とある青年の物語 〜kizuna〜


























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§8 Sandy ground
forty-second
PM2:00 111番道路 砂漠 中部

〈ビブラーバ、せっかく来たから、あそこに連れてってくれる?〉

ライトは体勢を立て直しながら話をふった。

〈ライト、この砂漠に名所があるの♪?〉
〈うん!〉
〈名所と言うより……祭壇みたいな感じだけどっ………〉
〈祭壇っていうことは、参考程度に調べてみようかしら?〉
〈エーフィー、僕もそう思ったよ。〉
〈もしかすると関係があるかもしれないからな。〉
〈そうですね。ビブラーバさん、僕達も連れてってもらってもいいですか?〉
〈あっ、はいっ。皆さんもどうぞ。〉
〈うん。よろしくね〜。〉
(ボクのほうが年下だと思うのに、どうして敬語なんだろう…。)

ビブラーバはひとり、敬語の意味を考えながらユウキ達を案内した。

10分後 砂漠 南部

〈ここですっ………あれ?誰かいる。〉
〈祭壇には……誰も触れさせない!〉
「しぶといやつだ。グラエナ、相殺しろ!」
〈任務のためだ。悪く思うな。〉

しめ縄のされている岩石の前で、1人のトレーナーと2匹のポケモンによるバトルが行われていた。

〈ノクタスさんっ、大丈夫ですか!?〉〈あの人、どこかで見たような……〉〈!?まさか、あの人って!?〉

ビブラーバは戦っているノクタスに(飛んで)駆け寄り、ユウキは記憶を探った。
ライトはそのトレーナーを認識すると、突然青ざめた表情となった。

〈ビブラーバか……。散策していたら、突然教われた……。〉「!!ラティアス!? とうとう俺に運がまわってきたか。」〈あの人、まさかあの時ライトを捕まえようとしていた奴か!?〉
〈ちょうどいい。〉〈ライト!!とにかく下がって!みんなはライトを守って!!〉

鉢合わせした相手は、ライトを追っていた密猟者のうちの1人だった。

「作戦変更だ!グラエナ、[悪の波動]!」〈わかったわ!〉〈任せろ!〉〈〈うん。!〉〉〈相手が悪タイプなので、僕もお手伝いします! っ!〉

コバルオンは前に出て、邪悪な波を受けた。

〈コバルオン、助かるよ。ビブラーバ、ここは僕達がなんとかするから、そのポケモンを安全な場所に避難させて![10万ボルト]!〉「ちっ、邪魔されたか。」
〈えっ、……はいっ。ノクタスさん!〉〈ビブラーバ、僕も手伝うよ〜。〉
〈そうか………。〉

ユウキが高電圧の電撃で時間を稼ぐ間に、ビブラーバとジャローダが協力して意識を手放したノクタスを安全な場所に運んだ。

〈私達も警戒する必要があるわね。みんな、技を貸してくれるかしら?〉「ピカチュウに[噛み砕く]!」〈僕が相手だ![目覚めるパワー]!〉
〈悪く思うな。〉〈もちろんだ![波動弾]!〉〈もちろん♪[ハイドロポンプ]、[冷凍ビーム]!〉〈[リーフストーム]〜!〉〈守られるだけは………[ミストボール]!〉

相手のグラエナは攻撃するために、ユウキに接近した。
エーフィー達は奇襲に備えた。
ユウキは即座に2つずつ大小異なる紅蓮の弾を放った。
それを的確に衝突させ、数十個の小球に拡散させた。

〈!!?かわせない!?っ!〉〈よし!今のうちに………。〉

グラエナは完全にはかわせず、いくつかが命中した。
その間にユウキは利き腕である右腕に力を溜めながら接近した。

〈[絆]の名に賭けて、守ってみせる![気合いパンチ]!!〉
〈!!?〉

ユウキは跳び上がり、重力を乗せた一撃を相手にヒットさせた。

〈くっ!強い……〉「しくじったか。 せめてラティアスだけでも。グラエナ、標的変更だ!」
〈っ! 体に……力が……入らない………〉《そうはさせないわ![目覚めるパワー]!》《手出しはさせません![ラスターカノン]!》

エーフィーはとっさにエネルギー弾と草塊、氷塊と純白の弾、白銀の弾と暗青色の弾をそれぞれ混ぜ合わせた。
1つは横方向に拡散して相手の接近を防ぎ、1つは速度が上がり、放射状に拡散、グラエナに降り注いだ。残りの1つは膨張しながら密猟者に向けて放たれた。

「〈!!?〉」

轟音をたて、相手に命中した。

《私達の仲間に手出しはさせないわ!》「まさか……俺にまで飛んでくるとは……。!?」〈凄いっ……。あんな技、初めて見た……。〉
《[絆]の名に賭けて、たとえ相手が人間であっても容赦はしません!》
「頭の中に声が響いてる!?」《あなたの目的はわかっているのよ!》
《どういう組織なんですか!!名乗ってください!》
「テレパシーか。所詮野生のポケモンだ。いいだろう。俺は世界中で活動する組織、[グリース]、幹部のガンマだ!覚えておけ!!」
〈〈〈〈〈[グリース]だって!?〉〉〉〉〉(はっ!俺は一体、野生のポケモン相手に何をムキになっているんだ?)〈えっ!?エーフィーさん達の言葉がわかってるのっ!?〉

5匹が声を揃えた。

「とっ、とにかく、今日はこのくらいにしておいてやる!」
(負けたのに、上から目線か。)
(この組織はみんな強がりなのかな〜。)

ガンマと名乗った男はグラエナをボールに戻し、走り去った。

〈ふぅ、とりあえず、危機は去ったかな。〉
〈攻撃の準備をしておいてよかったね♪〉
〈うん。今回も守ってくれてありがとう。〉
〈守るのは当然だよ〜。仲間が襲われるのを、放っておけないよ!今度会ったら直接[逆鱗]を叩き込んでやる!〉

ジャローダの目つきが一瞬だけ鋭くなった。

(!!? ジャローダさんを怒らせないほうがいいかもっ…………)

ビブラーバはひとり胸に誓うのだった。

〈………ううっ。〉
〈あっ、ノクタスさん気がつきましたかっ?〉
〈ビブラーバか。奴らは?〉
〈あの人達はこのひと達が追い払ってくれたんですっ!〉
〈このひと達が?すまなかったな。〉
〈いえいえ、僕達は当然の事をしただけです。〉

ユウキは謙遜した。

〈あのまま時が過ぎていたら祭壇が破壊されているところでした。〉
〈隠れた名所だから、もし壊れたら大変だもんね。〉
〈うんっ。ボクからもお礼を言うよ。ありがとう。〉
〈困っているひとをみたら助けるのは当然だよ♪〉
〈お礼の代わりとして、この祭壇を紹介させてください。〉
〈いいんですか?〉
〈はい。〉
〈ボクも詳しくは知らないから、聴いてみたいよ。〉〈じゃあ、お願いします。〉
〈話すぐらいなら、破壊されるのに比べたら安いものですから。〉

そう言い、ノクタスはユウキ達に砂漠の祭壇について話し始めた。

@ ( 2013/06/04(火) 00:02 )