とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§16 gravity
ninety-sixth
AM8:30 ルネシティー sideユウキ

ユウキ「リーフ、お疲れ様。」
リーフ〈ありがとう……。でも……ちょっと無理し過ぎたかな。〉

僕達はジム戦を終え、そこから外へと出て一息ついた。

一応、応急的な手当てはしたけど、疲労が残ってるはずだからセンターで回復してもらったほうがいいかな。

相性が悪い相手に無理させてしまったし……。

僕はジムがある小島からポケモンセンターがある本土(?)にのり移るため、ボールに手をかけた。

飛び越すのには距離が離れすぎているし、あいにく水タイプのスーナは別行動でここにはいないからね。

僕はボールからまずフライを………

カエデ・ピジョット「ユウキそっちの様子はどうなん?」〈ふぅ、やっと着いた……。〉

ユウキ・ユウカ「フラ……、カエデ!?」「ユウキさん、やっぱり早いですよ。」

リーフ・フィルト〈カエデさんにユウカ!? まさか2人が一緒とは思わなかったよ。〉〈こいつらも知り合いなん?〉

……出そうとして、思わぬ人物の登場に驚いて、誤って彼のボールを落としてしまった。

ユウキ「で……でも、どうして2人か一緒に!?」

僕は驚きを隠せず、つい声が裏がえった。

カエデ「トクサネシティーに向かうフェリーで知りあったんやよ。」
ユウカ「それに、話してみて意気投合したんです!」
ピジョット〈僕達の背中の上で終始話していて、正直煩わしかったぐらいだから………。〉
リーフ〈それで、ここまで一緒に来たって訳だね?〉

…………うん、………事の終始はある程度はわかったよ。

ボールが地面に落ち、その弾みでフライが飛びだした。

ユウキ・フィルト「なるほどね……。」〈そういう事だ。〉

フライ〈………?ボクには何の事かさっぱり………。〉

フライは突然この場に登場して、まごついている……。

…………何か悪いね………。

ユウキ「………ところでカエデ?そっちはどう?」

気を取り直して、僕は早速彼に調査結果を訊ねた。

カエデ「俺の方は空振りやったよ……。ユウキはどうなん?」
ユウキ「僕が直接つきとめた訳ではないけど、[古代都市]の場所、役割、4つの宝具についても解ったよ!」

僕はこう言いながら、調査結果をまとめたノートを取りだした。

カエデ「ちょっと見せてもらってもええか?」
ユウキ「うん。見てもらった方が早いからね。」

僕はそれを彼に手渡した。

ユウキ「……遅くなったけど、ユウカ、ライト達から聞いたよ。[ボーマンダ]の[フィルト]の彼が加わったみたいだね?」

僕はそのままフィルトと思われる彼に目を向けた。

ユウカ「はい。あと、ツバキ達も進化したんです!」
リーフ〈って事は、[ジュカイン]になったんだね?〉
フライ〈あと、クロムも[ボスゴドラ]に?〉
ユウキ「とうとう最終進か………」

……になったんだね?

そう言おうとしたその時、

???「やっと見つけた……。よくも俺達の邪魔をいつもしてくれたな!!サマヨール、真ん中のトレーナーに[金縛り]だ!」

サマヨール・カエデ・ユウカ・リーフ・フライ・ピジョット・フィルと〈はいよ。[金縛り]!〉「「〈〈〈〈!!?〉〉〉〉」」

ユウキ「っく!………ガンマ………何故ここに…………!?」

背後から技をかけられ、全身に強烈な痛みが駆け抜けた。

…………くっ! 動けない………。

ガンマ「お前には散々俺達の計画を邪魔されたからな。その採算をしてもらうぞ!!キルリア、[御触れの石室]に[テレポート]!」

キルリア〈…………[テレポート]………。〉

カエデ・ユウカ「ユウキ、こいつが幹部のガンマなんやな!?」「ユウキさん!?」

リーフ・フライ〈ユウキ!! [リーフ………]……〉〈ユウキくんに何を……[目ざ…]………〉

彼らの言葉を聞く間もなく、[キルリア]から発せられた光は[サマヨール]、身動きがとれない僕、勝ち誇ったように笑みを浮かべるガンマを包んで収束した。

ガンマ…………一体僕を何処へ!?

………

sideリーフ

リーフ・フライ〈ユウキ!! [リーフブレード]!!〉〈ユウキくんに何を……[目覚めるパワー]!!〉

僕とフライは、今にもユウキを連れ去ろうとしている(かたき)に向けて技を構えた。

僕は尻尾に緑の刃を形成し、フライは手元に紺色のエネルギーを蓄積させる

リーフ〈ユウキに手を出すな!!………くっ、遅かったか……。〉

………間に合わなかったか……。

フライ〈リーフ………、どうしよう……。〉
リーフ〈フライどうにかしてユウキを連れ戻さないと!〉
フライ〈でも、どうやって!?場所も解らないのに!!〉
リーフ〈………たぶん、ガンマが言ってた[御触れの石室]だと思う………。詳しい場所は知らないけど………。〉

僕は如何にしてユウキを捜すか議論した。

リーフ〈………とにかく、ここの近くじゃ無さそうだよ!!フライ、僕を乗せて飛んでくれる!?〉

僕は事の緊急性に語尾を強めた。

フライ〈うん!!なら、ライトちゃん達に伝えてくれる!?〉
リーフ〈OK! じゃあ、頼んだよ!〉

僕は力強く頷き、フライの体に絡みついた。

四肢がない僕にとってしがみつくのは至難の業………。

でも、そうも言ってられない!

