とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§10 match in volcano
fifty-first
PM1:15 デコボコ山道 中腹

「ユウキくん、大分登ったね。」
「結構高くなってきたしね。」

ユウキ達はビブラーバが野生のポケモンと戦うのを見守りながら、足場の悪い斜面を登ってきている。

〈ビブラーバ、麓で戦った時より技の威力が上がっているんじゃない〜?〉
〈スピードも上がってるな。〉
〈確かに、そうかもしれないよっ。実際、今までにないくらいのスピードで技の精度が上がってると思うしねっ。〉

ビブラーバは、ユウキ達の指導によりゆっくりだが確実に実力をあげてきている。〉

〈ユウキさんは、バトルに関してはプロですから。〉
〈ユウキ自身も戦い慣れてるしね♪〉

スワンナ達が話していると、木々の隙間から白い物が降り始めた。

「ん?何だろう?」
「雪……じゃないよね?本物は見たことがないけど。」
〈火山の麓には雪は降らないからね♪〉
〈基本的に暑いもんね〜。〉〈火山ということは、火山灰の可能性が高いな。〉
〈きっとそうね。〉
「ってことは、ここは活火山みたいだね。」

ユウキ達、それぞれが推測した。

「木漏れ日の光が灰に反射して綺麗だね。」
〈うんっ。〉
〈見とれてしまうわね。〉
〈幻想的だな。〉〈幻想的だね〜。〉〈うん♪こんなに綺麗な景色、初めてみるよ♪〉

辺りには、幻想的な光景が広がっていた。

「うん。こういう景色が見れたりすることが、旅を素晴らしいものにしている要素の1つだからね。」

ユウキ達はしばらく山道の絶景に見とれていた。

30分後

「さっきの景色、凄かった!」
〈うん♪また見てみたいね♪〉

ユウキ達は余韻に浸っていた。

〈……………とりあえず、本題に戻りましょうか。〉
〈本当の目的は、ここの調査だったわね。〉
〈それと、ボクの特訓だねっ。〉
「うん。気持ちを切り換えて、調査と特訓を再開しよっか。」
〈そうだな。この調子だと、夕方までかかりそうだからな。〉
〈そうだね〜。〉

ユウキ達は再び登山道を登り始めた。

さらに10分後

「ビブラーバ、大分腕が上がってきたし、そろそろトレーナーを相手に戦ってみる?」
〈うんっ!〉

登山道を登り始めてからの短い時間に、ビブラーバは野生のポケモンなら無傷で勝てる程の実力まで成長を遂げていた。

〈回復アイテムも惜しみなく使っているから、全力でいけると思うわ。〉
〈次の段階に入ったな。〉
「ビブラーバ、準備は出来てる?」
〈うんっ!いつでもいいよっ!〉
「頑張ってね!」

ユウキは適当な対戦相手を探し始めた。

「あっ、すみません。バトルお願いします。」
「ん?ぼく?」

1人の少年に話しかけた。

「はい。受けてくれるよね?」
「あっ、はい。じゃあ、さっそく、プラスル!このお兄さんに勝つよ!」
〈うん!もちろん!〉「ビブラーバ、いくよ!」
〈うんっ!実践練習、だねっ!〉

プラスルは電気をちらつかせながら、元気よく飛びだした。
ビブラーバも前に出た。

「プラスル、[電気ショック]!」「[騙し撃ち]から[超音波]!」
〈えっ!?相手は地面タイプだよ!?[電気ショック]。〉〈うんっ![騙し撃ち]っ!〉〈この人、もしかすると、新人トレーナーですね。〉
〈相性がわかってないみたいだからね〜。〉

プラスルは躊躇(ためら)いながらも、やや強い電気を放った。
ビブラーバは不意をつき、技を命中させてから周波数の高い音波を発生させた。

〈うっ! !?何!?この音??〉〈よしっ!当たったっ!〉

電撃は空を捉えた。
ビブラーバは急に動き、背後に回り込んで技を命中させた。

「!!?ハズレた!?[もう一度、[電気ショック]!」「一旦距離とって!」
〈だから、効かないって!前も見えないし!〉〈うんっ!わかったよっ!〉

プラスルはトレーナーに訴えたが、伝わらない。
ビブラーバは念のため後ろに飛んだ。

「君はもしかして、新人だね?」
「えっ、はい。一昨日旅立ったばかりだけど……。」
「相性とポケモンの状態を把握しないと、勝利を掴めないよ![岩雪崩]!」

ユウキはいても経ってもいられず、少年にアドバイスをした。

〈一気にいくんだねっ?[岩雪崩]]!〉「えっ?相性と状態?」

ビブラーバは技をだす準備をした。

「そう。まず、プラスルの技は電気タイプ。対してビブラーバは地面タイプ。このままだと、永遠にダメージを与えれないよ!」〈うわっ!あんなに沢山!?〉
「えっ!?」

プラスルは頭上の岩に気づき、慌てて飛び退いた。

「それに、プラスルは今、混乱状態。まともに前が見えてないはずだよ。[竜の息吹]!」
〈ふぅー、危なかったー。〉〈[竜の息吹]っ!〉「えっ!?いつの間に!?」

プラスルはなんとか岩石の雨をかわした。
ビブラーバは口元に青黒いエネルギーを溜め始めた。

「あと、常にバトルから目を離さないほうがいいよ。」
〈距離があるけど、当たるかなーっ。〉「〈!?〉」

ブレスが放たれ、命中した。

〈っ!!……何も………攻撃………できなかった………。〉

相手のプラスルは倒れた。

「えっ!?いつの間にかやられてる!?」「とりあえず、これだけ意識できれば強くなれると思うよ。」
「ユウキくん、いつの間にか相手をトレーナーさんに指導してたね。」

一部始終を見ていたライトが呟いた。

「えっ、はい?ありがとうございます。」
「あと、これ使って。」

ユウキは少年に[良い傷薬]を3つ手渡した。

「あっ、はい。」
「余談だけど、ジムに挑戦するなら、フエンタウンのジムは炎タイプだから。」
「えっ、うん。」

ビブラーバの実践演習、兼新人トレーナーの指導が終わった。

@ ( 2013/06/15(土) 00:08 )