とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§15 examination
ninety-second
PM4:00 古代塚前 sideスーナ

シルク『………わかったわ。ユウキに伝えておくわね。』
スーナ〈うん♪頼んだよ!〉

ウチらはさっきの調査結界を詳しく彼女達伝えた。

…………それにしてもビックリしたよ!

[失われた古代都市]と[ホウエンの結界]が繋がるなんて、全く想像できなかったよ!!

[封印石]は3つ、[古代都市]も3つ……。

って事は、唯一関係が解ってない[封印の鍵]は[デオキシス]が封印されている場所に関係があるのかもしれない……。

……さっき通信機経由でユウキ以外のみんなと議論したら、また1つ、仮説が起ったんだよ。

[古代都市]が結界の頂点を表してるなら、その内部に[デオキシス]は封印されてる……。

そして、[封印の鍵]が何層もの護りを解く最後のカギになる……。

この命題が証明されないためにも、まだ奪われていない[氷の封印石]、[鋼の封印石]、[封印の鍵]を死守しないと!!

…………そして、これはあくまでウチの勝手な推測だけど、[デオキシス]が封印されてる場所は[カナシダトンネル]の近くのような気がするんだよね……。

地図で見てみたけど、確かに[古代都市]を結んだ三角形の中にあったし、そしてそこは山みたいだからね。

………確信はないからまだ誰にも言ってないけど………。

コルド〈………なら、僕達は次はソウルさんに[封印の鍵]について聞きに行ってみますね。〉
リーフ『うん。 なら、僕達は明日にも[ルネシティー]でジム戦を兼ねて周辺を調査してみるよ。』
フライ『噂によると、そこにも遺跡があるらしいからね。』
オルト〈情報によると、ルネのジムは水タイプだ。〉
スーナ〈きっとリーフ中心になるね♪〉

ウチらは口々に互いの予定を確認した。

ユウキ達は今日はトクサネシティーで宿をとって、明日出発するんだって!

ウチらはソウルさんがいる110番道路だから、キンセツシティーで一晩過ごす事になるのかな?

ライト〈きっとそうだね! じゃあ、引き続き頑張ろっか!〉
シルク『ええ!』

スーナ・オルト〈うん♪〉〈ああ。〉

リーフ『何か解ったらおしえてね!』
コルド〈そちらも、頼みますよ!〉
フライ『うん、もちろんだよ!』

もちろん、そのつもりだよ!!

ウチらは再び一致団結した。


コルド〈……よし。 それでは、僕達はそろそろ出発しましょうか。〉

マイクの電源を切って、コルドがウチらの方を見て言った。

オルト〈そうだな。時間的にも、今から向かわないと間に合わない可能性があるからな。〉

オルトは落ちついた様子で呟いた。

確かに、そうだね!

曇っていて太陽の位置は解らないけど、シルク達と別れてから大分経つもんね!

コルド〈………となると………、ライトさん、お願いします。〉
オルト〈俺も頼んだぞ。〉
ライト〈うん。  でもこの姿だと鞄に手が届かないからちょっと待ってて。〉

ライトはふたりに言われてから、首を横に振った。

……そうだね。

今、ライトの鞄は右翼から左腕のほうにたすき掛けみたいな状態になってるからね。

種族上腕が短いから不可能だね……、きっと………。

ライトはすぐに光を纏い、姿を変えた。

ライト「種族上、仕方ないよね。 じゃあ、いくよ。」

コルド・オルト〈はい、お願いします。〉〈頼んだ。〉

収まるとすぐにふたりのボールを取り出し、彼らは赤い光に包まれた。

そして、それを鞄の一番取り出しやすい場所に収納した。

しまうとすぐに元の姿に戻った。

ライト〈………この姿だと体にあっていいんだけど、姿を変えないと出し入れできないから不便だよ……。でも、他のタイプはもっと使いにくそうだったから、まだマシかな。〉

彼女はボソッとそれに対する愚痴をこぼした。

スーナ〈………気を取り直して、行こっか♪〉
ライト〈うん。〉

ウチは彼女の愚痴を聞かなかった事にして、大きく羽ばたいた。


そして、次の目的地を目指して飛びたった。

………

同刻 船上 sideツバキ

ユウカ「ハァ……ハァ…………、何とか……………間にあった……。」
ツバキ〈ユウカ……、無理し過ぎたんじゃない?〉

私とユウカ120番道路から全速力で走って、出航直前のフェリーに飛び乗った。

直接ユウカと話せたらもっと早く伝えられたんだけど、時刻表を確認するのが遅くてこうなったのよ……。

私は返事が返ってこないと分かっていても、パートナーの状態を気づかった。

完全に息がきれてるね……。

ユウカ「ツバキは………大丈夫?」
ツバキ〈うん、私は平気だよ!〉

私は彼女に聞かれ、笑顔と共に大きく頷いた。

ユウカのお陰で、体力がついたからね!

ユウカ「そっか………、良かった………。」
ツバキ〈私より、ユウカの方が大丈夫じゃ無さそうだけど……?〉

ユウカと旅して分かったんだけど、彼女、かなりの運動音痴で……。

私がずっと外にいるようになってから、一度競争したんだけど、ビックリするぐらい遅かった……。

私はついたけど、ユウカはもう少し運動面で鍛えた方がいいと思うよ?