ユウキが連れ去られ、頼れるシルクも居ない今、僕がしっかりしないと!

ジム戦で溜まった疲れなんて、尚更構ってられない!!

フライは僕を乗せて飛びたった。

………

AM8:45 御触れの石室 sideユウキ

ユウキ「っく……、ここは……。」

僕は[サマヨール]の技によって身動きを抑圧されたまま、どこかの洞窟の中に連れて来られた。

本当にどこ!?

おまけに、[ピカチュウ]の姿じゃないから、ダメージが大きい……。

それに、リーフとフライを出したまま連れ去られたから、側にいるのはシルクのみ。

長期戦になったらさすがのシルクでも厳しいかも……。

ガンマ「知らないのも当然だろう……。ここは海底の奥深くにある洞窟だからな……。」
ユウキ「でも、どうして僕をこんな所に……。」

なら………何故?

ガンマ「計画を邪魔されないように(かたき)を監禁しておくのは当然だろう?今回のプロジェクトの責任者として、失敗するわけにはいかないからな!特に、散々俺達の邪魔をしてくれた考古学者のユウキ、お前だけはな!![ジーランス]、“グリース”に刃向かうとどうなるか、教えてやるのだ!!

ユウキ「つまり……足止めという訳か!! シルク、[絆]の名に賭けて、絶対に阻止するよ!!」

なら……、この戦いに勝利して、すぐに帰還しないと!!

僕は妹が控えるボールに手をかけた。

シルク、頼んだ!

今は君しかいない!!

シルク〈………ユウキ、わかったわ!!〉
ユウキ「状態を簡単に説明するよ。僕達は今、海底にある洞窟にいる。脱出するためには泳いで抜けるしかない……。おまけに、リーフとフライを出したままの状態で連れ去られたから、シルク、今は君と僕しかいないよ!」

僕は簡単に彼女に説明した。

シルクなら、これだけ言えば分かってくれるはず!

シルク〈……私達にとつて状況は最悪というのはわかったわ。……つまり、負けられないという事ね?………ユウキ、絶対に、勝つわよ!![瞑想]!!〉

シルクは瞬時に状況判断し、精神統一を始めた。

ユウキ「まずは相手を拘束して!!」

シルク・ガンマ〈確実に仕留める作戦ね?[サイコキネンシス]!!〉「[岩石封じ]!!」

ジーランス〈………[岩石封じ]……っ!〉

シルクは目を閉じたまま超能力を発動させ、相手をシルクの頭上にいくつもの岩を出現させた。

それは重力に引かれて降下を開始する。

シルク〈そのまま使わせてもらうわ!![目覚めるパワー]!!〉

それも拘束し、目を開け、口元に暗青色のエネルギーを溜め始めた。

シルクはそれを敢えて配合せず、別々に飛ばした。

ジーランス〈………くっ!〉

それらは身動きがとれないジーランスに命中し、崩れ落ちた。

……よし。まずは一体……。

ガンマ「フッ……戻れ。キルリア、行け!」

キルリア〈エスパー同士の戦いという訳ね……。〉
シルク〈望むところよ!!〉

続いて、2体目をくり出した。

ユウキ・ガンマ「漆黒で取り囲んで!!」「[サイコウェーブ]!」

シルク・キルリア〈いつものね!? [シャドーボール]、拡散!!〉〈[サイコウェーブ]!!〉

相手はシルクに接近しながら見えない波を発生させ、シルクは漆黒のそれを超能力で細かく分裂させた。

シルク〈その程度の技だと、私は倒せないわよ!!〉

シルクは波の軌道を測み、左に跳んでかわした。

キルリア〈かわされた!?〉

そのまま相手を全方向から取り囲む。

シルク〈収束!!〉
キルリア〈!!?かわせない?!〉

物をかき集める要領で、シルクは漆黒の小球を中心に向けて凝縮させた。

ガンマ「クソっ!2匹目もあっさりと……サマヨール、行け!!」

ガンマはキルリアの状態を確認することなくボールに戻した。

サマヨール〈はいよー。〉
シルク〈今度はゴーストタイプね………。[シャドーボール]、[サイコキネンシス]、発散!!〉

ガンマ・サマヨール「相手はエスパータイプだ! [シャドーボール]連射!!」

シルクはいつものように巨大な漆黒のエネルギー塊を拘束し、その一部を使って上昇気流を発生させた。

シルク〈[目覚めるパワー]!!〉

そして、上に飛ばされながら暗青色の塊を作り出す。

サマヨール〈[シャドーボール]!!〉
シルク〈それだけの数だとほぼ無意味よ!!化合!!〉

落下しながら混ぜ合わせ、深青色の雨を降らせた。

この膨張しながら増殖する弾は絶対にかわせないよ!!

