fifty-fourth
PM3:40 デコボコ山道 sideライト
〈ライト、見違えるほど強くなったね♪〉
〈コルドとも連携し合えていたよ〜。〉
戦った青年が下山した後、スーナとリーフはふたりを評価した。
〈本当に?〉
〈うん!息ピッタリだったよ〜。〉
〈僕は何回もライトさんにピンチを救ってもらえましたから。〉
〈コルド、それは私も同じだよ!手元に[ミストボール]を溜めてる時にコルドに助けてもらってなかったら、絶対に失敗していたよ。〉
ライトとコルドはお互いの健闘を称え合った。
コルド達が山頂に向けて歩きはじめた時、
《コルド、ちょっといい!?》
〈!?〉
(ユウキさん?そんなに慌てて、どうかしたんですか?)
コルドの頭の中に、突然ユウキの声が響き、とびあがった。
歩みを止めずに、コルドは[絆]の力で返事をした。
《大至急ライトに聞きたいことがあるんだけど、聞いてくれる!?》
(えっ、はい。何を……)
《手短に言うと、ライトに宝具を守っているポケモンと、そのポケモンが姿を変えた時の種族を聞いて! 今、目の前にとてつもない威圧感を放っているポケモンがいるんだ!》
(えっ!? とにかく、聞いてみますね)
《うん!頼んだよ!》〈ライトさん、ユウキさんが聞きたい事があると言っているので、代わりに聞いてもいいですか?〉
〈えっ?いいけど?〉
コルドはユウキの勢いに圧倒されながらも、なんとか平生を取り戻し、ライトに質問した。
………
15分前 フエンの洞窟 sideシルク
〈大分きたから、そろそろ奥に着くんじゃないかなっ?〉
ライト達がピチューとパッチールと闘っている頃、ユウキ達は洞窟の奥地に到達しようとさしていた。
〈確かに、そうかもしれないわね。〉
〈ああ、そうだな。流石に俺でも、この暑さが辛くなってきた……。〉
〈うん……。この姿でも、汗が止まらないよ………。〉
今現在、ユウキ達のいる洞窟内の気温は約45℃、暑さに慣れていないため、オルトとシルクも体中の水分が抜け始めていた。
〈奥までもう少しだから、早めに調査して、すぐに戻ったほうがいいね。〉
〈そうね。長居は禁物よね。〉〈シルクやオルトでも耐えられなくなってきたなんて……。〉
乾燥地帯出身のフライは依然として汗1つ流していない。
〈とにかく、急いだほうがいいな。〉
ユウキ達は歩調を早めた。
5分後
〈ふぅー。 とりあえず、奥地についたね。〉
〈やっとって感じね。〉
ユウキ達はなんとか洞窟の最奥部にたどり着いた。
〈ん? あれ、何だろうっ……。〉
フライは少し離れたところに、何か光る石らしき物体を発見した。
〈フライ、どうかしたの?〉
〈うんっ。石?みたいな物が置いてあるのを見つけたんだっ……。〉
〈石?もう少し近づいてみてみましょ。〉
〈シルクの言うとおり、ここからだと見にくいな。〉
〈うん。そうだね。〉
ユウキ達が謎の物体に近づこうとした時、
〈あなた達は見慣れないポケモン………、もしかして、侵入者!?〉
どこからともなく、一匹のキュウコンが現れ、ユウキ達の前に立ちはだかった。
〈〈〈〈!!?〉〉〉君は……?〉
〈名乗るまでもないわ!どんな理由があろうとも、ここから先は行かせない!!〉
〈!? 普通のキュウコンにしては……威圧感が……凄い!?〉〈このキュウコン、ただ者ではないわね。〉〈プレッシャーで押し潰されそうだよっ……。〉
異常な程な存在感を放つキュウコンが闘志をむき出しに、ユウキ達を睨んだ。
(コルド、ちょっといい!?) 〈[火炎放射]!!〉
《ユウキさん、そんなに慌ててどうかしたんですか?》
(手短に……(省略)……)〈ユウキ![火炎放射]がくるわ!!〉
キュウコンは一番近くにいたユウキに向けて、燃え盛る炎を放った。
《はい。聞いてみますね。》〈!?[10万ボルト]!!〉
ユウキはとっさに高電圧の電撃を放ち、豪炎を受けとめた。
(うん!頼んだよ!)〈!?この私の技を受け止めるなんて、相当の実力者のようね!面白い!〉〈ユウキ!大丈夫か!?〉
〈うん!暑さで長くは保ちそうにないけど。今、気になることがあって、コルドに聞いている最中だから、その間は何とか大丈夫だよ!だから、みんなは後ろに下がってて!〉
〈えっ、ええ。でも、無理はしないでよね!〉〈この私相手に他事を考えている暇があるのかしら?〉
キュウコンは火力を強めた。
〈くっ! 強い!?〉
ユウキが若干押され始めた。
〈〈ユウキ!!?〉〉〈ユウキくんが、押されてるっ!?〉
〈っ!ヤバい!!っ!〉
ユウキは慌てて技を解除し、左に飛び退いた。
〈思考力はいいようね!でも、これならどうかしら!?〉
キュウコンは次の攻撃のため、ユウキに接近し始めた。
([目覚めるパワー]は使えないし、[放電]は威力不足だから………。っ!)
