とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§9 a hot spring resort
forty-eighth
AM 8:30 フエンタウン ポケモンセンター

「ユウキくん、今日はまずジム戦だよね?」

雲一つない青空の下、ライトが当然のように聞いた。

「うん。そのつもりだよ。コジョンド、案内してくれる?」
〈わかった。ここから5分ぐらいだから、ついてきてくれ。〉
〈コジョンド、頼んだわ。〉

ユウキ達は昨日ジムを発見したコジョンド達に導かれ、温泉街のジムへと向かった。

5分後 フエンタウン ジム前

〈ここがそうだよ〜。〉

開店前の飲食店街を通り抜け、ユウキ達はジムにたどり着いた。

〈中から光が漏れるので、この時間でも挑戦可能のようですね。〉
〈さっそく行こうよ♪〉
「うん。でも、ちょっと待って。」

ユウキが話を止めた。

「ビブラーバ、君は強くなりたいと思ってる?」
〈ボクっ? うんっ。もちろんだよっ!〉
「なら、決まりだね。 ジムにはバトルを観戦出来る場所があるはずだから、ライトとそこで見てて。」
〈うんっ。わかったよっ。〉
「ってことは、あとのみんなはいつも通りボールの中で待機だね?」
「うん。じゃあ、準備はいい?」
〈ええ。いつでも大丈夫よ!〉〈もちろんだ!〉〈OKだよ〜。〉〈ウチは絶好調だよ♪〉〈はい!では、ユウキさん、お願いします!〉
「うん!」「頑張ってね!」

ビブラーバ以外のメンバーは赤い光に包まれ、ボールの中に入った。

「よし!行こう!」
〈ユウキ君も頑張ってくださいっ!〉

ユウキ達はジムの中へと入っていった。

………

AM 8:45 フエンタウン ジム

「ジム戦お願いします!」
「ええっと、ジム戦だね?うん。受けてたつよ!」
「お願いします! 僕は学者のユウキと言います。」
「えっ、ユウキって、考古学者の?」
「正解です。」
「やっぱり。私はアスナ。炎タイプの使い手だよ。」
「使用ポケモンは2体ですか?」
(炎タイプかー。なら………)「うん。じゃあ、始めようか。」

軽い自己紹介が終わり、13回目のジム戦が始まった。

「バグーダ、今日一発目のバトルだよ!」「[絆]の名に賭けて、エーフィー、いくよ!」
〈よし、いくか!〉〈まずは私ね?最初は[瞑想]でいいわよね?〉

両者共に一体目を出した。

「エスパータイプ、相性は普通か。まずは[火炎放射]!」「うん。溜めながら[サイコキネンシス]をお願い!」
〈じゃあ、さっそく、[火炎放射]!〉〈小爆発を狙うのね?…………〉

バグーダは炎を一直線に放ち、エーフィーは目を瞑り、精神統一を開始した。

〈えっ!?目を瞑って大丈夫なのっ?〉
「うん。あれがエーフィーの戦い方だからね。」〈えっ!?かわさない!?〉〈………〉

目を瞑るエーフィーの目前に高温の炎が迫った。

〈……[サイコキネンシス]!〉

エーフィーは目を瞑ったまま横に跳び、同時に技を掛けた。

「かわされた!? もう一度[火炎放射]!」〈………よし。溜まったわ!ユウキ、[目覚めるパワー]と配合するつもりだけど、いいわよね?〉
〈また止められる気がするけど……[火炎放射]!〉「うん。お願い!」
〈[目覚めるパワー]!〉

再び火炎が放たれた。
対してエーフィーは、自己判断で口元に暗青色のエネルギーを溜め始めた。

「技を2つ同時に!?[炎の渦]で拘束して!」
〈うん![炎の渦]!〉〈私の技は簡単にはかわせないわよ!〉

相手は炎の塊を打ち出し、対して、炎塊と暗青色の弾を超能力で混ぜ合わせながら放った。
合わさり、暗い藤色の弾が完成した。
両者の技はすれ違った。

「エーフィー、わざと攻撃を受けて!」「綺麗……。」
〈何か作戦があるのね?やってみるわ。〉〈アスナ、見とれてないで指示を出して!! !?〉

暗い藤色の弾は膨張しながらバグーダに迫り、目前で小爆発を起こした。
エーフィーは炎塊に接近し、炎のなかに飛び込んだ。

「えっ!?かわさないの!?」〈だから、……早く指示を…出してよ!!〉「そのまま接近して!!」

バグーダは苛立ち、怒鳴った。アスナには吠えてるようにしか聞こえないが………。

「はっ!そうだった!バグーダ、[地震]!」〈このくらいなら、大丈夫そうね。〉
〈やっとか……[地震]!〉「エーフィー、炎を下方向に跳びながら発散させて!」
〈えっ!? ええ、わかったわ![サイコキネンシス]!〉