シルクが最も得意としている組み合わせだから、尚更。

ガンマ「何だ!?あの技は!?」

ガンマは恐らく見たことのない技を目撃して驚きの声をあげた。

サマヨールの抵抗も虚しく、崩れ落ちた。

これで半分。

とうとう、なりふり構わなくなってきたね……。

ガンマ「くっ………。グラエナ、頼んだ!!」
グラエナ〈作戦は順調だな………。〉

相手は対決のたびに出している[グラエナ]をくり出した。

恐らく………、一番付き合いが長いのかもしれない……。

でも、シルクが相手だと有利に闘えない………。

……こうなったら……、仕方ない……。

ユウキ「シルク、交代!!」
シルク〈ユウキ!? 私しかいないのにどうするつもりなのよ!?〉

僕の思わぬ言葉に、シルクは驚きの声をあげた。

ユウキ「シルク、今回はやむを得ないよ。[グラエナ]相手ではシルクの方が明らかに不利だよ。だから………僕がいく……。ガンマ!!17代目、[絆の賢者]として、ここからは僕が直々に相手戦わせてもらうよ!!

僕は大声で言い放った。

ガンマ「笑わせるな!!人間がポケモン相手にかなうとでも思ってるのか!?」
ユウキ「常人なら不可能だけど、僕は特殊だから………可能だ!!」

僕はそれだけ言い放ち、もう一つの姿をイメージした。

翻弄しながら[気合いパンチ]を当てれば……いける!!

僕は堂々と姿を歪めた。

ガンマ「!!! 貴様、何者だ!!」
シルク《言ったわよね? ユウキは[絆の賢者]……、特殊だって。[英雄伝説]の昔話を知らないとは言わせないわ!!》

ユウキ・グラエナ〈[目覚めるパワー]連射!!〉〈!!?〉

僕は相手が狼狽えている隙に、接近しながら紅蓮の弾を何発も放った。

相手まで8m……。

ガンマ・ユウキ「!? かわしつつ[噛み砕く]で迎え撃て!!」〈[10万ボルト]!!〉

技を中断し、高電圧を電撃を放ちながら4足で接近。

ここまではあくまで牽制……。

あと6m………。

グラエナ〈了解だ!!〉

僕は急ブレーキをかけ、そのまま右腕に力を溜める。

4m………。

グラエナ〈人間のくせに………〉

2m…………。

グラエナ・ユウキ〈ふざけるな!![噛み砕く]!!〉〈[気合いパンチ]!!〉

僕は溜めていた力を解放し、大きく振りかぶった。

相手も大口を開けて僕に牙を向ける。

0m………。

グラエナ・ユウキ〈ぐっ…………。〉〈くっ…。〉

僕の拳は顔面にヒットし、相手は派手に吹っ飛んだ。

顔面を捉えた僕の拳は彼の鋭利な牙にも当たり、僕もダメージを被る。

ガンマ「クソっ!俺のグラエナまで!![マッスグマ]!!」

岩壁に激突し、彼は意識を手放した。

マッスグマ〈残すは俺とあいつだけか……。〉
ユウキ〈[目覚めるパワー]、[エレキボール]!!〉

僕は相手の種族を確認せず、そのままの流れで黄と紅蓮の弾を交互に連射した。

その中の一部は衝突して混ざり合ったり、拡散したりした。

占めて黄、紅蓮、橙の3色……。

ガンマ「[電光石火]でかわせ!!」
マッスグマ・ユウキ〈[電光石火]!!〉〈もう一発!!〉

相手は身軽に3色の弾幕をかわしつつ接近。

僕も力を溜めながら接近。

マッスグマ・ユウキ〈[捨て身タックル]!!〉〈[気合いパンチ]!!〉

相手は勢いを乗せたまま僕に突っ込み、僕はそれに拳で応戦する。

ユウキ〈………流石に…[捨て身タックル]は…厳しいかも……。〉

僕は若干ふらつきながら立ちあがった。

………たぶん、もう一回ダメージをまともに受けたら倒れるかもね………。

ガンマ「くっ、…………[ホエルオー]、お前で最後だ!!」

ユウキ・ホエルオー〈!?[ホエルオー]!? デカい!?〉〈……………〉

!!!

デカ過ぎる!?

こんなに大きいポケモン、見たこと無い!!

…………でも、倒さないと!!

………恐らく水タイプ………、なら………、

ユウキ〈[10万ボルト]!!!〉

最大出力の僕の得意技、[10万ボルト]で!!

僕はエネルギーを使い切るつもりで電撃を放出した。

大きさ的にも、体力は多いかもしれない………。

でも、この技を出し続ければ………いける!!

僕は限界以上まで出力をあげた。

……っ!

僕まで……痺れそうだ………。

ホエルオー〈……………ッッ!!〉

ユウキ〈!!? ……終わっ……た?〉

とてつもない地響きと共に、青い壁は崩れ落ちた。

…………完全にエネルギーを使い切ったけど………何とか倒せた…………。

@ ( 2013/11/21(木) 01:23 )