋を渡ながら、ライトはジャローダ達に聞いた。

〈ああ。最近旅立ったばかりの新人トレーナーだ。〉
「新人かー。」
〈その時ユウキはピカチュウの姿だったから、ユウキの事は知らないけどね〜。〉
〈ユウキさんが相手のポケモンに、直々にバトルの指導をしたんです。〉
〈人から見たら、普通のバトルって感じだったわ♪〉
〈ユウキはプロのトレーナーだからね。〉
「へぇー。」
「よし、この辺ならいいかな。ライト、僕達のバトル、見ておくといいよ。」
「はい、お願いします。」「うん。ユウキ君、わかったよ。」
「よし、エーフィー、頼んだよ。」
「キモリ、いくよ!」
〈どれだけ成長したか、見させてもらうわ。〉
〈うん。 あなたは、あの時、私に木の実をくれた人よね?〉
〈ええ、そうよ。〉
「キモリ、[種マシンガン]!」

ユウカはキモリに指示をだした。

〈うん。[種マシンガン]!〉
〈どのくらい強くなったか見させてもらうわ。〉「エーフィー、まずは耐えて。」

キモリは数粒の種を発射した。

〈っ、なるほどね。〉「えっ!?効いてない!?」
「ちょっとレベルに差がありすぎたかな。エーフィー、池の水に[サイコキネンシス]。少しでいいよ。」
〈ええ、わかったわ。[サイコキネンシス]!〉

エーフィーは池からごく少量の水を宙に浮かせた。

「水?なら、大丈夫かな。[叩く]!」
〈うん。〉「得意なタイプだからといって、油断したら命取りだよ。」
〈そうよ。少しの油断が敗北に繋がるわよ。〉
〈はい、わかったわ。 でも、この人の声、どこかで聞いたような………。〉
「水を発射して!」
〈ええ。かわせるかしら?〉
〈!! 早い!?〉

エーフィーは浮かせていた水を、加減してキモリに向けて放った。

〈くっ、強い…。〉
〈なかなか筋がいいわね。私の目は正しかったわね。これからも期待しているわ。〉
「…まけちゃった。バトル、ありがとうございました。」
「どうも。 きみはきっと強くなるよ。」
「本当ですか!?」
「うん!(知ってるけど、)一応名前、聞いてもいいかな?」
「えっ、うん。ユウカと言います。」
「ユウカだね。僕はユウキ、覚えてくれると……」
「えっ、ユウキって、あの歴史学者の!?」
「うん。そのとうり。」
「ユウキ君が学者だってこと、本当だったんだ。」
「私、こんな有名人と戦ってたんだー。しかも、期待されてるなんて……すごく嬉しいな。本当にありがとうございました。」

ユウカとの初(?)バトルは幕を閉じた。

 5分後

「エスパータイプの技にあんな使い方があったんだー。」
〈そうよ。他のタイプの技も、使い方によってはいくらでも応用して戦いを有利に進めれるのよ。〉
〈そうよ♪ウチらは少なくとも一つは応用を利かせた技を使えるんだよ♪〉
〈ライトも考えてみたらいいとおもうよ〜。〉
「うん!わかったよ。同じエスパータイプとして、エーフィーみたいに技が使えるようになりたいなー。用事が済んだら私の技、見てもらってもいい?」
「うん!僕も技の調子を確かめたいから、直々に相手するよ。」
〈私達も付き合うわ。〉
〈うん。〉〈僕で良かったらいくらでもつきあいますよ。〉
〈俺もだ。〉〈もちろんウチもね♪〉
「みんな、ありがとね。」
「うん。だからまずはお互いの用事を片付けてからだね。」
〈ええ。〉

ユウキ達は再びカナズミシティーに向けて歩き始めた。


  §2 end. to be continued...

@ ( 2013/04/23(火) 01:39 )