とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§10 match in volcano
fifty-eighth
PM5:00 山頂


〈お前だけは……お前だけは!![ソーラービーム]!!〉

とてつもない怒りに染められたリーフは、他の団員、ポケモンには目もくれずアルファに向けて最大出力で自然のエネルギーを放出した。

「!?粗暴なポケモンね………ヒヒダルマ、[冷酷な豪炎]と呼ばれた私達の恐ろしさ、見せてやれ!!」〈ユウキ、あの人、トレーナー失格ね……。自分のポケモンにあんな事をするなんて……、さすがに私も腹が立ったわ。リーフだと相性が悪いから………〉

〈エーフィー、手を出すな!!これは……これは僕の戦いだ!!〉「[火炎放射]!」

「〈〈リーフ!?〉〉でも、もう限界のはずじゃあ………」〈見覚えがある奴だと思ったら、あの時逃げ出した奴か……[火炎放射]!〉

〈そんなの気にしていられるか!!僕にとって、因縁の相手だ! だから……誰にも手出しはさせない!!〉

相手のヒヒダルマは高温の炎を放った。
リーフはそれを体勢を低くしてかわし、相手に接近した。

〈あんなにマジなリーフ、初めて見たよ♪…………。でも、ウチにとっても因縁の相手……。〉「かわされたか。野生にしては手練れのようね………。[フレアドライブ]!」〈リーフ………。〉

「スーナ、それは僕達も同じだよ!!」〈少しはやるようだな。[フレアドライブ]!!〉
〈[リーフストーム]!! っ!〉

深緑の嵐を発生させたリーフに、紅蓮の豪炎が掠めた。
リーフの技は命中したが、相性が悪かったため、それほどダメージを与えられなかった。

〈今のリーフに何を言っても無駄だな………。ユウキ、俺達は俺達が出来ることをしたほうがいいな。〉「[大文字]!!」

〈そうね。私達は何をすればいいかしら!?〉〈うん。やるせないけど………わかったよ♪ウチも参戦したいけど、リーフの方が心の傷が大きいから………。リーフ!!ウチらの分まで戦い抜いてよね!!〉〈俺様の技をかわすとはな。[大文字]!〉

スーナは後半部分に力を込めてリーフに言い放った。
しかし、反応はなく、聞こえているのか、定かではない。
ヒヒダルマは構わず、円形にした炎を放った。

〈なら、ユウキくん、私達は何をすればいいの?………しばらく技は出せないけど……。〉〈お前達から……絶対に………姉さんを………解放するんだ!![リーフブレード]!!っ!〉

「ライト達はその様子だと、もう限界みたいだね………。 ? うん、よし!なら、ライト、スーナ、コルドはあのジャローダの保護、シルク、オルト、フライは残党のを全滅させて!まだ破壊していない檻を運ばれる訳にはいかないから!!」

ユウキはリーフが言い放った言葉を聞き取り、シルク達に指示を出した。
リーフに大の字の炎が直撃したが、構わずに鋭利な刃を振りかざした。

〈動くぐらいなら、出来ます。あの方の救助ですね。〉〈ボク達はライトちゃん達と交代して、戦闘だねっ?〉「ふんっ!さすがに弱点の炎技を受けては立ち上がれないだろう……。何っ!?」〈まだ………だ!![逆鱗]!!〉

既に限界を超えているリーフはなんとか立ち上がり、猛烈な勢いで攻撃を初めた。
「うん![絆]の名に賭けて……いくよ!!!」〈何!?っ!!?〉

ユウキはいつも以上に力を込めて号令をかけた。


 sideライト

〈私達は、リーフのお姉さんの救助だね。〉

ライトは真剣な表情で言った。

〈うん♪!どうやって助ける?〉
〈あの方、トレーナーの後ろで控えて?いるので、ライトさんとスーナさんが空から近づいて、リーフさんとのバトルに気をとられている間に、連れ去るのはどうですか?〉
〈うん。それなら、いけそうだね。〉
〈ウチも賛成だよ♪ あと、リーフの姉さんのボールも奪ったほうがいいかな♪?〉
〈そのほうがいいですね。 僕の記憶が正しければ、左側の背中側にセットしていたはずです。〉
〈左の背中側だね♪? うん♪〉
〈作戦はこんな感じだね? じゃあ、作戦開始だね!〉
〈うん♪!〉〈はい!〉

