とある青年の物語 〜kizuna〜


























小説トップ
§13 A thick forest
seventy-fifth
PM1:30 118番道路 東岸

「………どう?大体わかった?」
〈うんっ!マイクに付いてるスイッチを押せば話せるんだよねっ?〉

ユウキ達は、先ほど装備した通信機のデモンストレーションを行っていた。

「そうだよ。」〈私は届かないから、[サイコキネンシスで押せばいいわね。〉

〈シルクはそうなるね♪ でも、コルドはどうするの♪?〉

スーナは振り向きながらコルドに聞いた。

〈僕は一緒に行動している誰かに起動してもらおうと思います。 スーナさんとリーフさんは大丈夫ですね。〉
〈うん。僕は蔓があるからね。〉

リーフもスーナの問いに応えた。

「私がラティアスの姿の時は、シルクと同じだね。私も手が届かないから。」
「みんなはもう大丈夫だね?」

〈ええ。私は完璧よ!〉〈俺は現物を見て理解出来たから、大丈夫だ。〉

〈オルトは器用だからね。羨ましいよ。〉〈ウチは翼でなんとか押せるから問題ないよ♪〉

〈使う時はお願いします。〉〈うんっ!進化してなかったらたぶん使えなかったと思うよっ。〉

それぞれが思い思いに返答した。

………

PM1:40 119番道路

〈熱帯雨林というだけあって、雨が降り始めたな……。〉

ユウキ達が小川の流れる森林に足を踏み入れると、霧のような雨が降り始めた。

〈雨かー……ボクは地面タイプだからちょっとねっ………。〉

フライは空と同じように顔を曇らせた。

〈フライは仕方ないよね♪ ウチは好きだよ♪〉

フライとは対称的に、スーナは心を躍らせていた。

〈スーナさんは水タイプですからね。 僕は普通です。〉
〈僕は晴れの方がいいかな?〉

天気の話になり、会話の芽が出はじめた。

〈俺は天気とか気にしないタイプだ。〉
「私は晴れている時の雨が好きだよ!その時しか虹が見れないでしょ?」
〈確かに、虹も捨て難いわね。……でも、私は五感が冴えるから晴れのほうがいいわ。〉
「シルクは[太陽ポケモン]だからね。」

会話の芽は蕾まで成長した。

「そうなんだー。 天気といえば、一度雪を見てみたいんだよね。私、南国育ちだから。」
〈ライトちゃん、ボクもそうだよ。リーフ達は見たことあるのっ?〉
〈うん。僕達の故郷は時期と場所によって降る事があるんだよ。 僕はちょっと苦手だけどね。〉
「冬にしか降らないからね。」
「へぇー。 今度降る時期にそこに連れてってくれる?」

ライトは目を輝かせながら言った。

「うん。」
〈辺りの景色が真っ白になって、幻想的なんですよ。〉
〈寒さに耐えれたらな。〉
〈寒さなら、たぶん大丈夫だよっ!早く見たいなーっ。〉

遂に蕾は花を咲かせた。

「ホウエンでは降らなそうだからね。」
〈そうね。 確か去年の冬は寒さに耐えかねて、リーフは冬眠寸前だったわね。〉
〈そういえば、そんな事があったな。〉

シルク、オルトは半分笑いながら言った。

〈あの時は本当に限界だったんだからね!〉
〈でも、草タイプだから仕方ないと思うよ♪ウチが[電気石の洞窟]に行きたくないのと同じでね♪〉

いじられたリーフをスーナがフォローした。

「弱点だから、どうしようもないよ。」
〈〈ユウキ、それを言われたら僕/ウチはおしまいだよ!〉〉
〈リーフとスーナ、はもったねっ!〉

フライの一言がトドメとなり、辺りは笑いに包まれた。

………

PM2:15 119番道路 中央部

〈………もうそろそろ半分ぐらい来た頃じゃないか?〉
〈そうね。 でも、今のところいい情報はないわね……。〉

ユウキ達は野生のポケモンへの聞きこみ調査をしていたが、あまり(はかど)っていなかった。

「この辺にはないのかな?」
〈少なくとも、ここまでの地点には無いんだろうね♪〉

先ほどとは違って、曇った空気が流れていた。

「今までか上手くいきすぎていたから、こういう事もあるよ。」
〈………確かに、そうですね。 皆さん、気を取りなおしていきましょう!〉
〈そうだな。〉
〈ここで落ちこんだら、足踏みする事になるよねっ?〉
〈うん♪何事も気持ち次第だね♪楽しくいこ!〉
〈そうね。 ユウキ、コルド、根拠は無いけど希望が見えた気がするわ!〉

