seventy-seventh
PM4:30 ヒマワキシティー ポケモンセンター
「………102号室になります。」
ユウキ達はジム戦を終えて、メンバーの回復を頼むついでに部屋の予約をしにきていた。
「ユウキくん、まだ早い時間なのに部屋がほぼ満室って珍しいね。」
「そうだね。今までにこういうことはあったけど、こういう町では初めてだよ。 団体客が来ているんだろうね。」
ユウキはそばにあったベンチに座って言った。
「たぶんそうだね。 見たところ、そんなに人がいる気配はないから、まだ着いてないと思うよ。」
密林のセンターは嵐の前の夜のように静まりかえっていた。
「うん。 とりあえず、荷物を置きに行こうか。」
「部屋も気になるもんね。」
ユウキ達は、足音を響かせて自分達の部屋へと歩いていった。
30分後
ユウキは受付に回復させていたメンバーの入ったボールを受け取りにきていた。
今ユウキ1人だけである。
「お預かりしましたポケモンはみんな元気になりました。またのご利用をお待ちしております。」
「はい。ありがとうございます。」
恒例の決まり文句を聞き、ユウキは6つのボールを受けとった。
「みんなの回復も済んだから………」
「はい、では一度点呼をとります。」
「ん?」
センターの入り口から、大勢の少年、少女、その監督者らしき人物が入ってきた。
「先生、1組は全員揃いました。」
「2組も全員います。」
「…………あの一団が団体客かな?」
ユウキは一行の様子を見て、独りで呟いた。
「………では、各班に部屋の鍵を渡します。7時まで自由時間にするので、それまでにここに集合してください。」
「この様子からすると、スクールの研修かな?」
監督の教師から鍵が配られ、生徒達は宿泊棟にかけていって。
「……ふぅー。 毎年こんな感じなんですか?」
教師の1人がもう1人にきいた。
位置関係はユウキから見て前者、後者の順となっている。
「そうですよ。スカイ先生、二日目を終えた感想はどうかな?」
「疲れましたけど、子供達の楽しそうな笑顔を見ると疲れも吹き飛びますよ。」「スカイさん………ということは、カナズミシティーのスクールの研修だろうな。」
ユウキは遠くから2人の会話を眺めていた。
「先生、自分達もこの間に休んでおきましょうか。」
「そうですね。打ち合わせがあるので、6時半頃にお願いします。」
「はい!」
スカイと話していた教師はセンターのロビーから立ち去った。
「よし。 自分も部屋に………」
「スカイさん、お久しぶりです。」
「!!?ユウキさん!?どうしてここに!?」
スカイは思わぬ人物との再会に、手に持っていた書類を落としそうなった。
「例の伝説の件でを調査しているんです。 あっ、そうだ。ライトは部屋にいますよ。」
「調査ですか。 それより、元気そうで何よりです。」
2人は握手を交わした。
「それにしてもこんな所で会うなんて思いもしませんでしたよ。 スカイさん達はスクールの研修ですか?」
「はい。年中行事らしいです。」
「やっぱりどこのスクールにもあるんですね。 立ち話もあれなので、僕達の部屋で続きを話しましょうか。」
「あまり時間がありませんが、そうさせてもらいます。」
ユウキは自分達の部屋の番号を伝えた。
スカイは自分の荷物を置きに行くために、ユウキと別れた。
………
PM5:15 102号室
「あれ、ユウキくん、遅かったね?」
待ちぼうけを食らったライトが、少し疲れた様子でユウキに聞いた。
「知り合いとばったりあってね。 ここで続きを話すことになったから。 みんな、お待たせ。」
ユウキは謝りながらメンバー全員をだした。
「知り合い?」〈ユウキ、遅かったわね?〉
「うん。ライトに凄く関係する人物だよ。」
〈立ち話をしてたんだな?〉
「私に?」〈誰なの?〉
「そうだよ。あまりゆっくり出来ないらしいけど。 来てからのお楽しみだよ。」
〈一体誰だろうね♪?〉
「もうすぐくるはずだから……」
コンコン
話していると、ドアの外からノックする音がした。
「きたね。 どうぞ。」
ユウキは部屋の外まで聞こえるように声を張り上げた。
「あっ、はい。失礼します。」
扉が開き、スカイが入室した。
「えっ!?お兄ちゃん!?」〈スカイさんだったんですか!?〉
「ライト、特訓はどうだ?」
〈スカイさん、ライトは見違えるほど強くなったわ。〉
一同も懐かしい人物の登場に驚いた。
〈ライトは集中力が高まって、特殊技の威力が上がったからな。〉
〈それに、素早さも上がったよ♪〉
「それに、[竜の波動]を使えるようになったんだよ!」
ライトは久しぶりの兄との再会に声のトーンが上がった。
「[竜の波動]をねー……。これでますます離されたな。」
スカイは自分の事のように喜んだ。