第7章 雪降りたる山郷
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AM9:30 ネジ山入り口

前日、ジム戦を終えたユウキ達はフキヨセシティーで1日過ごしたため、出発を遅らせた。そして今、ネジ山の麓にさしかかっていた。

〈ユウキ、ちょっと寒くなってきたわね。〉
〈そうだね〜。でも冷凍コンテナに比べたらまだマシかな〜。〉
〈でも、山越えたら雪降ってそうだな。〉
〈雪かー。一回見てみたいな♪〉
「前来たときは夏だったからね。山の麓に着いたし、山に入ろっか。」
〈そうね。〉

ユウキ達が入山しようとした時、

〈……あれは[絆の証]、貴方が[絆の賢者]ですね。〉

ユウキ達の背後から声がした。

「えっ、そうだけど、なぜその言葉を知ってるんだ?」
〈あまり知られてないはずだけど〜?〉

振り返ると、そこに一匹のポケモンが立っていた。

〈申し遅れました。私(わたくし)[友情の守護]のビリジオンと申します。〉
〈あなたが守護者なのね。〉
〈ってことはベルには会ったのか?〉
〈いいえ、まだです。セッカシティーで合流する予定なので。〉
〈そうなんだ〜。〉
〈せっかくだし、私達と一緒に行こうよ♪ウチらもそこに行く予定だから♪〉
「まだ合流していないみたいだし、何かあったら大変だからね。」
〈…はい。そうさせてもらいます。 ところで、コバルオンの姿が見あたりませんが……。〉
〈ああ、コバルオンならセッカシティーにいると思うわ♪〉
〈手分けして情報収集をしているんだよ〜。〉
〈そうなんですか……。〉
〈たぶんコバルオンから聞いていると思うけど、[ブラックストーン]を狙っている集団がいるのよ。〉
〈[ブラックストーン]が?〉
「うん。今のところ無事みたいだけどね。」
〈……なら安心ですね。〉
〈うん♪ 立ち話するのもあれだし、先に進みましょ♪!〉

ユウキ達は一時的にビリジオンを旅に加えて、ネジ山に入っていった。

………

AM9:30 ネジ山洞窟内部

「やっぱり洞窟の中でも寒いなー。」
〈そうね。ところでジャローダは大丈夫なの?〉
〈うん。なんとかね〜。〉
〈ジャローダさんは寒がりなんですね。私も苦手ですけど。〉
〈草タイプっていうのもあるかもしれないな。〉
〈ってことはビリジオンも草タイプなのね♪〉
〈はい。あと格闘タイプも持ってます。〉
「そうなんだね。」

ユウキ達が洞窟内を進んでいると、

「おう、この時期に通るとは珍しいな。」

作業員が話しかけてきた。

「はい。旅をしてるんです。」
「そうなのか。どうだ、せっかくだからワシとバトルしていくか?」
「バトルですか?」
〈バトル〜?じゃあ、僕にやらせて〜。〉
〈体をあっためるのね。〉
〈うん。〉
「じゃあ、お願いします。」
〈お手並み拝見ですね。〉
「よし、これでもおじちゃんはここで一番強いよ!ドテッコツ!」
「僕もいきますよ、ジャローダ!」
〈仕事か?〉〈うん!〉
「まずは[かわらわり]だ!」
〈おう!〉

ドテッコツは技をだした。

「ジャローダ、くるよ![リーフブレード]で迎え撃って!」
〈うん!〉

ジャローダはリーフブレードで対抗した。相性は普通だったが威力で勝ったため、ドテッコツが飛ばされた。

「兄ちゃん、なかなかやるね。」
「こうみえて結構戦闘経験ありますから。ジャローダ、続けて[リーフストーム]!」
〈うん。これでFinishだね。〉

そう言い、大量の葉を飛ばした。
技は命中し、戦闘不能となった。

「兄ちゃん、強いな。だがこのポケモンの対処方法は知らないだろう!仕事だ!」

そう言い作業員は二匹目のポケモンを出した。

〈僕の番だね?〉
「珍しいだろ?この地方には生息しない……」
「リオル、ですよね。」
〈ってことは別の地方にしかいないのね♪?〉
〈そうよ。〉
「どこで手に入れたのか知りませんが、ジャローダ、もう大丈夫?〉
〈うん。十分暖まったよ〜。〉
「よし、なら僕もいきますよ、エーフィー、お願い!」
〈ええ、まかせて!〉
「兄ちゃんも珍しいポケモン持ってるなー。リオル、[はっけい]!」
〈うん!〉
「エーフィー、[サイコキネンシス]!」
〈ええ、わかったわ!〉
〈えっ、エスパータイプ!?〉

技は命中しあっという間に決着がついた。

「兄ちゃん、ありがとな。いい運動になったぞ。」
「こちらこそ。あと、セッカシティーに出る出口を教えていただけますか?」
「おう、おじちゃんについてきな。」
「ありがとうございます。」
〈エーフィーさんも強いですね。〉
〈ええ、こう見えても私はみんなの中で一番戦闘経験があるからね。〉
〈エーフィーはユウキとは10年以上の付き合いらしいからな。〉
〈そうなんですか。〉

ユウキ達は作業員に連れれて出口を目指した。


@ ( 2013/03/22(金) 01:14 )