とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§15 examination
ninetieth
PM3:00 トクサネシティー付近上空 sideフライ

フライ〈ユウキ君、もしかしてあの島がそう?〉

ユウキ君に言われた通り、ボクはまっすぐ飛んだ。

……これで一時間ぐらいかな?

ドラゴンタイプのボクにとって、どうって事ないけど。

ユウキ「うん。」
フライ〈ボク、海を越えるの初めてだよ!〉

ボクは徐に感嘆の声を漏らした。

……相変わらず湿度が高くて不快だけど。

潮風が吹き抜け、ボクの尻尾を靡かせる……。

ユウキ「そうだったね。フライは初めてだったね。」
フライ〈って事は、ユウキ君達って来たことあるの?〉

ユウキ君、そうなの?

ボクは横目で彼を見て言った。

ユウキ「うん。 通過しただけで街は見てないけど、確かに来たよ。」
フライ〈へぇー。〉
ユウキ「だから、この島は僕達にとってこの地方での旅の出発点になるよ。」

そうなんだー。

旅の出発点かー。

ボクにとっては砂漠になるのかな?きっと。

フライ〈そうなんだね。〉

ボクは彼の言葉に頷いた。


ボクはそのまま翼を羽ばたかせ、次第に近くなる海上の孤島を目指した。

………

PM3:15 トクサネシティー sideフライ

フライ〈ユウキ君、この辺でいい?〉
ユウキ「うん、ありがとう。お陰で船よりも早く着いたみたいだよ。」

ボクは適当な地面に降りたち、背中の彼を身を屈めて下ろした。

ユウキ君の言う通り、途中で船が進んでいるのが見えたよ。

ユウキ「シルク、リーフ、お待たせ!」

ユウキ君はボクから下りるとすぐに、腰に装着しているボールから2人をだした。

シルク〈着いたのね?〉
リーフ〈案外早かったね。〉

2人は潮風を感じながら呟いた、

フライ〈ユウキ君、この後はどうするの?〉

ボクは彼に質問した。

もう3時だから、調査は後回しかもしれないね。

ユウキ「とりあえず、部屋を予約してからジム戦だね。」
シルク〈そういえば、ルビーさんがここにあるって言ってたわね。〉
リーフ〈確か、エスパータイプだったっけ?〉
フライ〈なら、今回はふたりが戦う事になるね。〉

ジム戦かー。

そうだね。中途半端な時間だし、調査するには短すぎるもんね!

ボク達はまっすぐユウキ君を見て答えた。

ユウキ「うん。 ………さんにんとも、回復しなくても大丈夫だよね?」
シルク〈ええ。私は戦ってから大分時間が経っているから平気よ!〉
リーフ〈シルクは例え疲れていても敵なしって感じだから、問題ないと思うよ。〉
フライ〈シルクが負ける所を見たことがないしね! あっ、ボクも大丈夫だよ!〉

ユウキ君、ボク達の体調は万全だよ!

ボク達はパッと明るい表情で答えた。

ユウキ「じゃあ、部屋確保出来たら直ぐに行こっか。」

シルク・リーフ・フライ〈ええ!〉〈〈うん!!〉〉

ボク達は大きく頷いた。

………

PM3:30 トクサネシティージム sideユウキ

ユウキ「すみません、ジム戦お願いします!」

泊まる部屋を確保し、シルク達をボールに戻してから自動扉をくぐった。

そして、僕は占めて15回目の決まり文句を高々と発声した。

ラン「ジム戦だね?」
フウ「請けてたつよ!!」
ユウキ「えっ!? 2人!?」

僕の声を聞いて、瓜二つの男女が姿を現した。

もしかして……双子!?

フウ「驚いた? 見ての通り、ぼく達は双子だよ。」
ラン「だから、ここの方式はダブルバトル。 ちなみにわたしはラン」
フウ「ぼくはフウ。 挑戦者の君は?」

双子は次々に言葉を繋げていく……。

入る隙がないよ……。

ユウキ「………あっ、僕はユウキと言います。」

呆気にとられていた僕は反応が遅れた。

ラン「ユウキ君だね? ユウキ君、使用ポケモンは2体、交代は両者共に無し。いいね?」
ユウキ「はい、大丈夫です。」
フウ「なら、始めるよ!」

言うや否や、2人はボールに手をかけた。

ペース、持ってかれたかも……。

僕も同じように手をかける。

ラン・フウ・ユウキ「「2人の実力、魅せるよ!」」「[絆]の名の下に……いくよ!!」

同時にボールから出し、僕にとって15回目のジム戦が幕をあけた。

絶対に、負けないよ!

………

sideシルク

フウ・ラン・ユウキ「「2人の実力、魅せるよ!」」「[絆]の名の下に……いくよ!!」

シルク・フライ〈ええ、もちろんよ!!〉〈うん、任せて!!〉

私は勢いよくボールから飛びだした。

相手はエスパータイプだから、[シャドーボール]を使える私にとって、有利なジムね。

ルナトーン〈ソル、いつも通りいくよ〜。〉
ソルロック〈もちろ〜ん!〉

フライ〈えっ!?ふたり!? それにシルクも!?
シルク〈!? もしかして、ダブルバトル!?〉

!? フライも!?

それに相手もふたり!?

ユウキ「シルク、フライ、簡単に説明するよ。 今回はダブルバトル、交代は無しだよ!」
シルク〈ダブルバトルね? 分かったわ! 戦略はいつも通りよね?〉

ユウキ、分かったわ!

