とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§11 after the battle
sixty-seventh
AM11:30 カイナシティー ビーチ

「ユウカちゃん、いよいよだね。」
「うん!みんな、出てきて!」

晴れ渡る空の下、ユウカは3つのボールを取りだした。

〈ユウカ、とうとう買えたのね?〉
〈ニトルも遂に進化出来るね。〉
〈うん!ぼくはこの日を待ちわびていたよ!!〉

ユウカのメンバー全員が元気よく飛び出した。

〈これで全員揃ったねっ。〉
〈そうだな。〉
〈進化の瞬間に立ちあうのはいつ以来かしら?〉
〈姉さん、多分僕が[ジャノビー]に進化した時が最後じゃないかな?〉
〈私達と出逢う前ね。 ニトル、私達は一回しか進化できないから、その瞬間に感じたことをしっかり胸に刻んでおくといいわ。〉
〈うん!〉

ニトルは頷いた。

《ニトルさん、悔いはありませんね?》
〈うん!もう[イーブイ]として思い残すことはないよ!〉
〈もう準備OKだね♪?〉
〈うん!シルクさん、伝えてください!!〉
(このフサフサの毛並みともお別れかー。なんか寂しい気持ちもあるけど、新しい自分への楽しみの方が強いよ。 なんか緊張するなー。)
《ええ、ニトル、わかったわ。ユウカ、[水の石]、頼んだわ!》
「うん! ニトル、いくよ!!」
〈うん!!〉

ユウカは[水の石]を取り出し、宙にふわりと投げた。
ニトルはありったけの跳躍力を使い、狙いを定めて跳びあがった。
茶色い毛を靡かせ、ちょうど同じ高さになった時、自身の右前脚を突き出した。
前脚が青い光沢を放つ石に触れると、ニトルは眩い光に包まれた。
光がニトルを覆い、少しずつ容姿を変えていった。

この瞬間がユウカ達には、何時間にも感じられた。

次第にニトルを包み込んでいた光は弱まっていった。

着地すると、ニトルの姿は、全体的に青くなっていた。

〈これが、これからのぼくの姿、[シャワーズ]の姿……。〉

ニトルは自分に言い聞かせるように言葉を区切った。

「ニトル、おめでとう!」(シャワーズ、思った以上に可愛い!!)
〈ニトル、ウチと同じ水タイプだね♪〉
〈うん!〉
〈ニトル、進化した感想は?〉
〈リーフさん、なんか言葉で言い表せない不思議な……でも、凄く嬉しいよ!〉

ニトルは、念願の進化をする事が出来て、笑顔に満ち溢れたいる。

《ニトル、進化してたくましくなったわね!》
〈うん!みんな、本当にありがとう!!〉
「私達は当然の事をしただけだよ。」
「[絆]を深めた者として、僕達は少し手助けしただけだから。」
〈スーナ、誰かが進化しているのを見ると、自分の時を思い出すな。〉
〈うん♪ニトル、せっかくの海だから、さっそく泳ぎに行かない♪?〉
〈うん!ぜひ!〉

〈私も混ぜてもらおうかな?〉「私も行こっかな?」

〈なら、ボクも行こうかなっ? 水には入れないけどっ。 ユウキくん、ちょっと行ってくるねっ!〉
「みんなはさっそく泳ぎにいくんだね?わかったよ。」
「ニトル、本当に嬉しかったみたいですね。 私まで嬉しくなりますよ。 私も行ってきますね!」
《ええ。》

ニトル達は楽しそうに海に飛び込んだ。(フライを除き、ライトは姿を変えてだか。)
その後に、ユウカが走っていった。

〈ニトルさんが進化出来て本当によかったらですね。〉
〈ええ、そうね。私も進化した時はああやって喜んだものだわ。思い出すわ。〉
〈進化した時の幸福感は格別だから。  早くぼくももう一回進化したいなー。〉
〈クロムはもう一度進化出来るんだね?〉
〈うん。ユウキさんはポケモンに姿に変えれるなら、進化しないの?

クロムはその事が気になり、ユウキに聞いた。

「姿を変えれる事自体が既に特別だから、僕はできないんだよね。僕はポケモンでなくて人間だから。」
〈ユウキは一度自分に[雷の石]を使っていたけど、出来なかったわ。〉
〈きっとこれで固定なんでしょうね。 皆さん、せっかくなので僕達もユウカさんの所に行きませんか?〉
「そうだね。 昨日ベルに予定を聞いたら、今日は海水浴をするらしいよ。」
〈イッシュにはビーチが殆どないから、思いっきり遊んでいくのね。〉
〈おそらく俺達と合流してから来る予定だな。〉
「そうだね。詳しい場所は伝えてなかったから、伝えておくよ。 だからみんなは先に行ってて。」
〈ユウキ、わかったわ。 私達も行きましょ!〉

シルクは一度微笑んでからオルト達と海ではしゃいでいるユウカ達の元に走っていった。

「さあ、僕はベルに連絡をとらないとね。」

ユウキはライブキャスターを手に取り、ベルのアドレスを探した。

(とりあえず、時間より少しはやいから、大丈夫かな。)
《はい。ユウキくん、どうしたの?》
「あっ、ベル、今カイナシティーにいるよね?」

ユウキはベルとの通話を開始した。

《うん。ちょうど今博物館を出たところだよ。で、どうしたの?》
「ベルはこの後、ビーチに来る予定だよね?」         
《うん。》
「僕達も今、ビーチにいるから、そこで合流しよっか。」
《うん。私の親もいるけど、今からいくよ。》
「うん、待ってるよ。  よし。」

ユウキはベルとの通話を終了した。

「それにしても海水浴かー。」

ユウキはひとり呟きながらシルク達のもとにむかった、


@ ( 2013/07/01(月) 00:24 )