バグーダの怒号により、ようやく我に返った。
指示を受け、思いっきり地面を踏み鳴らした。
刹那、立っていられない程の振動が襲った。
その間にエーフィーは超能力で炎を発散させた。

〈!!?〉

発散させると、エーフィーの脚元から上昇気流が発生した。
風圧に耐えられず、エーフィーは空中に投げ出された。

「〈えっ!?かわされた!?〉」「〈〈えっ!?何が起こったの!?〉〉」「よし、狙い通りになった。エーフィー、後で解説するよ。そのまま[シャドーボール]連射!!」
〈?? わかったわ。[シャドーボール]!〉

エーフィーは疑問符でいっぱいになりながら、大きさが不揃いの漆黒の弾を数発放った。
放たれた弾は核分裂の要領で無数に増殖した。

〈!!?多すぎてかわせない!〉〈えっ!?いつもより多い!?〉「増えた!?」

漆黒は小球は呆気にとられているバグーダに、雨のように降り注いだ。

〈…………っ!……あんな技………アリ?〉

バグーダは耐えられず、倒れた。

「……凄い………。二体目、キュウコン、頼んだよ!」「エーフィー、お疲れ様。後ろに下がってて。」
〈バグーダ、無念だね………。〉〈うん?わかったわ。〉
「スワンナ、いくよ!」
〈凄い音してたけど、大丈夫なの♪?〉

両者共に二番手を出した。

「気を取りなおして、[大文字]!」「[アクアリング]、そのまま加速して!」
〈あなたも相当の実力なんだね。[大文字]!〉
〈エーフィーには負けるよ♪[アクアリング]!〉

キュウコンは炎を円状に形成して放った。
スワンナは水のベールを纏い、すぐに飛び上がった。

〈速い!?わたしじゃあ、捉えきれない……。〉〈ウチのスピードについて来れるかな♪?〉

スワンナはやや挑発気味に言った。

「一か八か、[オーバーヒート]!」「スワンナ、あとは任せるよ。」
〈当たりそうにないけど……[オーバーヒート]!〉〈ウチが好きにやってもいいんだね♪?なら、[ハイドロポンプ]連射!〉

キュウコンは超高温の炎を放った。
スワンナは持ち前のスピードで翻弄しながら高圧の水を少量ずつ放った。

〈!!冷たい!?〉

水が豪雨のように降り注いぐ。
その間にも、スワンナのスピードは音速に達し、残像が残る程になった。

「〈速い!!?〉」「これだけ速いと指示が追いつかないからなー。」
〈私でも捉えきれないわ。〉〈[冷凍ビーム]!〉

スワンナは降下を続ける水滴を冷気で凪払って凍らせた。
雹のように降り注ぐ。

〈!!?速すぎて……何もできない…。〉

キュウコンは為す術がなく、体力が徐々に削られていく。

〈これで決めるよ♪[ブレイブバード]!〉

スワンナは淡い光を纏い、急接近した。
まばたきをするぐらいの時間で標的に到達した。
ユウキに委託されてからここまでわずか7秒。

〈!!? っ!〉

キュウコンは言葉を発する前に倒れた。

「えっ!?もう!?一体、あの瞬間に何が…起こったの……?」

アスナは一瞬の出来事にあいた口が塞がらない。

「僕にもわからないです。」
〈本人の解説が必要ね。……私の場合と同じで……。〉
「ユウキさんにもわからないなんて………。そうだ! とにかくこれを渡さないと。」

我に帰り、ポケットからバッチを取り出した。

「忘れないうちに…これがバッチだよ。」
「ありがとうございます。」
「あと、さっきまでの解説をしてくれるかな?」
「はい。」

ユウキはアスナ、エーフィーに言われ、技の解説を始めた。

@ ( 2013/06/11(火) 01:41 )