PM0：25　111番道路

〈ここが砂漠だね〜。〉
「うん。」
〈てっきり砂嵐が酷いと思ってたけど、杞憂だったわね。〉

街を出発してから15分、ユウキ達は砂漠の入り口にたどり着いた。

〈そうだな。だが、砂が深くまで積もっていそうだな。〉
〈ライト、どれくらいの深さがあるの♪？〉
「私はいつも元の姿だったから、わからないよ……風が強いと砂が舞うから。」
〈ということは、姿を変えるんですか？〉
「そのつもりだよ。」
「いつ天候が変わるかわからないから、僕も変えておこうかな。」
〈そのほうがいいわね。〉
〈砂を落とすのは大変だからな。〉

ライトは眩い光を纏い、ユウキは姿を歪ませた。

〈よし。〉
〈やっぱり、何回やってもユウキくんのほうが早いなー。〉
〈ユウキの場合、強さに比例するみたいだからね〜。〉
〈ユウキは変えれるようになってからまだ一年も経ってないが、俺でも油断すると負けるからな。〉
〈さすがにエーフィーは無理だけどね。〉

ユウキは笑いながら言った。

〈ユウキくんの本気を見たことないけど、そんなに強いんだね？〉
〈僕達のお墨付きだよ〜。〉
〈ユウキさんは幅広く対応できますから。〉
〈3種類のタイプの技を使えるからね♪　ユウキとライトも準備出来たみたいだし、行く♪？〉
〈そうだね。　ついてきて！〉

昼過ぎの砂漠に7匹の楽しそうな声が響いた。

………

PM0：50　111番道路　砂漠　中部

〈ここの砂漠って、岩山に囲まれているんだね？〉
〈そう。〉
〈ねぇ、ライト？ライトの友達って、どんなポケモンなの♪？〉

スワンナはラティアスに聞いた。

〈最近進化したみたいだから、[ビブラーバ]っていう種族だったかな。〉
〈へぇ〜。〉
〈たしか、地面タイプとドラゴンタイプを持ってるポケモだよね？〉
〈たぶんそうだったと思うよ。　たしかこの辺にいるかなー。あっ、いたいた！久しぶりー！〉

ライトは声を張り上げた。

〈………この声はひょっとして、ライトちゃん、久しぶりっ！〉
〈1ヶ月ぶりだね。進化して飛べるようになったんだね！〉
〈うんっ！　あれ、このひと達は初めて見るけど、誰？〉〈このポケモンが言ってたライトの友達だね〜？〉
〈ナック………いや、ビブラーバ、紹介するよ。左から、ピカチュウのユウキくん、エーフィー、スワンナ、コバルオン、ジャローダ、コジョンドだよ。〉
〈どうも。〉〈よろしくお願いするわ。〉
〈よろしくね♪〉〈よろしくお願いします。〉〈よろしくね〜。〉
〈よろしくな。〉
〈そして、みんな、こっちが私の友達のビブラーバだよ。〉
〈よろしくっ。みんなはライトちゃんの友達？〉
〈友達でもあり、旅仲間でもあるかな♪〉
〈旅かー。いいなー。ってことはライトちゃんも旅をしてるってこと？〉
〈正確には、バトルとか技を教えてもらっているほうが正しいんだけどね。〉
〈へぇー。どうりで見たことがない種族なわけだねっ。〉
〈エーフィーとユウキ以外はイッシュ地方の出身だからね〜。〉
〈うん。みんな強いんだよ。〉
〈そうなんだーっ。そういえば、ピカチュウさん、いくつか聞いてもいい？〉

ビブラーバはユウキに話しかけた。

〈えっ、いいけど？〉
〈きみだけ左腕に何か着けてるけど……何？それと、雰囲気的に皆さんは野生ではない気がするんだけどっ……〉
〈この質問は何回目かしら。〉
〈軽く10回はいってるな。〉
〈たぶんそれくらいだね〜。〉
〈そうですね。　僕達は野生ではなくて、トレーナーのポケモンなんです。〉
〈えっ！？トレーナーのっ！？　でも近くに人間はいないよねっ？〉

ビブラーバは辺りを見渡しながら言った。

〈ビブラーバ、ユウキくん、ピカチュウは私と同じで、姿を変えられるんだよ。〉
〈えっ！？でも、ピカチュウって、普通のポケモンだよねっ？〉　
〈一般的なピカチュウならね。でも僕はちょっとしたことに関わっているから。〉
〈ユウキはちょっと特殊だからね♪〉
〈ユウキのこの姿は仮の姿だからな。〉
〈僕は元々人間だから。　つまり、僕がトレーナーだよ。〉
〈えっ、きみがっ？〉
〈そう。〉
〈ということは、ライトちゃんはあのなんとかボールとかいうやつに入っていたりするの？〉
〈ううん。私は入ってないよ。〉
〈ライトさんは普段人間の姿でいますから。〉
〈そうなんだーっ。　ねぇ、ライトちゃん、久しぶりにバトルしない？〉
〈いいね！特訓の成果を試したいから、いいよ！〉
〈じゃあ、始めよっ。ぼくも進化して強くなったんだからっ！〉
〈前は負けたけど、今日は負けないよ！〉
〈じゃあ、僕達は判定をするよ。〉
〈ライトは初めての実戦練習だな。〉
〈うん。いくよ！〉

砂漠の真ん中でラティアスとビブラーバのバトルが始まった。