フライとの連携が肝心という事ね?

ユウキ「うん。」
フライ〈OK! じゃあいくよ!〉

私とフライは一度顔を見合わせ、互いに頷いた。

シルク・フウ・ラン〈ええ!まずは時間稼ぎ、頼んだわ![瞑想]!〉「「[瞑想]!」」

フライ・ソル・ルナ〈分かったよ![岩雪崩]!〉〈〈[瞑想]!〉〉

私はすぐに目を閉じ、意識を集中させた。

フライは相手を取り囲むように無数の岩石の雨を降らせた。

これで暫くは身動きがとれないわね。

シルク《フライ、ここから私は[テレパシー]で伝えるわ!》

フライ・フウ〈作戦がバレるもんね![超音波]!〉「ソルロック、光を溜めて!」

ソル・ラン・シルク〈りょ!〉「ルナトーンは[サイコウェーブ]!」《フライ![ソーラービーム]が来るわ!注意して!!》

シルク・フライ・ルナ〈[サイコキネンシス]、[目覚るパワー]!〉〈[ソーラービーム]!? うん!〉〈[サイコウェーブ]!〉

フライは音波を発生させながら浮上し、ソルは光を蓄え始めた。

私の予測が正しければ、あの技ね?

ルナは私に向けて空気の波を発生させた。

私は目を開け、技を解除し、超能力と同時に口元に暗青色のエネルギーを凝縮させる。

ユウキ・シルク「[目覚めるパワー]!」《フライ、[目覚めるパワー]貸して!》

フウ・フライ「フライゴンに[ソーラービーム]!」〈うん![目覚めるパワー]!〉

シルク・ソル〈あなたの技、利用させてもらうわ!〉〈[ソーラービーム]!〉

フライは手元に紺色のエネルギーを蓄積し、私は暗青色のエネルギー塊を拘束している超能力の影響範囲を広げた。

あなた超、そしてフライの悪、使わせてもらうわよ!!

眩い草の光線がフライに向けて放たれた。

ラン・フライ「止められた!? なら、これならどう?[ソーラービーム]に[サイコキネンシス]!!」〈シルク、やっぱり合ってたよ!!連射!!〉

ルナ・シルク〈これなら止められないでしょ〜?[サイコキネンシス]!〉〈そうはさせないわ!![シャドーボール]連射!〉

フライ〈!!? 曲がった!?〉

フライは尻尾を靡かせながら紺の小球を無数に発射し、旋回した。

対して、ソルは超能力で光線の軌道を無理やり曲げた。

シルク〈フライ!!〉

私は思いっきり叫び、溜めていた漆黒のエネルギーを術者に向けて一部放った。

シルク〈フライ、私のところまで来て!!〉

ルナ・フライ〈!? 気が逸れた!クソっ!〉〈!? うん!!〉

フライは私の声を聞くと急降下して私に接近した。

フライ、乗せてもらうわよ!!

私は彼が地面に達する直前に飛び乗った。

その後彼は進行方向を変え、地面と平行に滑空した。

フウ・ラン「! ぼく達の連携技が防がれるなんて………、こうなったら、「[原始の力]!!」

シルク・ルナ・ソル《フライ、そろそろ攻めるわよ!〈》悪と竜を化合!!〉〈〈[原始の力]!!〉〉

行き場を失った光線は地面に直撃し、砂埃が舞い上がった。

私は竜と悪のエネルギーを混ぜ合わせて藤色の塊を生成した。

相手は未知なる力で大岩を複数出現させた。

シルク《フライ、上昇して!!〈》拡散!!〉
フライ〈相手を混乱させるんだね? なら…、[超音波]!!〉

私達に岩石が放たれ、フライは間一髪それを……

フライ〈っ!〉

かわせず、僅かに掠った。

私は彼の背中にしがみつきながら、その塊を分裂させた。

フライは痛みに耐えながら音波を発生させた。

ドップラー効果により独特のうなりが生じる……。

分裂させ、それを地上に向けて放出した。

ユウキ「フライは[ドラゴンクロー]、シルクはフライのそれに[シャドーボール]をコーティングして!!」

藤色の弾は膨張しながら分裂し、混乱作用を秘めた雨となった。

フウ・ラン・ルナ・ソル「「〈〈何!? あの技!?〉〉」」

シルク・フライ〈コーティング? 分かったわ! [シャドーボール]、[サイコキネンシス]!〉〈うん![ドラゴンクロー]!〉

私は技の効果を確認せずに、ユウキの指示通り行動した。

フライは両手に暗青色のオーラを纏い、私はそこに超能力で漆黒のエネルギーを纏わせる……。

もしかして……、[シャドークロー]の代用?

きっとそうね!!

シルク〈フライ、一気にいくわよ!![シャドーボール]!〉
フライ〈うん!!〉

急降下している彼から、私は飛び降りた。

そしてそのまま漆黒の弾を連射する。

フライは勢いをそのままに霊の斬撃を2発、ソルにヒットさせた。

ソル・ルナ・シルク〈!!? ッ! やられた……。〉〈混乱!?〉〈発散、収束!!〉

私は超能力を駆使して霊の弾でルナを取り囲み、中心に向けて凝縮させた。

これで最後よ!!

ルナ〈!? かわせない!? くっ!!〉

衝撃と共に、砂煙が舞い上がった。


土色の霧が晴れると、相手は共に力尽きて倒れていた。

………よし、勝ったわね。

@ ( 2013/11/08(金) 00:50 )