……ユウキさんとかライトちゃんがいないと伝えられないけど………。

???「疲れとるところをすまんけど、バトルにつき合ってもらってもええかな?」
ユウカ「えっ?……あっ……はい。良いですよ。ツバキもいいよね?」
ツバキ〈私は良いけど、ユウカは休んだ方がいいと思うけど………。〉

私は間を開けて、こくりと頷いた。

………それにしてもこの人、訛りが……。

???「よし。 俺は考古学者のカエデ、頼んだで!」
ユウキ「あっ、はい。 私はユウカと言います。」

見た感じ、ユウキさんと同じくらいの年かな?

…………そういえば、ユウキさんも考古学者だったっけ?

ベテランのトレーナーっていうイメージしかないけど。

カエデ「ルールは1対1でええかな?」
ユウカ「はい! ツバキ、いってくれる?」
ツバキ〈もちろん!〉

ユウカ、最初からそのつもりだよ!!

彼女の方に振り返り、肯定の意を示した。

カエデ「じゃあ、フローゼル、いくで!!」
フローゼル〈よし、いくか。〉

カエデさんがボールから一匹のポケモンを出した。

……種族は解らないけど、見た感じ水タイプかな?

なら、大丈夫そうだね!

カエデ「始めようか!」
ユウカ「はい!!」
カエデ「様子見で[アクアジェット]!」
フローゼル〈いつもの作戦だね?[アクアジェット]!!〉

テノール調の声で相手は答え、瞬時に水を纏った。

ツバキ・ユウカ「〈速い!?〉ツバキ、[見切り]から[リーフブレード]!!」

!? 凄い速さ!?

水の弾丸と化した相手が急速に私に迫る。

私まで3m………

ツバキ〈!?分かったわ!!………。〉

私は彼を引きつけ、隙を伺う。

2m……

フローゼル・ツバキ〈もらった!!〉〈よし、[見切]ったわ!!〉

目前まで相手が迫る。

私は相手の軌道を()み、体勢を低くした。

1m………

フローゼル・ツバキ〈!?消えた!?〉〈[リーフブレード]!!〉

私はそのまま腕に力を溜め、草の刃を形成する。

ここまで僅か2秒。

0m………

私は力を解放し、それを思いっきり振り上げた。

フローゼル〈くっ!!〉

ユウカ・ツバキ・カエデ「〈よし!」通った!「〉そのまま[ドラゴンクロー]!」「!?そのまま撤退や!」

私の斬撃が命中し、相手の軌道が僅かに逸れた。

……でも、逸れただけ!?

フローゼル・ツバキ〈っ!分かった! 君、僕にダメージを与えるなんて、なかなかやるね!〉〈うん![ドラゴンクロー]!〉

私は立て続けに、手元に暗青色のオーラを纏った。

相手は余裕って感じで後退する。

私はめげずに追撃する。

実力の差はあるかもしれないけど、背をみせるとやられるよ!!

カエデ「解除して[冷凍ビーム]!!」

フローゼル・ユウカ・ツバキ〈一気に攻めるんだね?[冷凍ビーム]!〉「〈えっ!?」[冷凍ビーム]!?〉

突然相手は身を翻し、凍てつく冷気を私に向けて放った。

私は咄嗟にかわしたけど………、

ツバキ〈っ!! 腕が………。〉

相性の関係で、大ダメージと共に……利き手である右腕が……凍りついた。

ユウカ「ツバキ!!一度退いて!!体勢を立て直すよ!」
ツバキ〈……うん……。〉

私は右腕を庇いながら……相手との距離をとった。

カエデ・ユウカ「[ソニックブーム]!」「ツバキ、来るよ!![リーフストーム]で迎え撃って!」

フローゼル・ツバキ〈うん! [ソニックブーム]!〉〈……[リーフストーム]……。〉

相手は2本の尻尾を振った勢いで……空気の刃を飛ばし、私は……最大出力で深緑の嵐で……迎え撃った。

互いの技がもう片方を………切り裂き、

フローゼル・ツバキ〈〈くっ!〉………強い…………。〉

勢いを…………そのままに、………両者に………命中した。

私は威力に……耐えきれず………崩れ落ちた………。

…………相性的には………有利だったけど………、負けた………。

………

sideカエデ

ユウカ「………私の負けか……。」

技の相打ちにより、バトルの幕が下りた。

彼女、なかなか強かったな。

長年連れ添った俺のパートナーにダメージを与えるなんて、たいしたものやよ!

カイナで戦った時の、ユウキの[エーフィー]以来やな。

カエデ「勝負、ありがとな。ユウカ、やったな?最初の[見切り]からの連携は予想外やったよ!」
ユウカ「本当ですか……? カエデさん、全く歯が立たなかったですよ……。」

敗戦して、暗くなった彼女が答えた。

カエデ「そんな事ないで! 俺のパートナーのフローゼルにダメージを与えるなんて、たいしたものやよ。 知り合いの考古学者と戦った時以来やよ。」
ユウカ「考古学者………? もしかして、ユウキさんの事を知ってますか?」

!?

カエデ「!? 知っとるけど、君もか!?」
ユウカ「はっ、はい!バトルのコツとか、いろいろ教えてもらったんです!カエデさんはどうしてユウキさんを!?」

俺らは、互いに驚きと共に互いをハッと見た。

バトルの手ほどきを!?

カエデ「俺は今彼と別の2人と伝説の調査をしてるんよ!」

……………まさか、ユウキの知り合いと会うとは思わんかったよ……。

俺らはこの後、船が目的地に着くまで会話に明け暮れた。

@ ( 2013/11/13(水) 00:57 )