one-hundred-first
PM0:00 カナシダトンネル外部 sideシルク
???〈まさか、このタイミングで覚醒しました か………。〉
私達が………何とか…………意識を………つないでい る…………所に…………、1つの………聞き慣れ た…………声がした。
シルク〈この声は………………コルド………?〉
ライト〈………覚醒………って………?〉
コルド…………どういう…………事……?
コルド〈すぐに説明するので、《〉これを使って下さい。》
ユウカ「えっ?あっ、うん。」
それだけ………言うと、………コルドは………くわえていた…………袋を………ユウカに………手渡した。
コルド《[元気の欠片]はありませんが、シルクさん達が回復する分はあると思います。》
コルド……助かったわ………。
ライト〈コルド……………ありがとう………。〉
私と…………ライトは………力ない笑顔で………答えた。
アオイ〈確か………コルドとか………言ったわね………。………その[覚醒]は………何?〉
アオイさんは………待ちきれず……、早々と………コルドに………訊ねた。
その横で…………ユウカは………私達に…………袋の中の………[凄い傷薬]を使った。
……痛みはある程度は無くなったから、…これで何とか普通に話せるわ。
コルド《一応、ルビーさん達にも知っておいて欲しいので、[テレパシー]で伝えますね。…………ユウキさんの事も有るので、要点だけですが………。》
シルク・カエデ《コルド、頼んだわ。》「俺達にもか?」
コルド《はい。 今、ユウキさんが発動しているのは、[絆の加護]という、[絆の証]を持つ者専用の能力………、第2の特性と言った方が良いですね……。》
[絆]専用の特性?
ライト《って事は、ユウキだけの特性なの?》
コルド《そうです。自分の守備力を全て捨てる事で、味方に強固な守りを授ける効果があります。》
アオイ《だから、あの[10万ボルト]を食らっても私達は倒れなかったのね……。やっと分かったわ。》
そういうことだったのね?
……つまり、ユウキは無意識のうちに特性を発動させたことになるわね。
ミツル「………でも、それだとユウキ君は………。」
コルド《御察しの通り、ユウキさんが倒れない限り、僕達の身の安全は確保された事になります。……それと引き換えに、例え[体当たり]でも致命傷を負ってしまう状態………、ユウキさんの[命]が危ないという事です!!》
カエデ「そんな状態であのあり得ん威力の技を受け続けたら……」
…………そうなるわよね……………必然的に……。
ここで全員が悟り、口を噤んだ。
……………………、
アオイ《止めないと………[死]ぬわね………。》
流れる重い空気の中、アオイさんが沈黙を破った。
コルド《そうです!!だから、直ちにユウキさんを止めなければなりません!!シルクさん、ライトさん、[サイコキネンシス]を使えますか!?》
切羽詰まった様子で伺う。
シルク《私が助けたいところだけど、エネルギーが底をついているわ………。》
もし、まだエネルギーがあったらすぐにでも助けているのに……………。
…………悔しいわ………。
ライト《一気に使ったけど、何とか……》
アオイ《私がいくわ!》
ライトの言葉を遮り、アオイさんが名乗りを挙げた。
シルク《アオイさん……。》
カエデ「でも、あの[デオキシス]はどうするんや?……倒せる見込みも無い訳やし……。」
そうよね……。
それが一番の問題なのよね………。
アオイ《[封印]するのよ! 今はまだ来てないけど、ソウルなら方法を知ってるわ!》
シルク・ライト《《ソウルさんが?》》
私とライトは口………いや、言葉を揃えた。
カエデ・ルビー・ミツル「「「ソウルって?」」」
面識が無い3人の頭上に疑問符が浮かんだ。
シルク《ライトやアオイさんと対になっている種族、[ラティオス]の事なのよ。》
ライト《来るはず何だけど………。》
………遅れてるのね?
