とある青年の物語 〜kizuna〜


























小説トップ
§14 In the rain
eighty-third
AM 8:55 ヒマワキシティー sideシルク

シルク〈ジムの前ね? 分かったわ。〉

私達は待ち合わせ場所の相談を終えて、マイクの電源を切った。

そこなら、いいかもしれないわね。

シルク〈スカイさん、私達はこの後ジムに行くつもりだけど、あなたはどうするの?〉
スカイ「えっ? 自分は、ですか?」

スカイさんは自分自身を指差し、キョトンとした表情で答えた。

オルト〈俺はセンターに戻らないほうがいいと思うが………。〉
スカイ「そうですね。また襲われる可能性がありますしね……。なら、自分は[天気研究所]のほうに向かってみます。 一応、仕事中なので。」

彼は当然のように言い放った。

そうね。スカイさんは教師、生徒達の監督をしないとね!

職務を全うする姿、輝いているわよ!

シルク〈分かったわ。 なら、ここからは別々ね。〉
スカイ「そうですね。  もし、この町を出発するなら、ライトとユウキさんに宜しく言っておいてください。」
オルト〈ああ、わかった。 じゃあな。〉

私は前脚、オルトは右手(?)、スカイさんも右手で握手を交わした。

スカイさん、しっかり伝えておくわ!

私とオルトは、スカイさんの元を後にして集合場所(ヒマワキジム)に向けて歩きはじめた。

………

AM9:00 ジム前 一部合流 sideフライ 

コルド〈……どうやら僕達以外誰も着いてないみたいですね。〉
スーナ〈ウチらが一番近いから当然といえば当然だけどね♪〉
フライ〈それに、ユウキ君達は後始末?、シルク達は逆方向だからね。〉

待ち合わせ場所に来てみたけど、生徒達とここに住んでいる人以外誰もいないね。

ここ、湿気が多いからボクはできれば住みたくないね……。

雨も多いみたいだし……。

スーナ・オルト〈みんなが来ないと始まらないし、待たないと………〉〈すまん、待たせたな。〉

スーナ〈いけない…………あっ!シルクにオルト、早かったね♪〉
フライ〈ボク達も今着いたところだよ!〉

スーナの言葉を遮って、ボク達のチームの古株にしてエースのふたりが姿を現した。

………でも、あれ?

シルク〈そうだったのね?〉
コルド〈でもシルクさん?スカイさんの姿が見えませんが……。〉

ボクが聞く前に、コルドがスカイさんの行方を尋ねた。

いないのはどうしてだろう……。

オルト〈安全が確保出来たから、一度別れた。〉
シルク〈スカイは教師だし、仕事があるからね。〉

ふたりは心配ないと言わんばかりに、笑顔で答えた。

スーナ〈なるほどね♪〉
フライ〈仕事なら、身を隠す訳にはいかないからね。〉

だって、ライトちゃんのお兄さんは先生だもんね。

コルド〈そうですよね。職務……〉
少年A「おっ!珍しいポケモンじゃん!」
少年B「しかも5匹も!」
少女「ねえ?近くに誰もいないから野生じゃないかな?わたし達で捕まえない?」

ボク達の背後から、少年達が和気藹々と話しながらボク達を発見した。

スーナ〈……もしかして、バトルになるかもね♪?〉

フライ・少年B〈うん。なら、戦う?調整を兼ねて。〉「うん!賛成だよ!」

オルト〈そうだな。だが、俺はもう闘っているからよにんに任せる。〉

コルド・少年A〈僕も皆さんに譲ります。〉「俺もだ!」

シルク〈なら、必然的に私達になるわね。 スーナ、久しぶりにトリプルバトルにしましょ!丁度3人いるし!〉

スーナ・フライ〈うん♪いいよ!〉〈トリプルバトルって?〉

シルク?トリプルバトルって何なの?

ダブルバトルなら知ってるけど……。

コルド〈3対3で闘うバトルです。〉
フライ・シルク〈3対3?〉《せっかくだから、3人同時に相手になるわよ!》

オルト・少年達〈イッシュ発祥のバトルスタイルだ。 フライ、やってみたらどうだ?〉「「「ポケモンが喋った!?」」もしかして、これが[テレパシー]!?」

三人が驚きで声を荒げた。

シルク、[テレパシー]を使ったんだね?

