とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§13 A thick forest
seventy-fourth
PM0:00 キンセツシティー

「とりあえず、キンセツシティーに着いたな。」 
「うん。 案外近かったね。」

ユウキ達は正午のカジノ街に到着した。

〈ユウキ、この後はどうするの?〉

リーフはふとユウキに聞いた。

「このまま東に行きたいところだけど、ちょっと買いたい物があるから少し時間が欲しいな。」
「ユウキはこれからショッピングやな。」
「うん。 だから、カエデ、先に行ってて。」
「おう。じゃあ、先に行かせてもらうで。」
「うん。」

カエデとユウキは握手を交わし、街の十字路で別れた。

〈何か買うって言ってたけど、何を買うのっ?〉

カエデが見えなくなってから、フライが聞いた。

〈確かに、気になるな。〉
〈うん♪ バトル用の道具はカイナで買ってたから十分足りると思うけど……。〉
〈一体何を買うんですか?〉
「……ちょっと、電化製品をね。」
〈電化製品? どんな物か気になるけど、まあいいや。〉
〈買ってからの楽しみだね♪〉
「そうだね。」
「そうなるね。………ちょっと悪いけど、その店は狭いから一度ボールに戻ってくれるかな?」
〈えっ? わかったわ。狭いのなら、仕方がないわね。〉
〈ユウキの頼みなら、聞かない訳にはいかないな。〉

〈そうだね。〉〈そうですね。〉

〈ユウキはいつもウチらの頼みを聞いてくれているから、たまにはウチらも聞いてあげないとね♪〉
〈うんっ!だから、戻してもいいよっ!〉
〈みんないいって言ってるから、戻してもいいわ。〉
「ありがと。買ったらすぐに出すから。」
〈ええ。〉

ユウキは全員に一言謝り、メンバー全員を戻した。

「………で、ユウキくん、何を買うの?」
「通信機器をね。火山の時みたいに人数分あったら便利でしょ?」
「確かにそうだね。」
「でしょ?」
「じゃあユウキくん、さっそく行こ!」

ユウキとライトは、2人は大型電気店に入店した。

………

PM1:00 キンセツシティー

「………ユウキくん、さっき買ったそれ、何なの?」

ライトはユウキの手に抱え込まれた箱を見て、不思議そうにいった。

「これはいわゆる通信機だよ。イヤホンとマイクが付いてるでしょ?」

ユウキは1つの箱から取り出しながら説明した。

「名前忘れたけど、(テレビ局でADの人が頭につけているあれです。)これがあれば離れていても会話ができるんだよ。」
「へぇー。そんなに便利な物があるんだー。」
「ただ、こういう大都会でしか売ってなくて、おまけに高いのがマイナスだよ。おかげで財布が空っぽだよ。」

ユウキは半笑いで財布を逆さまにしながら言った。

「……出費、大丈夫?」
「ちょっと厳しいけど、またバトルで稼げばすぐに貯まるよ。」
「ユウキくん、ポジティブなんだね。」
「シルクによく言われるよ。」
「そうなんだー。」

2人は笑いあった。

………

PM1:15 118番道路 西岸

「みんな、お待たせ!」

ユウキは6つのボールを取り出し、メンバー全員を出した。

〈ユウキ、良い物が買えたかしら?〉
「うん。みんなのもあるから。」

ユウキはそばに置いていた箱を全員の前に出した。

〈ユウキくん、それは何なのっ?〉

フライは不思議そうに聞いた。

〈6つ……人数分だな?〉
「うん。ひとり1つずつあるから使って!きっと役立つと思うから。」
〈ユウキ、どういう物なの♪?〉
「簡単に言うと、無線の通信機だって。」
〈通信機? どうやって使うの?〉
「ライトみたいに頭につけるんだよ。」
〈こうか?〉

オルトは見よう見まねで取りつけた。

「うん、そうだよ。」
〈なんか格好いいねっ!〉
「サイズあうかな? 一応調節出来るけど……。」
〈うんっ!ボクはピッタリだよっ!〉
〈ユウキ、ちょっとつけてくれるかしら?〉
〈僕達は身体の構造上自分でつけれませんからね。〉

「うん。わかったよ。 ヘッドホンタイプじゃなくて正解だったよ。」〈コルド、手伝おうか?〉

〈はい、お願いします。〉〈ユウキ、これでいいんだよね?〉

ユウキはシルクを、オルトはコルドを手伝った。
フライはライトに付けてもらい、リーフ、スーナは自力でつけていた。

「うん、あってるよ。」「みんな耳の形が違うから、これで良かったね。」

〈これは役立ちそうだな。〉
〈うん。 ユウキ、気に入ったよ。 でも、ユウキのは?〉

リーフは、ユウキが使ってないことに気づいた。

「僕のも買ったんだけど、直接聞かないと言葉がわからないみたいなんだよ……。」
「買ってから試したんだけど、私がラティアスの姿で使った時は鳴き声しか聞こえなかったみたいなんだよ。」
〈[絆]の力は現代技術にはついていけてないってことね。〉
〈古の力ですから、仕方がないですよ。〉
〈ということは、ウチらがユウキに伝えたい時はコルドに伝えればいいんだね♪?〉
「うん、そうなるね。」
〈[絆]の力だねっ?〉
「言い忘れたけど、これは防水加工がされてるから。」
「あと、よくわからないけど、ソーラー発電?なんだって。」
〈へぇー。 で、そのソーラー発電って何なのっ?〉
〈僕も知らないので、教えていただけますか?〉

フライ、コルドを含め、シルク以外の全員が聞いた。

〈光を利用した発電方法よ。 [ソーラービーム]のエネルギーを溜めるのと同じ原理よ。〉
〈……なんとなくわかったよ。〉
〈なるほどな。これなら壊れない限り、半永久的に使えるな。〉
〈高性能だね♪高かったんじゃないの♪?〉
「日頃溜めていた所持金でなんとか買えたよ。」
〈いい買い物をしたね。〉
〈そうだねっ!〉

ユウキは全財産を使い、それ以上の価値の物を購入した。

@ ( 2013/07/06(土) 00:21 )