ライトの号令で、リーフの姉、モミジの救出作戦が始まった。

同刻 sideシルク

〈スーナ達がある程度倒したとはいえ、まだ残ってるな。〉
〈多めに見積もって20ってところかしら。〉
〈そのくらいだねっ。よし、特訓の成果、試さないとねっ。〉
〈ああ。いくぞ!!〉
〈うんっ!〉〈ええ。全く戦ってないから、始めから全力でいきましょ!!〉

オルトが号令をかけ、戦闘を開始した。

〈まずはフライ、フライの[岩雪崩]を貸してくれるかしら?〉
〈えっ?うんっ![岩雪崩]!〉

フライはシルクに言われていくつもの岩を出現させた。

〈数が多いから……[シャドーボール]、[サイコキネンシス]!〉〈俺は先に行かせてもらうぞ![波動弾]!〉

シルクは状況を判断し、漆黒の弾、2、3発を複数の岩石にコーティングした。
オルトは手元に青いエネルギーを溜め、いくつも放ちながら集団との距離を詰めた。

コーティングされた弾は時間差で放たれ、そのうちの2つは衝突した。
刹那、衝突の作用により拡散、すぐに混ぜ合わせた効果により、さらに弾けた。その数、50以上。
当然、相手は避けきれず、ダメージをうけた。(数が多く、きりがないので、相手の発言は省略します。)

〈よし![跳び跳ねる]!〉〈よし!うまくいったわ!  ! フライ、危ない!!〉
〈えっ!? 水!?〉
〈[サイコキネンシス]!〉

相手側から水流がフライに放たれたが、間一髪でシルクが受けとめた。
その間に、オルトは跳躍力を生かして跳びあがった。

〈っ!? シルク、ありがとうっ。〉〈フライ、私達が風を起こすから、接近戦に持ちこんで!!〉〈[波動弾]連射!〉
〈!?うんっ!〉
〈フライ、いくわよ!飛んで!っ!〉

フライは言われた通りに数十cm程飛び上がった。
シルクは受けとめた水を留めながらフライのはいごに回り込み、正面に向けてそれを発散させた。

〈〈!!?っ!〉これなら……[騙し撃ち]!〉

突然強力な風が発生し、フライは前方に飛ばされた。
シルクは作用反作用の法則により、後方に飛ばされた。

〈まずは3体。[跳び膝蹴り]!〉

オルトは自身の勢いに重力加速度を加えた蹴りをくり出した。

〈っ! ダメージはないけど、もう少し改良が必要ね。[目覚めるパワー]!〉

シルクは前方に走りながら暗青色の弾を放った。

〈ボクだって!超音波]!! くっ!〉

フライは周波数の高い音波を放ち、相手を惑わせた。
しかし、運悪く相手のポケモンの[冷凍ビームが直撃した。

〈〈!!?フライ!!〉〉
〈っ! ボクなら………大丈夫だよっ……。特訓したから………まだ……いけるよっ!!〉

フライは大ダメージを受けたが立ち上がった。

〈本当に大丈夫か?あまり無理は…………!!?これは……。〉

立ち上がると、フライは突然強い光に包まれた。

〈この光、もしかして、[進化]、かしら?〉

フライを包み込んだ光は大幅に形を変えた。
光が収まると、[ビブラーバ]の進化系、[フライゴン]が大きな翼を広げ、飛び立とうとしていた。

〈この姿なら……いけるっ!〉〈フライ、進化したのね。〉
〈今日の特訓の成果がさっそく出たな。〉

進化したフライは、翼を羽ばたかせ、低空飛行で相手に接近した。

〈進化したから出来るはずっ。[ドラゴンクロー]!〉

フライは右手に青黒いオーラを纏い、そのまま爪で切り裂いた。

〈やったっ!できた!〉〈あれは、[ドラゴンクロー]か!?〉
〈あの技は、きっとそうね。さあ、私達も引き続き戦いましょ!〉
〈ああ。いくぞ!!〉
〈[波動弾]!〉〈[瞑想]、[シャドーボール]!………。〉

オルト、シルクはフライに遅れをとらないように、戦闘を再開した。



@ ( 2013/06/22(土) 01:35 )