forty-first
PM1:15 111番道路 砂漠 中部
〈じゃあライトちゃんいくよっ!〉
〈うん。手加減は無しだからね!〉
砂漠の真ん中で二匹のポケモンのバトルが始まった。
〈先手必勝っ![騙し撃ち]!〉
〈[サイコキネンシ……]えっ!?〉
ビブラーバは急に距離を詰め、ライトに攻撃をした。
〈っ!こんな技、使えたんだ。でも、私も強くなったんだから![竜の息吹]!〉
ラティアスも負けじと青黒いブレスを放った。
ゼロ距離で放ったため、技が命中した。
〈くっ! ライトもっ。〉
ビブラーバは反撃を受けたため、距離をとった。
〈でも負けないからっ![超音波]!〉
周波数の高い音を鳴らした。
(! 確かこの技は………。だから、)
〈[神秘の守り]!〉
危険を察知し、淡い光のベールを纏った。
〈防がれたっ!? でも、これなら。[岩雪崩]!〉〈しばらくは大丈夫かな。[ミストボール]!〉
両者はほぼ同時に技をだす。
ビブラーバは上空に複数の岩を出撃させ、ライトは口元に純白のエネルギーを溜めて放った。
〈これならかわせないでしょっ!〉〈凄い数。でも、このくらいなら……いける!〉
ライトは降り注ぐ岩石を旋回しながらかわした。
〈さっそくトレーニングの成果がでてるわね。〉
〈[竜の息吹]の威力も上がってたしな。〉
〈ライト、速くなってる。 !?〉
ライトがかわしている間に、純白の弾と岩石が衝突した。
〈〈えっ!?〉くっ! 物理技っ!?〉
ライトに気を取られていたビブラーバに命中し、後方に飛ばされた。
〈そういえば、岩タイプは試してなかったね〜。〉
〈そうだったね♪〉
〈聞いた感じだと、物理攻撃?らしいですね。〉
〈あと、速度が増したような……。〉
それぞれが感想を述べた。
〈くっ、…[竜の息吹]っ!〉
〈!! っ!……もっと……集中しないと………〉
一進一退の攻防がつづく。
〈[サイコキネンシス]!〉
ライトは青黒いブレスを受け止めた。が、
〈くっ! まだ……足りない……〉
止める事が出来なかった。
弱点だったため、ライトは大ダメージを受けた。
(よしっ、当たった。…このままいけば……勝てる。)
(もっと……集中しないと………。)
ライトは眼を閉じた。
〈[騙し撃ち]っ!〉
ビブラーバは接近を開始した。
(……………この音、この風………来る!)
〈よしっ……えっ!?必中なのに…はずれた!?〉
ライトは精神を研ぎ澄ませ、ビブラーバの接近を感知して紙一重で回避した。
〈[サイコキネンシス]!〉
〈!! 目がっ!?〉
ライトは超能力で砂を持ち上げ、ビブラーバめがけて飛ばした。
ビブラーバの命中率が下がった。
〈…よし!〉〈くっ、見えない!?[超音波]]!〉
(!?効果が切れた!?)
〈視界が……ぼやける………。〉
両者共に技がヒットした。
(視界を奪われたのは…初めてだっ。こうなったら………)(こんな時こそ………集中しないと………)
〈[岩雪崩]っ!〉(今度は上から!?………………)
ラティアスは再び眼を閉じ五感を研ぎ澄ませた。
降り注ぐ岩石をかわす。
〈見てないのにっ……もう一度、[岩雪崩]っ!〉(混乱状態だから………攻撃しないほうが……いいよね………)
ビブラーバはひたすら岩を出現させ、ライトはそれをかわし続けた。
(……よしっ。やっと見えるようになった!よし、なら……)
〈[騙し撃ち]っ!〉(この感じ………また来る!)
〈[竜の息吹]!!〉
視界が回復したビブラートは急速に接近した。
ライトはそれに反応し、居合いの如くブレスを放った。
〈っ!!〉〈くっ!! さっきより………威力が…………上がってる!? これは………もしかして……[竜の波動]………?〉
空中戦を繰り広げていた両者に、互いの一撃が命中し、共に墜落した。
〈………引き分け、かしら?〉
〈どっちも最後に受けた技は弱点。それが要因かな。〉
結果、引き分け。
〈ふたりとも、お疲れ様です。〉
〈接戦だったね〜。〉
〈どっちもよかったよ♪〉〈ライトの実力もかなり上がってるな。〉
〈……………うっ、………結果は………?〉
ライトが意識を取り戻した。
〈引き分けだよ。〉
〈………引き分け?〉〈………っ。〉
〈ライト、特訓の成果があったわね。〉〈ビブラーバさんもなかなかの実力ですね。〉
〈…うん。…これも……みんなの……おかげかな。〉〈ここまで全力を出したのは久しぶりですっ。ライトちゃん……いつ……[竜の波動]を………覚えたのっ?〉
〈えっ、……私……[竜の波動]、使ってた!?〉
〈ああ。最後の決め手は確かに[竜の波動]だったな。〉〈うんっ。最後の技、凄く強かったよっ。〉
〈きっと、集中した効果がでたんだね♪〉
〈集中したことによって、[竜の息吹]が強化されたのだと思うわ。〉
〈本当に?〉
〈うん。明らかに勢いが違ったよっ。〉
〈ライト、ビブラーバもお疲れ。〉〈そうだね〜。このまま練習すれば、普通に使えるようになると思うよ〜。〉
〈うん。これから頑張らないとね。〉
〈うん。とりあえず、ふたりとも、これを使って。コジョンド、お願い。〉
ユウキはバッグから[回復の薬]を2つ取り出し、コジョンドに手渡した。
〈このボタンを押すんだよな?〉
〈うん。この姿だと細かい作業が出来ないから、頼んだよ。〉
コジョンドは地面に伏している二匹に言われた通りに道具を使った。
〈このダメージが回復するのに2日ぐらいかかるのに、一瞬で!?〉
ビブラーバは道具の効果に驚いた。
〈私もこれは初めてだよ。ユウキくん、これはかなりの量を回復出来る道具なんだね?〉
〈そう。〉
〈[回復の薬]って言って、沢山ある道具の中で一番回復量の多い道具なのよ。〉
〈へぇー。〉〈それなりに常識を身につけたつもりだったけど、そんな物もあるんだっ………。〉
(きっとボクが知らない事がまだまだ沢山あるんだろうなー。)
ビブラーバはひとり、科学の力を実感していた。