とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§10 match in volcano
fifty-sixth
PM 4:15 デコボコ山道 山頂付近 sideシルク

《…… 今は戦闘中なので、後ほど理由は説明します!!》
(!?うん?)

リーフ達が激戦を繰り広げている頃、ユウキ達はフエンの洞窟を抜けて視界の開けた場所まで来ていた。

〈ユウキ、何て言ってた?〉
〈シルク、コルド達は今誰かと闘っているらしいよ。……正面から入らずに、回り込んでって言われたけど。〉
〈正面はダメなのね……。〉
〈何かあったのかなー?〉
〈その可能性が高いな。〉
〈……とりあえず、裏から山頂に行こっか。〉
〈そうね。行けばきっと正面が通れない理由がわかるわよね。〉

ユウキ達は、コルドに言われた通りに、裏に回り込んだ。

10分後 山頂 合流

〈ん?何の音かしら?〉
〈さっきから大きい音が聞こえるよねっ。〉
〈ユウキが言ったことから推測すると………、ライト達のほうだな。おそらく闘っているのだろうな。〉
〈多分、そうだろうね。〉

リーフ達が闘っている山頂の正面から100m程奥の地点、裏から回り込んできたユウキ達が何か大きな音がするのに気がついた。

〈ユウキくん、もう少し近づいてみようよっ。〉
〈そうだね。闘っているなら、助太刀したほうがいいかもしれないしね。〉
〈フライの言うとおりね。〉
〈ここからだと状況が把握できないからな。〉

再び歩みを進めた。

「……アルファさん、早く来て下さい!!」

そこに悲鳴に近い叫び声が聞こえた。

〈!?ユウキ、今、声が聞こえなかったか!?〉
〈うん!確かに聞こえたよ!?〉
〈うんっ!ボクも聞こえたよっ!〉〈悲鳴?かしら……。〉
〈とにかく、早くいこう!!〉

ユウキは声のするほうに四足歩行で走り出した。

〈そうね。オルト、フライ、行きましょ!〉
〈ああ。〉〈うんっ!〉

走り出したユウキに続き、シルク、オルト、フライも後を追った。

〈えっ!?檻!?〉

ユウキは目の前の光景に唖然とした。

〈ユウキ、これは………もしかして………。〉
〈……リーフと初めて出会った時と同じ状況よね。〉〈檻の中に……捕らわれているのっ!?〉
〈僕の記憶に正しければ、間違いないよ!!〉
〈正面から入れない理由はこれだったのか!〉
〈[リーフブレード]!! くっ!きりがない!!〉〈[冷凍ビーム]!〉〈[ミストボール]! いつになったらおわるの!?〉〈このままだと、スタミナが保ちませんね………、[ラスターカノン]!!〉
〈ライトちゃん達、大丈夫かなっ……。〉

長時間闘っているスーナ達は、目立ったダメージはないものの、長期戦に流れ込んだため、息を切らせていた。

(コルド、大体状況はわかったよ!僕達は何をすればいい!?)
《!?ユウキさん、今どこにいますか!?》
(檻の裏側だよ。)〈ユウキ、私達はすぐにでも参戦したほうがいいかしら?〉〈っ![竜の波動]! もうそろそろ、エネルギーが切れるかも……。〉
《檻の裏ですか。なら、捕らえられている方達の解放をお願いしてもいいですか!? っ!》〈[アクアリング]♪!〉
〈(捕らえられたポケモンの解放だね!?〉うん!すぐにとりかかるよ!)〈[逆鱗]!!〉
〈ユウキ、俺達は檻を壊せばいいんだな?〉
〈うん!あの時みたいになるといけないから、フライ、見張りを頼んでもいい?〉〈これで、2/3は倒した、かな♪?ライト、コルド、リーフ、まだいける♪!?〉
〈うんっ!任せてっ!〉〈そろそろ、限界です…。(ユウキさんが着いたことは、黙っていた方が良いかもしれない………。)〉〈シルク、オルト、僕達は気づかれないように檻を壊そう!![絆]の名に賭けて、いくよ!!〉
〈うんっ!〉〈ええ。作戦開始ね!!〉〈ああ、もちろんだ!〉

スーナ達が闘っている中、ユウキ達の解放作戦が始まった。
フライは辺りに意識を集中させた。
ユウキ、シルク、オルトは無造作に置かれた檻に向かった。

〈後ろに下がって!!今開けるから!〉〈威力は落ちるけど……[ハイドロポンプ]!!〉
〈えっ?助けに……きてくれたの?〉〈もつと、集中しないと……。〉
〈ええ。〈[目覚めるパワー]!!〉〉〈あと、目も瞑ったいろ!〉〈っ![正義の剣]!!〉

大奮闘しているコルド達にも、さすがに疲労の色が見え始めた。
オルトは檻の中のポケモン達に注意を促した。
シルクとユウキの声が重なり、ユウキは紅蓮の弾を、シルクは暗青色の弾を形成して頭上に向けて放った。

〈ユウキ、オルト、下がって!!〈[サイコキネンシス]!!〉〉〈くっ!こんな時にユウキがいてくれたら………。〉

ライト、スーナ、リーフはまだユウキ達の存在に気づいていない。
シルクは二色の弾を混ぜ合わせ、藤色の弾丸を生成した。
それを檻に向けて放った。
次第に膨れ上がり、檻に衝突する寸前で、弾の直径の2倍の範囲に小爆発をおこした。
鉄柵は無残に崩れ落ちた。

〈少し、派手すぎるわね。次からはオルトの[波動弾]とユウキの[目覚めるパワー]を頼んだわ!〉〈!?技が、出ない!? 私、もう戦えないかも……。〉
〈シルク、言う必要はないかもしれないが、混ぜ合わせてくれ![波動弾]!!〉〈ライト、あとはウチらがなんとかするから、下がってて♪!!〉
〈ええ。そのつもりよ!![サイコキネンシス]!〉〈[目覚めるパワー]!〉
〈うん。〉〈[アクアリング]、重ね掛け♪!!〉

ライトは後ろ(正面側)に下がった。
リーフも混乱状態から立て直すため、距離をとった。
スーナは何重にも水のベールを纏った。
ユウキは2発目の紅蓮の弾を放ち、オルトは青い弾を形成し、同じように放った。 
シルクは先ほどとは異なり、紅蓮の弾だけを操り、二つ目の檻の目の前で青い球と衝突させた。
刹那、一発目に負けないくらいの小爆発を引き起こした。

〈よし。この調子で残りの檻もいくよ!!〉
〈ええ。〉〈ああ。〉

ユウキ、シルク、オルトは同じ手順で檻を破壊して廻った。

@ ( 2013/06/20(木) 00:16 )