アオイ《…………兎に角、彼さえ無事なら致命傷を負う事は無いのよね?》
コルド《はい!》
アオイ《なら、私が助けて時間を稼ぐわ!!〈》[サイコキネンシス]!!〉
ユウキ〈…………!!?〉
言うや否や、アオイさんは超能力でもはや無意識で闘っているユウキを拘束した。
アオイ《ライト、彼の事は頼んだわよ!!》
ライト《うん!!〈》[サイコキネンシス]!!〉
ライトは同じ技でユウキの保護を引き継いだ。
…………やっぱり、ユウキの瞳……青いわね……。
気のせいじゃ……なかった…。
ライトに無事、引き継いだのを確認すると、アオイさんは[デオキシス]に向かって飛んでいった。
アオイさん………頼んだわ!!
コルド《ルビーさん、ユウキさんに[回復の薬]をお願いします!!》
ルビー「うん。これだね?」
ルビーさんはそれから目当ての物を取り出した。
ユウキ……………。
シルク〈ユウキ……ユウキ!!しっかりして!!〉
私は涙ながらに叫んだ。
今のユウキはほとんど意識を失っている状態………。
ユウキ………あなたまで逝ってしまったら………私は………。
その間にも、ユウキはルビーさんに回復してもらい、険しい表情から穏やかなものへと変わった。
ユウキ〈……!?[デオキシス]は!?〉
シルク〈……良かった……。〉
私は正気を取り戻した兄の声を聞き、ホッと肩をなでおろした。
ライト〈[デオキシス]なら、アオイさんが戦ってくれているよ。〉
ユウキ〈なら、今すぐにでも行かないと!!〉
青い瞳の[ピカチュウ]は、ライトの技で拘束されながらも相手を睨んだ。
ユウキ………あなたは戦うつもりだろうけど………、
シルク〈今はダメよ!ユウキ、気づいてないだろうけど、あなたの能力のお陰で全員の安全が保証されてるのよ。もしユウキが力尽きたら守りが失われる。だから、私達はユウキを守らないといけないの。〉
行かせる訳には行かないわ!!
ユウキ〈守り……?〉
コルド〈はい。簡単に説明すると、ユウキさんの特性の効果で皆さんの守備力が強化されているんです。………その代わりにユウキさん自身の守備力はゼロになっていますが……。〉
ライト〈だから、ユウキくんは戦わな………〉
???《皆さん、遅れてすみません!!》
会話の途中、1つの声が響いた。
この声は、ひょっとすると………。
視界の隅に一筋の光を捉え、私はそのほうに振り返った。
[テレポート]にしては光が大きすぎる気が………。
アオイ〈ソウル!!いい加減遅す……!?ティスさん!?〉
光が収まり、そこには……!?
ルビー・ミツル「「!!?」…」
全体的に緑で、この地方の伝説に語り継がれているポケモン……、
ルビー「[レックウザ]!? どうしてここに!?」
[レックウザ]と、[ラティオス]のソウルさんが浮遊していた。
でも、何故!?
ソウル《遅れた理由はこの通りです。》
ティス《確かに、危機的状況だな……。》
アオイ《そういう事だったのね……。慎重派のソウルらしいわね……。》
戦闘中のアオイさんが彼らに目を向ける。
デオキシス〈余所見をするな![原始の力]!!〉
アオイ〈!? しまった!!〉
目を離した隙に、相手は無数の岩石を放出した。
ティス〈[神速]!!〉
デオキシス〈っ!!〉
一同「「「〈〈〈速い!!〉〉〉」」」
ティスさん? は目にも留まらぬ速さで移動し、攻撃を命中させた。
シルク〈攻撃が効いた!?〉
あの[デオキシス]にダメージを与えるなんて……凄すぎるわ……。
私は彼?の実力に圧倒された。
コルド《あの方なら、いけそうですね!》
ユウキ〈うん。やっとだよ………。〉
絶望的な状況に打ちひしがれていた私達に、一筋の光が差し込んだ。
ソウル《いいえ。もう一度[デオキシス]を封印するしか方法はありません…。》
カエデ「封印!?でもどうやって……?」
封印し直すの!?
ソウルさん、方法はわかるの!?
