seventy-first
AM8:40 キンセツシティー 上空
〈ちょっと早いけど、着いたねっ。〉
〈うん♪ ここからルビーさん達を捜してみる?〉
「そうだね。下で捜すより、速く見つかるかもしれないね。」
街の上空20m、三匹の声が響いた。
〈ええっと、……あっ、いたいた。〉
〈あの人は、ルビーさんだね♪〉
〈あの人がそうなのっ?〉
「うん。ユウキくん、見つかったから、行こっか。」
ユウキ達のいるちょうど真下に見覚えのある人物が歩いていた。
〈うん。スーナ、フライ、お願いね。〉
〈うん♪会うの久しぶりだなー♪〉
〈あの人のところだねっ?〉
スーナとフライは、歩いているルビーのところに向けて高度を落とした。
2分後 キンセツシティー
「ルビーさん、お久しぶりです!」
ライトは、ルビーを見つけて大声で呼びかけた。
「!? 上? ああ、久しぶりだね。君はユウキ君の秘書のライトさんだね。」
「はい。」
「ええっと、ユウキ君は………あっ、同じバンダナをしてるから、このピカチュウだね?」
〈はい。お久しぶりです。〉
ユウキはスーナから降りながら手で合図した。
「話では聞いていたけど、まさか本当になれるとはね。」
「ユウキくんはちょっと特殊ですから。 ユウキくん、みんなを出しておくね!」
〈うん。頼んだよ。〉
〈人通りが多いから、ここで姿を変える訳にはいかないからね♪〉
ユウキは頷きながら答えた。
ちなみに、今はユウキの荷物はライトが持っている。
〈着いたな。〉
〈朝早くてもここは人が多いんだね。〉
《そうね。 ルビーさん、久しぶりね。》
《ご無沙汰してます。》
「そういえば、君達はテレパシーが使えたんだよね。うん。久しぶりだね。」
互いに再会を喜んだ。
「あっ、そういえば、僕の友達も調査に協力してもらうことになったから。」
〈《えっ?友達?》〉
《どんな方なんですか?》
ルビーは思い出したように言った。
「腕利きのトレーナーだよ。僕のほうがトレーナー歴が長いけど、いつの間にか抜かれちゃって……、とにかく僕より強いんだよ。」
〈ルビーさんより強いってことは、最低でも一つ星は確定かな?〉
〈そうなるな。シルク、コルド、聞いてくれるか?〉
〈トレーナーとして、僕も気になるよ。〉
《ええ、きいてみるわ。 ルビーさんその人の星の数はいくつなのかしら?》
シルクはユウキ達の代わりに聞いた。
「確か……2つ星だったかな。」
〈ユウキより多いね。 なら、心強いね。〉〈《2つ星ですか!?》相当強いんだろうな。〉
《でしょうね。 ルビーさん、その人もこれから来るんですか?》
「うん。 あっ、この光は……。」
「《《〈光?》》〉」
ユウキ達が話しているところに、一筋の光が出現した。
光はほぼ人の大きさぐらいになった。
光が収まると、そこにはルビーぐらいの年の青年と、一匹のポケモンがそこにいた。
「ミンク、ありがとね」
《お安いご用よ。ルビー、久しぶりね。》
「うん。3年ぶりぐらいかな?ミツル君も、久しぶりだね。」
「うん、そのくらいになるね。 ルビーくん、彼女は誰?」
ミツルと呼ばれた青年はライトのほうを見て言った。
「彼女はライトと言って、前に話した考古学者のユウキ君の秘書をしているんだよ。」
「へぇー。でも、肝心の本人の姿が見えないけど……。」「はじめまして、ライトと言います。[サーナイト]の君はテレパシーを使えるんだね?」
「ちょっと訳があって、ここでは姿を見せれないんだよ。」《はい。》
「訳って? 極度の人見知りとか?」
《そんな理由ではないわ。 私達のトレーナーの体質はちょっと特殊なのよ。あっ、私はエーフィーのシルク、よろしくお願いするわ。ミンクさん、あなたのも固有の名前かしら?》
「?テレパシー? シルク、だね? 君は相当の実力を持っているみたいだね。」〈はい。ミツルに使える事を教えてもらったのよ。〉
《一応、私が一番戦闘経験が長いわ。》「ミツルさん、ユウキくんが姿を見せれない訳は後で説明しますね。」
《シルクさんはユウキさんのパートナーですから。なので僕達の中では一番強いんです。 申し遅れましたが、僕はコバルオンのコルドと言います。》「……何か重大な秘密があるみたいだね。」
〈ちなみに、俺はコジョンドのオルトだ。〉《わかってもらえて助かるわ。カエデさんが着いたら説明するわ。》
〈ミンクさん、僕はジャローダのリーフ。よろしく。〉「うん。 それにしても、カエデくん、遅いね……。」
〈ウチはスワンナのスーナ、よろしくね♪〉「ハジツケタウンにいるって言ってたからかな。」
〈ボクは見ての通り、フライゴンのフライ、よろしくっ!ボクでメンバーは全員だよっ。〉「なら、仕方がないね。 7匹だから……全員がユウキくんのメンバーではないね。
ピカチュウだけ腕にバンダナを付けているのが気になるけど……。」
ミツルは青いバンダナをつけたピカチュウを見て言った。
〈よろしくお願いしますね。 で、このピカチュウは?普通のポケモンにしては違和感があるけど……。〉「訳ありだから、後で説明するよ。」
ミンクはピカチュウに何か違うものを感じた。
〈さすがにエスパータイプの君は勘が鋭いね。 確かに、僕はちょっと特殊だから。〉
〈特殊、というと……一体……。〉
ミンクはユウキの意味深な発言に、疑問符で満たされた。
〈初めに言っておくけど、僕がユウキで、このみんなのトレーナーだよ。〉
〈えっ!?何ですって!?〉
ミンクはあまりの衝撃にしりもちをついた。
〈言葉だけだと信じられないよね。 カエデがきたら証明するよ。〉
〈???〉
ミンクの頭上にはいくつもの疑問符が飛び交っている。
《…………とりあえず、カエデさんを待ちましょうか。》
「うん。」
「全員揃ってからでないと、二度手間になるからね……。」
ユウキ達は、まだ到着していないカエデを待ち続けた。