とある青年の物語 〜kizuna〜


























小説トップ
§9 a hot spring resort
forty-ninth
AM 9:10 フエンタウン ジム

「あと、さっきまでの解説をしてくれるかな?」
「はい。」

ユウキは先ほどの解説を始めた。

「まず、エーフィーを取り囲んでいた[炎の渦]を[サイコキネンシス]でまとめてもらいました。」
「そうは見えなかった……。」
〈私が一瞬で集めたからかしらね。〉「その炎の塊を内側から発散するように指示しました。発散すると気流が乱れるので、それを応用して、地面に向けて気流を発生させました。」
〈そういえば、発散させる時はいつも風が吹いていたわね。〉
「発生した気流は地面で反射して、結果的に上昇気流を発生することになります。」
〈やっと原理がわかったわ。 私は全種族で考えると軽いほうだから、上のほうに飛ばされたということね。〉「物理を利用したんだね?」
「はい。その後の攻撃は、原子の核分裂を参考にしました。」
「核分裂?」
「原理を説明すると…………」
《電子を原子に高速でぶつけて、その衝撃で原子が分裂するのね。副生成物として、新たに電子が放出されて、半永久的に反応が続く、これで合ってるわよね?》

エーフィーが割って入って説明した。

「!?この声は!?」「エーフィー、正解だよ。 ちなみに、このエーフィーはテレパシーが使えるんです。」
〈エーフィーは必死で練習したからね♪〉
《勉強した甲斐があったわ。まさかこんなところで役立つとは思わなかったわ。》
「テレパシーを!? 原理も難しかったけど……。」
「スクール時代に学んだ専門知識なので……。 最終的に凄く小さくなりますが、この原理を応用しました。」

エーフィーによる説明が終わった。

「わかったような……わからないような………」〈ユウキは化学分野も詳しかったんだね♪?〉〈なんのことかさっぱり、わからないよっ。〉
「ちょっと難しいなー。お兄ちゃんならわかるかな?」
「じゃあ、次はスワンナ、説明してくれる?」
〈うん♪〉《私はスワンナの通訳ね?》
「たのんだよ。」

続いてスワンナがわずか8秒で起こった出来事を話し始めた。

〈まず、加速して………(前回と同じ内容のため、省略します。)……〉
《…………、そして、[ブレイブバード]が命中して決着がついたらしいわ。 そんなことがあったのね。》
「なるほどね。」「あの一瞬でそんな事が……あったんだ……。レベル、高すぎる……。」
《ユウキは一つ星だからね。》

ジム戦の解説が終わり、ユウキの13回目のジム戦が幕を閉じた。

………

AM 9:35 フエンタウン

「ふたりともお疲れ様。みんなもお待たせ。」

ユウキはジムから出ると、すぐに残りのメンバーを出した。

〈久しぶりに驚かされたわ。〉〈ウチは新しい連携が出来たから、満足だよ♪〉
「ふたりとも、すごかったよ!」
〈数も、スピードもすごかったよっ!これがふたりの本気なんだねっ。〉
〈すごかったらしいな。〉
〈僕も見たかったな〜。でも、相手が炎タイプなら仕方ないよね〜。〉
〈僕も同感です。僕達も頑張らないといけませんね。〉
〈そうだな。エーフィーとスワンナは新しく編み出したみたいだからな。〉
「私もあんな風に技を使いたいなー。」
〈ボクって、こんなに凄いメンバーの中に入ったんだーっ。〉
〈ビブラーバもすぐに強くなれるわよ!〉