〈とうとう私の強さに怖じ気づいたのね!!〉
キュウコンは怒号混じりに言い放った。
〈[鬼火]、[フレアドライブ]!! っ!〉〈!?[気合いパンチ]!! くっ!〉
ユウキは青い炎はなんとかかわしたが、渾身の一撃を叩き込む時に、自身の耳を超高温の炎が掠めた。
〈っ! 私が、攻撃を受けるなんて……〉〈!?掠っただけで火傷状態に!? 直撃してたら確実に逝ってた……。〉《ユウキさん、お待たせしました!》
ユウキがキュウコンから距離をとっている時に、コルドの声が響いた。
〈ここまで強い侵入者、初めてだわ!〉〈このひと、完全に誤解しているねっ……。〉
(コルド、今、戦闘中だから、必要な事だけ言って!!)〈シルク、ソウルさんの時と同じだな。〉
《はい!もう一匹のポケモンはライトさんと同じ、[ラティアス]で、変化した姿は[キュウコン]だそうです。》〈[大文字]!!〉
〈えっ!?何だって!!?[10万ボルト]!!〉
ユウキは2つの意味で驚いた。
とっさに最大出力で技を放った。
(今闘っているのが、その[キュウコン]だよ!! ヤバっ! そのラティアスの名前は聞いてる?)
ユウキは何とか技を打ち消した。
《はい。[アオイ]という名前だといってました。》〈何度止めてもおなじよ!![火炎放射]!!〉
(わかった!ありがとう!)
ユウキに向けて再び炎が放たれた。
〈っ! あなたの固有の名前は[アオイ]ですよね!?〉
〈!!? なぜ、私の名前を!?ごく一部にしか言ってないは……〉
〈あと、[ソウル]という名前のポケモンをご存知ですよね?〉
〈!!?ソウルまで!? あなた達は一体何者!?〉
突然述べられた、自身の名前を聞き、キュウコンは開いた口が塞がらない。
〈僕はただの考古学者です。訳あってこの姿ですが。 僕達は実際に本人に会ってます。〉
〈初めて会った時はどうなるかとおもったけど、とても優しいひとだったわ。〉
〈あなた達の使命は把握しているつもりです。〉
〈俺達も[ホウエンの結界]を解除させないために活動している。ソウルさんにもその趣旨は伝えてある。〉
〈そうよ。 このように至った経緯を話すと、私達は[結界]を解除しようとしている組織の情報を掴んだのよ。〉
〈それで、僕達はそうさせないためにこの地方を調査して、伝説上の悲劇を起こさないために調査をしているんです。〉
〈私達は今他の仲間と別行動をとってるの。ソウルさんにも信頼されていたから、ラティアスのライトと行動を共にしていると言えば、信じてもらえるかしら?〉
〈えっ!?ライトと!?〉
〈何のことかさっぱりわからないけどっ………ライトちゃんって、そんなに信頼されているんだ……。〉
話を聞いているフライは疑問符で押しつぶされそうになっている。
〈はい。 あなた達だけでなくて、僕達も別の地方の伝説に関わっているんです。〉
〈えっ!?〉
〈ユウキ、この環境で姿、変えれるかしら?〉
〈うん。一瞬なら、なんとか……。〉〈ライトと行動しているなら、信じるけど……伝説に関わっているという嘘は良くないわ。〉
〈シルクの言うとおり、直接証明したほうがいいかもしれないな。〉
〈うん。〉
ユウキは返事をするとすぐに姿を歪ませた。
〈!!?私達以外に姿を変えれるポケモンが!?〉
ユウキはすぐにピカチュウの姿になった。
〈やっぱり、この環境だと、もとの姿は3秒が限界か……。このように、僕達が伝説に関わっている事をわかっていただけましたね?…………だから、[絆]の名に誓っても、絶対に嘘なんてつきません!!〉
〈もしついたら、[絆]の名が廃るわ!!〉
〈俺達にも守らなければならないものがあるんだ!!だから、それを侵すような事を断じてするものか!!〉
ユウキ、シルク、オルトは力を込めてトドメの一言を言い放った。
〈!!?……………その目に………偽りは…………なさそうね。 話の筋も通ってる………。わかったわ………。あなた達の言うとおり、信じてみるわ。〉
3匹の勢いに圧倒されて脱力していたキュウコン改め、アオイはユウキ達の熱意に負け、最終的にユウキ達を信じることにした。