とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§10 match in volcano
fifty-seventh
PM4:40 山頂

〈!? ユウキくん、誰か来たよっ!!〉


見張りを続けていたフライが、ユウキ達に聞こえるように大声で叫んだ。

〈くっ!全部は破壊できなかったか……。〉
〈あと3つだったのに……。〉
〈ユウキ、オルト、フライ、念のため隠れたほうがいいわね。………あの時の二の舞にならないためにも……。〉
〈うん!〉〈ああ。〉

シルクは後半部分を力を込めて言った。
ユウキ達は脳裏に焼きついた惨劇を繰り返さないために、近くにあった岩陰に身を潜めた。

[ったく、何でこの私が調査でなくて、下っ端共の仕事の監督なのよ……。上層部を蹴落としてきたこの私が、有り得ない!」
「「アルファさん!!助けてください!!」」〈えっ!?まだいたの♪!?〉

アルファと呼ばれた30代ぐらいの女性がひとりで嘆きながら姿を現した。

「お前達、野生如きに何をやられてるのよ!!だらしない
わね!とっとと捕獲して撤収するよ!!」〈この人、他の
人とは服装が違う……。もしかして、幹部でしょうか……〉〈ユウキ、
今のうちに残りの檻を破壊するぞ!!〉
「はい!もう捕獲してあるので……あとはコイツら
だけです。」〈……やっと、視界が元に戻った……。〉〈うん![目覚める
パワー]!………あれ!?溜まらない!?〉
「ただ、この4匹だけ異様に強くて………。」〈もう1人!?
 でも、もう戦えないよ……〉〈ユウキ、さっきの戦いで使い
すぎたんじゃないかしら……?〉
「無残ね……。 !?なぜ[コバルオン]がここに!?」(ユウキさん、
そろそろ作戦が成功した頃でしょうか……。)〈っ!こんな時に……。
仕方ない……。〉

アルファは見知った種族のポケモンを目撃し、目を疑った。
ユウキはこの日はもう戦えないと悟り、姿を歪ませた。

「アルファさん、あのポケモンを知っているん
ですか?」〈!?何故僕の事を……!?〉〈ユウキくん、
姿を戻して大丈夫なのっ?〉
「ええ。知っているわ。イッシュで活動していた頃、
ずっと追い求めていた準伝説のポケモンのうちの一匹……。
やっと私の努力が報われた……。」〈!?この人、
まさか………。〉「うん。洞窟に比べたらまだマシ
だよ。でもあの人、どこかで見たような………。」
「絶対に捕獲して、私の物にする。使えないクズだが……、
ジャローダ、奴を弱らせろ!!」〈ユウキ、もしかして
あの人、以前リーフを捕獲しようとした人じゃないかしら!?〉
〈………戦いたくないのに…………!?あなたは、
もしかして……〉「絶対そうだよ!このままだと、
リーフ達が危ない!!シルク、オルト、フライ、
僕達も参戦するよ!!」
〈リーフ!!?〉〈!!?モミジ姉さん!?〉〈わかったわ!!〉
〈よし!了解した!〉〈うんっ!ボクはいつでも闘えるよっ!〉
「ジャローダ、お前にチャンスやる!失敗した
ならば……」〈〈リーフ!?姉さんって、
まさか………〉♪〉「フライはまず[超おん……]…
………、!!ちょっと待って!」〈!ユウキさん!〉

ユウキ達は岩陰から出て、ユウキは指示を出しかけていたが途中で止めた。

〈………できない……だって………。〉〈うん!僕の実の姉さんだよ!!まさかこんなところで再会するなんて……〉〈ユウキ!早く来て♪!〉

相手のジャローダとリーフは思わぬ人物との再会に、言葉を失った。

「くっ!やっぱりクズはクズか。いい加減ぼさっとしてないで、
大人しく働け!!」〈スーナ、であってるわよね?あのジャローダって……。〉
〈うん♪そのまさからしいよ♪……。〉〈っ!痛っ!〉〈姉さん!!?〉

アルファは自分のポケモン、リーフにモミジと呼ばれたジャローダを何回も蹴りとばした。

〈!!?酷い……。〉〈あの人、どうして……あんな事が……
できるのでしょうか………。〉〈〈〈〈!!?〉〉〉〉

あまりの光景にユウキ達は凍りついた。

「ほら見ろ!お前のせいで作戦が台無しじゃないの!!せっかくチャンスをやったのに………興ざめだわ………。」〈姉さんを…………姉さんを…………姉さんに………姉さんに手を出すな!!!!〉

この光景を見たリーフの中で何かが砕け散った。
刹那、ある程度落ち着いていたが、リーフの怒りのマグマがせり上がり、大噴火した。

〈許さない!!絶対に……許さない!!お前だけは!!〉〈シルク、リーフって、あんなに………起こった事、あるの?〉〈リー……フ……。〉
〈いいえ、さすがに私もあそこまで怒ったリーフ?は初めて見たわ……。〉
〈ライト、俺も初めてだ。あのジャローダ、おそらくリーフの身内らしいからな……〉
〈家族があんな目にあっていたら……誰でも……見るのは辛いよっ……。初めて会ったひとでもそうなのにっ………。〉
〈ユウキさん!リーフさんは長時間戦ってもう疲労で倒れる寸前のはずです!なんとか止められませんか!?〉
「コルド、多分あんな風になったリーフは………シルクでも止められないと思うよ………。リーフは人一倍仲間思いだから………。」
〈どうにかして止めないといけないけど、もしすると、私達の身も危険だわ……。〉

ユウキ、シルクは何もできないことが情けなく思い、歯を食いしばった。



@ ( 2013/06/21(金) 00:11 )