とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§12 The new supporter
sixty-ninth
PM 4:30 カイナシティー 船着き場前

「ユウキさん、今日はありがとうございます。」
「僕達はただ手助けをしただけだから、でも気持ちは受けとっておくよ。」

ベルにモミジを引き渡した後、ユウキ達はビーチから街の船着き場に来ていた。

《ユウカさんはこの後、トウカシティーでジム戦ですよね?》
「はい!ユウキさん、トウカシティーのジムは何タイプを使うんですか?」
「ええっと、確かノーマルタイプだったよ。」

「ノーマルなら、大丈夫ですね。」〈ノーマルだが、特性を入れ換える技を使うから、気をつけた方がいいぞ。〉

「でも、油断は禁物だよ。」〈えっ?そうなんですか?〉

「はい。気をつけます。」〈ああ、そうだ。使う相手の特性は[怠け]だから、一回でも受けると闘えなくなるから、注意しろよ。〉

「あっ、そうだ。相手の変化技を一度でも受けるとこっちが劣勢になるから。」〈あっ、はい。オルトさん、忠告ありがとうございます。〉

「変化技を?はい。分かりました!(変化技が? 一体何のことだろう………。)」「ユウカちゃん、頑張ってね!」

ライトはこの時までに姿を変えていた。

「じゃあ、もうすぐ船が出航するから、そろそろ行きますね。」
「うん。」
《ユウカ、あなたなら、絶対に勝てるわ!》
「頑張るよ!」

シルクが励まし、ユウカはターミナルに手を振りながら入っていった。

〈ユウカも、もう5回目のジム戦だね。〉
〈初めて出逢った時は先が心配だったけど、今では立派なトレーナーになったよね♪?〉
〈戦略のレベルも上がっているし、何よりもツバキ達との[絆]が深まっているからな。〉
「そうだね。言葉が通じなくても、心が1つになってたから、そうかもしれないね。」
「うん。  とりあえず、今日はもうする事がないから、宿をとっておく?」
〈そうね。もう4時台だから、調査するには短すぎるし、まだ行ってない博物館は5時で閉館、だからそれが一番いいわね。〉
〈うんっ。技の練習をするにはちょっと短いもんねっ!〉
「フライ、私もそう思ってたよ。ユウキくん、この後の予定はもう決まったね!」
「うん。 部屋の予約、しに行こうか。」
〈決まったから、さっそく行こ!〉

ユウキ達はユウカと別れ、ポケモンセンターへと向かった。

………

PM4:50 カイナシティー ポケモンセンター

〈ここを使うのも二回目ですね。〉
〈そうね。確か前に来た時は学会だっわね。〉
〈そんなに前だったっけ♪?〉
〈計算が正しければ、フライと出逢う2日前だな。〉
〈いろんな事が有りすぎて、随分昔のように感じるよ。〉
「確かにそうだね。 学会と言えば、ルビーさんとカエデは調査、はかどっているかな?」
「ユウキくん、連絡してみたら?」
「そうだね。部屋をとってからしてみるよ。 みんなは回復しなくても大丈夫?」

ユウキは話題を変えた。

〈今日は闘ってないから、私は大丈夫よ。〉
〈俺も平気だ。〉
〈僕も必要ないよ。〉
〈体力減ってないから、ウチもいいよ。〉
〈僕も大丈夫です。〉
〈1日中飛びまわっていたけど、ボクもしてもらわなくていいよっ。〉
「みんなはしなくていいんだね?うん、わかったよ。すみません、部屋、空いてますか?」

