とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§13 A thick forest
seventy-seventh
PM4:30 ヒマワキシティー ポケモンセンター

「………102号室になります。」

ユウキ達はジム戦を終えて、メンバーの回復を頼むついでに部屋の予約をしにきていた。

「ユウキくん、まだ早い時間なのに部屋がほぼ満室って珍しいね。」
「そうだね。今までにこういうことはあったけど、こういう町では初めてだよ。 団体客が来ているんだろうね。」

ユウキはそばにあったベンチに座って言った。

「たぶんそうだね。 見たところ、そんなに人がいる気配はないから、まだ着いてないと思うよ。」

密林のセンターは嵐の前の夜のように静まりかえっていた。

「うん。 とりあえず、荷物を置きに行こうか。」
「部屋も気になるもんね。」

ユウキ達は、足音を響かせて自分達の部屋へと歩いていった。

30分後 

ユウキは受付に回復させていたメンバーの入ったボールを受け取りにきていた。 
今ユウキ1人だけである。

「お預かりしましたポケモンはみんな元気になりました。またのご利用をお待ちしております。」
「はい。ありがとうございます。」

恒例の決まり文句を聞き、ユウキは6つのボールを受けとった。

「みんなの回復も済んだから………」
「はい、では一度点呼をとります。」
「ん?」

センターの入り口から、大勢の少年、少女、その監督者らしき人物が入ってきた。

「先生、1組は全員揃いました。」
「2組も全員います。」
「…………あの一団が団体客かな?」

ユウキは一行の様子を見て、独りで呟いた。

「………では、各班に部屋の鍵を渡します。7時まで自由時間にするので、それまでにここに集合してください。」
「この様子からすると、スクールの研修かな?」

監督の教師から鍵が配られ、生徒達は宿泊棟にかけていって。

「……ふぅー。 毎年こんな感じなんですか?」

教師の1人がもう1人にきいた。
位置関係はユウキから見て前者、後者の順となっている。

「そうですよ。スカイ先生、二日目を終えた感想はどうかな?」

「疲れましたけど、子供達の楽しそうな笑顔を見ると疲れも吹き飛びますよ。」「スカイさん………ということは、カナズミシティーのスクールの研修だろうな。」

ユウキは遠くから2人の会話を眺めていた。

「先生、自分達もこの間に休んでおきましょうか。」
「そうですね。打ち合わせがあるので、6時半頃にお願いします。」
「はい!」

スカイと話していた教師はセンターのロビーから立ち去った。

「よし。 自分も部屋に………」
「スカイさん、お久しぶりです。」
「!!?ユウキさん!?どうしてここに!?」

スカイは思わぬ人物との再会に、手に持っていた書類を落としそうなった。

「例の伝説の件でを調査しているんです。 あっ、そうだ。ライトは部屋にいますよ。」
「調査ですか。 それより、元気そうで何よりです。」

2人は握手を交わした。

「それにしてもこんな所で会うなんて思いもしませんでしたよ。 スカイさん達はスクールの研修ですか?」
「はい。年中行事らしいです。」
「やっぱりどこのスクールにもあるんですね。 立ち話もあれなので、僕達の部屋で続きを話しましょうか。」
「あまり時間がありませんが、そうさせてもらいます。」

ユウキは自分達の部屋の番号を伝えた。
スカイは自分の荷物を置きに行くために、ユウキと別れた。

………

PM5:15 102号室

「あれ、ユウキくん、遅かったね?」

待ちぼうけを食らったライトが、少し疲れた様子でユウキに聞いた。

「知り合いとばったりあってね。 ここで続きを話すことになったから。 みんな、お待たせ。」

ユウキは謝りながらメンバー全員をだした。

「知り合い?」〈ユウキ、遅かったわね?〉

「うん。ライトに凄く関係する人物だよ。」
〈立ち話をしてたんだな?〉

「私に?」〈誰なの?〉

「そうだよ。あまりゆっくり出来ないらしいけど。 来てからのお楽しみだよ。」
〈一体誰だろうね♪?〉
「もうすぐくるはずだから……」

コンコン

話していると、ドアの外からノックする音がした。

「きたね。 どうぞ。」

ユウキは部屋の外まで聞こえるように声を張り上げた。

「あっ、はい。失礼します。」

扉が開き、スカイが入室した。

「えっ!?お兄ちゃん!?」〈スカイさんだったんですか!?〉

「ライト、特訓はどうだ?」
〈スカイさん、ライトは見違えるほど強くなったわ。〉

一同も懐かしい人物の登場に驚いた。

〈ライトは集中力が高まって、特殊技の威力が上がったからな。〉
〈それに、素早さも上がったよ♪〉
「それに、[竜の波動]を使えるようになったんだよ!」

ライトは久しぶりの兄との再会に声のトーンが上がった。

「[竜の波動]をねー……。これでますます離されたな。」

スカイは自分の事のように喜んだ。



■筆者メッセージ
この章でも1つの局面を迎えます。

ーーーお知らせーーー

今現在、当作品の登場人物出演のサイドストーリーを検討中です。
2、3話完成したら連載を開始する予定です。

7月9日 追記

サイドストーリーの舞台はポケダンです。
@ ( 2013/07/08(月) 22:47 )