ソウル《4つ目の宝具、[封印の鍵]です!ライト!》
[封印の鍵]で?
ライト〈[封印の鍵]………?……あっ、そうだった![サイコキネンシス]!〉
ソウルさんに言われ、ライトが何かを思い出したように………えっ!?どうしてライトが[封印の鍵]を!?
ライトは側に置いていた自分の鞄から、超能力で何かの欠片らしき物を取り出した。
ユウキ〈そっか!…でも、どうすれば?〉
青い瞳のユウキはその真意を問いた。
ソウル《まず、[デオキシス]を戦闘不能寸前の状態まで追い込みます。その後、石室の中に追い込みます。……その後は僕に任せて下さい!》
シルク〈戦闘不能寸前って事は、少しだけ体力を残さないといけないって事よね?〉
ソウル〈そうしないと、封印が発動しないんです。……だから《〉ここからは僕とティスさん……[レックウザ]に任せて下さい!》
そうしないと、不都合が生じるのね?
…………分かったわ!
ユウキ〈……なら、頼んだよ!〉
ソウル〈はい!ティスさん、行きましょう!〉
ティス〈作戦通りだな?了解した![神速]!〉
………頼んだわ!!
ティスさんはすぐに光速で移動する。
ソウルさんは滑空しながら光を纏い、姿を変えた。
ティス・ソウル〈[逆鱗]!!〉〈[フラッシュ]!!〉
!!
凄い………。
完全に息が合ってる……。
ティスさんはリーフのそれとは比べ物にならないぐらいの勢いで猛攻……。
ソウルさんは光の球を発生させ、それを相手の目前で発光させた。
………もしかして、視界を奪う作戦?
ソウル〈[充電]……………、[雷]!!〉
間髪を入れず、体内に電気を蓄え、一気に放出した。
………ユウキのより、激しいかもしれない……。
デオキシス〈っぐ!!〉
鉄壁の守りを誇っていた[脅威]が遂に圧され始めた。
…………このまま進めば…………いける!!
ソウル〈ティスさん、そろそろこれを!!〉
ソウルさんはまた光を纏い、そのまま超能力で何かを手渡した。
………速すぎて見えなかったわ……。
ティス・ソウル〈助かった!!〈[流星群]!!〉〉
その何かを口に放り込み、ふたりは竜のエネルギーを打ち上げた。
すると、
夥しい数の隕石が相手めがけて降下し始めた。
……………凄い……。
ティス〈ソウル!今だ!!〉
そして、遂に崩れ落ちた。
ソウル〈はい!![サイコキネンシス]!!〉
超能力で[脅威]を持ち上げ、岩壁に佇む洞窟に押し込んだ。
そしてそのまま超能力で[封印の鍵]を拘束し………。
ソウル〈《“過ちにて放たれし[脅威]………、今、収束せん”!!》〉
何かの呪文らしき文句を唱えた。
一同「「「〈〈〈!!?〉〉〉」」」
そして、急にソウルさんの身体が激しい光に包まれる。
ソウル〈………くっ……。〉
痛みがあるのか、ソウルさんの悲鳴にも似た声が響いた。
ソウルさんを包んでいた光は次第に彼の元を離れ、そのまま[封印の鍵]を覆った。
ソウル〈…………これで………封印できる………はずです……。〉
光が離れると、ソウルさんは墜落し、苦しそうに呟いた。
光を覆った鍵は洞窟めがけて一直線に飛んでいき、入り口辺りで激しく発光した。
………くっ!眩しくて目が開けられない!!?
私は思わず目を瞑った。
…………?
収まった?
私は恐る恐る目を開けた。
ユウカ「……………終わったの……?」
カエデ「……そうみたいやな……。」
ルビー「………という事は………」
ミツル「……封印できたって事……?」
入り口があった場所にはもう穴は無く、代わりに岩壁と共に何かの紋章が刻まれていた。
………終わった…………のね?
つまり………、成功………?
……でも、実感が湧かないわ………。
こうして、世界を[未曾有の脅威]から守る戦いは幕を閉じた。
§16 End. To be continued......