ユウキは受付の人に話しかけた。

「トレーナーカードを拝見します。」
「あっ、はい。」

ユウキはカードケースから自分の身分証明書(トレーナーカード)を取り出した。

「1つ星ですね。 同伴のかたの宿泊料も無料とさせていただきます。」
「ありがとうございます。」
「105号室をお使いください。」
「はい。」

ユウキは部屋の鍵を受けとった。

………

PM5:15 105号室

〈ユウキくん、お願いがあるんだけど、いいっ?〉
「ん?フライ、どうしたの?」

ユウキ達が洋室でくつろいでいると、フライがユウキに聞いた。

〈そろそろ新しい技を使いたいんだけど、何かいい技あるっ?〉
「新しい技ね……。フライが使えそうな技なら………[地震]はどう?」
〈相手の意表をつくなら、私とユウキが使っている[目覚めるパワー]もいいわね。〉
〈[地震]は威力が高いから、良いかもしれないね。〉
「[目覚めるパワー]は誰でも使えてタイプもかわるから、驚かすならちょうどいいね!」
〈あと、タイプが被ってなかったら、シルクとか、みんなとの連携の幅が広がるね♪〉
〈どちらも捨てがたい技ですね。 フライさん、どうしますか?〉
〈うーん……、どっちも使いたいんだけど……ダメかなっ?〉

フライは迷って、とりあえず結論を出した。

「同時に2つの技を覚えようとすると、失敗する可能性が高いから、あまりオススメできないよ。 技マシンは、技のイメージを覚えるものだから………。」
〈同時に使うと、技のイメージが混ざるらしいので、逆に効率が悪くなるみたいです。〉
〈技マシンを使ったら、すぐに出来るようになるんじゃないんだねっ?〉
〈そうだよ。 技の難易度で比べると、[目覚めるパワー]のほうが修得しやすいと思うよ。〉
〈なら、リーフの言う通り、[目覚めるパワー]を先にしようかなっ?〉

フライは全員の意見を聞き、遂に決断した。

「[目覚めるパワー]だね?わかったよ。ちょっと待ってて。」

ユウキは荷物の中からCDケースを取り出し、目当ての物を探し始めた。

〈[目覚めるパワー]は使いやすい技だからね♪〉
「フライは何タイプだろうね。」
〈みんなが使えるタイプと被ってないといいなっ! そういえば、誰も使ってないタイプって、何があったっけ?〉
〈ええっと、僕は草とドラゴン……〉
〈ウチは水と氷と飛行だから……♪〉
〈俺は格闘と飛行だ。〉
〈僕は鋼と格闘です。〉
「私はエスパーとドラゴンだよ。」
〈ボクは今のところ岩とドラゴンと悪かなっ?〉
〈ユウキは電気と炎と格闘で、私がエスパーとゴーストとドラゴンだから……無いのはノーマルと毒、地面、虫の4つね。使える技のうち、配合できないのは、飛行、悪の2つで、計6つよ。〉

「思った以上にいろんな種類のタイプを使えるんだね。」「あった、やっと見つかった……。」

ユウキは探すのにてこずっていたのか、ようやく見つけ出した。

「おまたせ。 何タイプになるかわからないから。」
〈うんっ。じゃあユウキくん、お願いっ!〉

ユウキは一度頷き、フライに技マシンを使った。

「……よし。終わったよ。」
〈これで使えるのかなっ? さっそく試してもいいっ?〉
〈[目覚めるパワー]は単発では激しい技でないからな。〉
〈うんっ。じゃあ、やってみるね!〉

フライはそう言い、意識を集中し始めた。

「手元に意識を集中させると溜まりやすいよ。」
〈手元だねっ?うんっ。やってみるよ。〉
(手元、ユウキくんがしているようにしたほうがいいかな……。)

フライは両手でエネルギーを溜め始めた。

少しすると、手元に群青色のエネルギー弾が形成され始めた。

〈上手くいったわね。〉
〈そうですね。 皆さんの中では僕が一番守りが堅いので、僕が受けましょうか?〉
〈コルドが受けてくれるんだねっ? じゃあ、いくよっ![目覚めるパワー]!〉

フライはコルドに向けて群青色の弾を放った。

〈っ! ……力が漲(みなぎ)る……。フライさんの[目覚めるパワー]は悪タイプです。〉
〈悪タイプかーっ。なら、もう素早く動けるから、[騙し討ち]と替えようかなっ?〉
〈タイプが重なるから、それが一番いいね♪〉
〈そうね。悪タイプはまだ試したことがないから、明日合わせみましょ!〉
「そうだね。」

フライの[目覚めるパワー]は悪タイプであることが判明した。

@ ( 2013/07/03(水) 01:14 )