とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§15 examination
eighty-ninth
PM2:00 ミナモシティー船着き場 sideユウキ

ユウキ「………そっか………、出航したばかりか……。」
フライ〈一歩遅かったね…。〉

ライト達と分かれてからすぐに来たけど、乗る予定だったトクサネシティー行きのフェリーは5分前に出航したらしい。

リーフ〈ユウキ、どうする?〉

腕を組んで渡る手段を考えている僕に、困った様子でリーフが聞いた。

ユウキ「うーん、そうだね……。」
シルク〈次の船を待つ事も可能だけど、見たところ3時間後しか来ないわね……。〉

3時間か………。

となると、向こうに着くのは早くても6時か……。

フライ〈なら、ボクが乗せて行こっか?〉
リーフ〈フライ、名案だね!ユウキ、どうかな? もしかすると、船で行くよりも早く着くかもしれないよ!〉

ユウキ・シルク「〈フライ、確かにその方がいいね!/いいわね!〉」

思いがけず出たフライの良案に、僕達兄妹の声が揃った。

やっぱり、兄妹って似るんだね。

リーフ〈って事は、僕とシルクはいつも通りボールだね?〉
シルク〈そうね。だからユウキ、お願いね!〉

ふたりは、パッと明るい表情で僕の返事を待った。

ユウキ「うん。 着いたらすぐにだすから、それまで待ってて。」

僕は彼女達のボールを取りだす。

シルク〈ええ、たのんだわ。〉
リーフ〈うん。フライ、後は宜しくね。〉
フライ〈うん!任せて!〉

シルクとリーフは赤い光に包まれてボールに収まり、フライはそれにガッツポーズで応えた。

シルク、リーフ、暫く待ってて……。

ユウキ「……じゃあフライ、外で頼んだよ。」

うん、とフライは大きく頷き、僕達は曇天の空の下にでた。

そして、彼の背中に乗り……、

フライ〈ユウキ、いくよ!〉

僕を乗せて彼は羽ばたいた。


………

10分後 デパート前 sideスーナ

スーナ〈ライト、買い物は終わったね♪?〉
コルド〈良いものが買えました?〉

ユウキ達と分かれてから、ウチらはすぐにデパートに行った。

……やっぱりこの地方にも大きな専門店があったんだね?

イッシュのよりも大きくて品揃えが良さそうだよ!

………あいにくウチとコルドは外で留守番だったけど……。

コルドは大型、ウチも翼を広げると大きい部類になるからね。

ライト「うん! それに、オルトに選んでもらって良さそうな鞄も買えたんだよ! ……あっ、ユウキ君には内緒ね?」

ライトは上機嫌で言った。

……後で聞いたんだけど、ライトは買い物するの、初めてだったみたいだよ。

コルド〈当初の予定にはないですからね。〉
スーナ〈うん♪ ライト、似合ってるよ♪〉
ライト「本当に?」

うん!お世辞抜きで、本当に似合ってるよ!

オルト、意外とセンスあるね!

もしオルトが人間だったら結構モテるかもしれないね。

面倒見がいいし、頼もしいからね!

オルト〈そうだな。俺のも買えたし、そろそろ行くか?〉
スーナ〈そうだね♪〉
ライト「じゃあ、行こっか。」
コルド〈はい!〉

うん!

ウチらは頷き、先にある熱帯雨林を目指してそこに向かった。

………

数分後 121番道路(確か) sideスーナ

ライト「………着くまでには何とか保ちそうだね?」
スーナ〈うん♪湿度は下がってきたし、今日中は大丈夫そうだよ♪〉
オルト〈なら、安心だな。〉

直感だけど……、湿度は60%ぐらいかな?

夜には降るかもしれないけど……。

コルド〈そうですね。 せっかくなので、バトルしながら行きます?〉
スーナ〈うん♪賛成!〉

コルド、いいね!

オルト〈そうだな。 ただ進むだけでは勿体無いからな。〉
ライト「うん! なら、わたしが指示を出してもいい?」

スーナ〈うん♪〉
オルト〈俺は構わない。 コルドはどうだ?〉
コルド〈はい! 楽しみましょう!〉

ライト、ウチらはみんな賛成だよ!