全員バトルの余韻に浸った。

「ユウキくん、この後はどうするの?」

ライトはユウキに聞いた。

「ビブラーバの今の状態は昨日見せてもらったから………、今日は午後から火山の調査かな。」
〈火山ってことは、暑いんだろうな〜。〉
〈午後からということは、午前中はどうするんだ?〉
「せっかくみんなに調べもらったから、食べ歩きをして廻ろうと思ってるよ。」
〈なら、良さそうな店を見つけたよ♪〉
〈僕達もです!〉
「どれも美味しそうだったよ!」
〈コジョンド達の方も見たいから、早くいきましょ!〉
〈ふたりとも、回復しなくてもいいのっ?〉
〈うん♪ウチらはほとんどダメージをうけてないからね♪〉
〈全然大丈夫よ。〉
〈攻撃をうける前には既に終わってますからね。〉
「じゃあ、行こっか。」

ユウキ達はオープンして賑わう飲食街に向かった。

………

AM 10:00 フエンタウン 飲食街

〈やっぱり昨日ぐらい混んでるねっ。〉
「観光客がほとんどかもね。」

ユウキ達はごった返す道をかき分けながら進んだ。

「やっぱりフエンタウンはいつ来ても混んでるなー。」
〈人気の行楽地だからね。〉

〈あっ、ユウキさん、あれはユウカさんじゃないですか?〉
「うん。そうだね。」
〈ジュプトルも外に出てるんだね〜。〉
「ほんとだ! ユウカちゃん!着いたんだね!」

ライトはユウカに向けて大きく手を振った。

「あっ!ライトちゃん!もう着いてたんだね!」

ユウカも手を振って走ってきた。

〈ライトちゃん、この人は知り合いっ?〉
「うん!」「僕達は昨日の夕方に着いたんだよ。」
「へぇー。 ?昨日いなかったビブラーバがいるけど、仲間になったんですか?」
《ええ。昨日別れた後にね。》
《ライトさんとは以前から親交があったらしいです。》
「そうなんだー。ライトちゃんの友達なんだね?」
〈ユウキさん達も仲間が増えたんですね。〉
〈達も、ってことは、ジュプトル達にも誰か加わったのか?〉
〈はい。私達にも昨日、新しい仲間が加わりました。〉
《誰かが加わったのね。》
「うん!ユウキさん、ジュプトルから聞いてますよね。」

そう言い、ユウカは2つのボールに手を伸ばした。

〈あれ?進化したんだね♪?〉
〈うん!〉〈あっ、よろしく、お願いね。〉
《加わったのは[イーブイ]ね。 ユウキと出会った頃を思い出すわ。》
〈そういえば、エーフィーの進化する前の種族って、イーブイだったよね〜。〉
「君がそうなんだね?」
〈うん。〉
〈唐突だけど、あなたは何に進化しようと思っているのかしら?〉

種族のためか、エーフィーはイーブイに興味津々だ。

〈ぼくは水タイプか電気タイプのどっちかになりたいよ。〉
〈水か電気ね。 私も進化するタイプを決める時は悩んだわ。〉
〈きみはエスパータイプにしたんだね?〉
〈ええ。私は悪タイプと迷ったわ。 でも、この選択に後悔はないわ。一度きりの選択だから、よく考えるといいわ。〉
〈うん。アドレス、ありがとう!〉
〈種族ならではの会話ですね。〉
〈俺たちにはまず出来ない内容だな。〉
〈そうだね〜。〉

「ユウカちゃんはこの後はどうするの?」

ライトはユウカ聞いた。

「私は今からジムに行こうと思ってるよ。ライトちゃん達は?」
「私達はそこの火山に行くつもりだよ。」
「部屋は二泊分予約してあるから、余分な荷物はそこに置いて、調査しに行く予定だよ。」
〈もう1日ここで泊まるんだねっ?〉
〈そうなるな。〉
「なら、明日、私とバトルしてくれますか?」
「うん。受けてたつよ。」
《どれくらい成長したか、見せてもらうわ!》
〈あの時みたいにはいかないから!〉

2人は再戦の約束をした。


 §9 End. To be continued...

■筆者メッセージ
化学分野も入れてみました。

気がついたら前作の話数を越えてました!
@ ( 2013/06/12(水) 01:12 )