ユウキは持ち前のプラス思考でコルドと共に、その場の空気を取り繕った。

「そうだね。ユウキくん達の言う通り、落ちこんだら良いことも起こらないね!」
〈まさにその通りだね。〉

場の空気が快方に向かった。

20分後 天気研究所付近

「相変わらず何の情報も無いけど、なんとかなるよね?」

ライトは沈んだ気分から立ち直っていた。

〈そうだね♪  あれ?あのポケモンはもしかして………。〉
〈ん?スーナ、どうしたのっ?〉

スーナは上空に、白っぽい影を発見した。

〈スーナ、やっぱりそうだね。呼んできた方がいいんじゃないかな?〉

〈リーフ、そうだね♪いってくるよ♪〉「「〈〈〈〈??〉〉〉〉」」

リーフの言葉で予想が確信に変わり、スーナはそのポケモンに向けて飛びたった。
対して、リーフ以外は状況が掴めず、疑問符で満たさせた。

〈ユウキ、もしかしたらいい情報が手に入るかもしれないよ。〉

リーフは期待を込めて言った。

「? どうして?」

ユウキはリーフに疑問をぶつけた。

〈ムロタウンで会ったって言った………〉
{リーフ、やっぱりさっきのポケモンはペリーさんだったよ♪}

「〈〈〈〈!?〉〉〉〉」〈やっぱりね。〉

通信機から希望に満ちたスーナの声が響いた。

〈ペリーってどこかで聞いたような………〉〈ユウキ、[オレンの実]持ってる?〉
「えっ? うん、あるけど?」
〈なら、1つ僕にくれる?〉
「いいけど?」

ユウキはリーフに頼まれ、バッグの中をアサリはじめた。

〈リーフ、[オレンの実]がどうかしたのかしら?〉

〈シルク、いわゆる情報料だよ。あっ、来たきた。〉〈お待たせ♪〉

スーナは一匹のペリッパーを連れて戻ってきた。

〈ペリッパー?〉
「スーナ、このポケモン、誰なの?」

ライトは翼を折りたたんだスーナに聞いた。

〈前に話した情報屋のペリーさんだよ♪〉
「あっ、思い出したよ!ジグザグマが言ってたホウエン1の情報屋だよね!?」
〈リーフ達の話からすると、同一人物だな。〉

〈うん。当たりだよ。〉〈あなた達が旅仲間の皆さんですね?〉

ペリーは状況が収束したのを見計らってユウキ達に聞いた。

〈ええ、そうよ。あなたは情報屋のペリーさんよね?スーナとリーフから話は聞いているわ。〉
〈はい。皆さんからはそう呼ばれてます。〉

ペリーは律義に答えた。

〈じゃあさっそく1つ聞いてもいいかな♪?〉
〈はい。可能な限り答えます。〉
〈なら、この辺に[滅亡した三大都市]にまつわる遺跡とかある?〉
〈遥か昔に栄えた古代都市の事ですね。  関係性はわからないいけど、120番道路か121番道路に昔から祀られている大岩ならあります。〉

ペリーは記憶を辿り、1つの結論を出した。

〈うん、わかったよ。 はい、情報料の[オレンの実]。〉

情報を受け取り、リーフは自身の蔓でペリーにオレンの実を手渡した。

〈はい、確かに頂きました。 また利用して下さい!〉
〈うん♪ペリーさんも、元気でね♪〉
〈はい。また逢う日まで!〉

ペリーはそう言い残して飛びたった。

@ ( 2013/07/07(日) 01:13 )