ライト「ありがと! じゃあ、行こっか!」

オルト・スーナ・コルド〈ああ。〉〈うん♪〉〈はい!〉

ウチらは声を揃え、先に進んだ。


数分後 sideスーナ

ライト「スーナ、最後に[冷凍ビーム]!」
スーナ〈うん♪[冷凍ビームに!〉

ウチはライトの指示通り、嘴に冷気を溜め、一気に放出した。

A〈!?………。〉
B「やられた……。」

相手のトレーナーは、うなだれて自分のパートナーを戻した。

ちなみに、ウチは3番手、前に闘ったオルトにコルドも勝利を納めているよ。

コルド〈スープナさん、お疲れ様です。〉
スーナ〈ありがと♪ コルドに、オルトもね!〉
オルト〈ああ。 ライト、指示する側でも上達したな。〉

ウチは翼についた土を払い落としながら言った。

スーナ〈そうだね♪ 戦略はウチらポケモンにも関係あるから、ライト自身の実力も自然と上がっている事になるね♪〉
コルド〈咄嗟の判断力が問われますからね。〉

例え実力があっても、判断を誤ったら致命傷を負いかねないもんね。

……ウチは嘗て身をもって実感したから、よくわかるよ。

ライト「……よし。 みんな、お待た……」
ユウカ「あっ、ライトちゃん!こんな所で会うなんて奇遇だね!」
ツバキ〈オルトさんにスーナさん、コルドさん、私の事、わかりますか?〉

ライトの言葉を遮って、1人の少女……、ユウカが話しかけてきた。

……隣にいるポケモンの種族は分からないけど、この声は……

スーナ〈もしかして、ツバキ♪?〉

ライト・ツバキ「!? ユウカちゃん!?」〈はい!私、最終進化の[ジュカイン]になれたんです!!〉

ユウカ・コルド「うん! 近くにユウキ君達がいないけど、どうしたの?〈最終進化ですか。 逞しくなりましたね!〉

やっぱり、ツバキだね?

凛々しくなったね!

ライト「今日から二班に別れて調査する事になったんだよ。」
コルド《ユウキさん、シルクさん、リーフさん、フライさんは海、僕達はここを調査する事になったんです。》
オルト〈恐らく今頃は船の上だろうな。〉

ウチらの代わりに、ライトとコルドが事の成り行きを説明した。

ツバキ〈という事は、トクサネシティーに向かってるんですね?〉
スーナ〈そういうこと♪ ツバキ達がここにいるって事は、トウカとヒマワキのジムを制覇したんだね♪?〉

ここにいるなら、そうなるよね?

ユウカ「二班で?」

ライト・ツバキ「うん。」〈はい!それに、新しい仲間が加わったんです!〉

ツバキがハイテンションで言った。

進化して性格、変わったね。

オルト〈仲間? クロムとニトルの他にか?〉
ツバキ〈はい!ユウカはまだ名前は知らないけど、[フィルト]って言うんです!〉

フィルトっていう名前なんだね?

ライト「へぇー。 ユウカちゃん、久しぶりに皆にもせよ会いたいんだけど、出せる?」

ウチらの言葉を聞き取ったライトが、代わりに彼女に聞いた。

ユウカ「うん。 たぶん皆もそう思ってるはずだよ!」

そう言いながら、彼女はベルトにセットしている3つのボールに手を伸ばした。

クロム〈久しぶり!〉
ニトル〈カイナシティーで別れて以来だね!〉
フィルト〈こいつらが言ってた友達なんだな?〉

[シャワーズ]のニトルと、確か[ボスゴドラ]のクロム、フィルトと思われるポケモンが飛びだした。

スーナ〈久しぶりだね♪クロム、君も進化したんだね♪〉
クロム〈うん。 お陰でバトルの幅が広がったよ。〉
ニトル〈僕も、完全にこの身体に慣れたよ。 フィルト、そうだよ。全員じゃないけどね。〉

ウチらは再会で心を躍らせた。

ライト「ユウカちゃん、[コモルー]が仲間になったんだね?」
ユウカ「うん。 出逢った時は[タツベイ]だったけど、途中で進化したんだよ!」
スーナ〈へぇー♪ フィルトって[コモル]って言う種族なんだね♪ あと、ウチは[スワンナ]のスーナ。ツバキ達から聞いてるよね?〉

[コモルー]かー。

雰囲気的にドラゴンタイプかな?

この感じだと、もう一回進化するね。

フィルト〈おう。確かに聞いてるよ。彼女はライト、こっちがオルト、あっちがコルドだよな?〉
オルト〈ああ、そうだ。〉
コルド〈知ってるなら、自己紹介の必要は無さそうですね。〉
ライト「そうみたいだね。 ユウカちゃん、彼の名前は[フィルト]って言うんだって!」

ライトが、彼の名前を呟いた。

ユウカ・フィルト「そっか。 [フィルト]って言うんだね。」〈ん!? 今、俺の言葉に答えたよな!?〉

オルト〈ああ。今は人間の姿だが、ライトも俺達と同じ、ポケモンだ。〉
コルド〈ライトさんは準伝説の[ラティアス]という種族です。〉
スーナ〈だから、ウチらの言葉が分かるんだよ♪〉

フィルト、あまりのことに呆然としているね。

驚きからだね、きっと。

ウチらは初対面のフィルトにライトについて説明した。

@ ( 2013/11/05(火) 00:14 )