フライ・シルク・スーナ〈うん、やってみるよ!〉《そうよ。じゃあ始めましょ!》〈トリプルバトルっていつ以来だろう♪〉

ボク達は口々に言いながら一歩前にでた。

初めてだから緊張するよ。

少年A「あっ、なら、[ラルトス]、いくよ!」
少年B「俺は[ヨマワル]!」
少女「わたしは[エネコ]、いくよ!」

ラルトス〈うん……。〉
ヨマワル〈任せな〜。〉
エネコ〈任せて!!〉

ボク達に相対するようにさんにんが勢いよく飛び出した。

……いよいよ、始まるね!

シルク〈じゃあ私達もいくわよ![瞑想]!〉

フライ・スーナ〈〈うん!!〉〉

少年A「ラルトス、[念力]!」
少年B「[怪しい光]!」
少女「[体当たり]!」

ラルトス・スーナ〈うん……[念力]!〉〈[アクアリング]!〉

ヨマワル・シルク〈[怪しい光]〜!〉〈混乱ならボクも、[超音波]!〉

エネコ〈最初から全力でいくよ!![体当たり]!〉〈[怪しい光]は私がうけるわ!〉

三人の指示と共に、三つ巴のバトルが幕を開けた。

ラルトスは超能力を発動して、スーナは水のベールを纏う。

ヨマワルはボクに向けて怪しく輝く灯火を発生させ、ボクは翼を振動させて不快な音波をラルトスに向けて発生させた。

エネコは一直線に走り出し、シルクは目を閉じながらボクの前に立ちはだかった。

少年B・シルク「狙いは外れたけど命中した!そのまま[ナイトヘッド]!」〈……作戦通りね。フライ、ヨマワルは頼んだわ!〉

ラルトス・フライ・スーナ〈……拘束……出来た! !?〉〈うん!任せて!![目覚めるパワー]!〉〈っ。 なるほどね♪〉

ヨマワル・エネコ〈よし………? どうして僕が混乱!?〉〈見えないなら、いくよ!〉

スーナは霊的な力で拘束され、シルクとヨマワル、ラルトスは混乱状態になった。

そしてボクは手元に紺色のエネルギーを蓄積し始めた。

シルク・スーナ〈狙いはいいけど、まだまだね。[サイコキネンシス]!〉〈彼女の特性だよ♪[冷凍ビーム]!〉

エネコ・ヨマワル〈っ!?見えてないのに!?〉〈特性〜?〉

ラルトス・フライ〈という事は、わたしが[トレース]したのは[シンクロ]?〉〈ボク達も攻撃させてもらうよ!〉

シルクも超能力をエネコに発動させ、スーナは普段より細い冷気を放出した。

ボクは手元の弾に意識を集中させながら滑空する。

少年達「「「えっ!?効いてない!?」」」

ラルトス・ヨマワル・エネコ〈〈〈!!?〉〉〉

相手はパニック寸前になった。

シルクは拘束していたエネコを空中に飛ばし、スーナの冷気はエネコに飛んでいった。

ボクは接近しながらラルトスにそれを放って命中させた。

ちなみに、シルクはまだ目を閉じてるよ。

シルク・エネコ〈[シャドーボール]!〉〈くっ!!!〉

ラルトス・スーナ〈えっ!?〉〈ウチらは加減しないとね♪〉

フライ・ヨマワル〈そうだね。〉〈エネコ! ラルトス!〉

命中したふたりは崩れ落ち、シルクは残りのひとりに漆黒の弾(小さめ)を放った。

ヨマワル〈グッ…………。エスパー………タイプ……なのに……ゴースト技を………。〉
少年B「!? 一発で!?」
少年A「本当に野生!?」
少女「こうなったら、一か八か、[モンスターボール]!!」

シルクの技が命中し、ヨマワルも崩れ落ちた。

……それにしても、目瞑ってるのに、本当に見えてるみたいだよ……。

対して、躍起になって少女は空の[モンスターボール]を取りだして、シルクに向けて投げた。

シルク《…………無駄だと思うわ。》

コツッ

音と共に、そのボールは機能せずに弾かれた。

少年達「「「えっ!?捕まらない!?」」何で!?」
???「なぜなら、野生じゃないからだよ。…」

突然、ボク達の背後で一つの声がした。

ユウキ「彼らは僕のメンバーだからね。」

いつからいたのかわからないけど、ユウキ君がこの場を制した。

シルク《そうよ。 私達はトレーナーのポケモンなのよ。》

ユウキ達の登場によって、ボクにとって初めてのトリプルバトルは幕を閉じた。



@ ( 2013/10/20(日) 01:58 )