第3章 新たな仲間と摩天楼の攻防
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AM11:10 ヒウンシティージム前

「ブラック、こっちは終わったよ!」
「ベル!こいつ強いよ。僕だけじゃあ、やられそうだ。」
〈ブラック、僕、もう……限界だよ……。〉

ブラックは一人、プラズマ団リーダー、ゲーチスと戦っていた。既に他の手持ち3体は戦闘不能になっていて、パートナーのジャノビーも立っているだけでもつらそうだ。

「ブラック、ありがとう。あとは私達とユウキくんのポケモンで何とかするから!」
〈俺が来たからもう安心だ。〉
〈フタチマル、君はそんな体でよく言えるわね?〉
〈これ以上闘うと本当に倒れるわよ♪〉
〈だからここは俺達に任せろ!フタチマル!〉
「フタチマル、戻って!〉
〈言うこと聞きそうにないね………エーフィー、サイコキネンシスで止めておいて。〉

ユウキは冷静に判断する。

〈ええ。わるいけど、大人しくしてて。〉
〈!?〉
「エーフィー、ありがと。」
〈構わないわ。さあ、私達もいくわよ!〉
〈うん。でも相手はサザンドラか……。厄介だな……。よし!ジャローダと、スワンナは逆鱗と冷凍ビームのスタンバイをしてて。〉
〈うん♪〉
〈わかったよ〜、ユウキ。〉

ユウキは自分のメンバーに指示を出す。

〈コジョンドはサザンドラの気を引いて!エーフィーは僕が出した電磁波をサイコキネンシスでコントロールして!〉
〈ああ。俺がおとりになって、ユウキ達が動きを止めて、ジャローダ達で一気に攻めるんだな!〉
〈わかったわ。ユウキ、お願い!〉
〈そういうこと。それが今回の作戦だよ!じゃあ、いくよ!!〉
〈〈〈〈うん!!〉〉〉〉
「どうやら野生のポケモンまで加勢してるみたいですね。サザンドラ!」
〈……………〉

サザンドラは何も喋らない。
この間にベルはフタチマルを戻していた。

〈よし!まずは俺からだ。[マッハパンチ]!〉

コジョンドはサザンドラに技を当てる。その間にユウキ達が、

〈僕達もいくよ![電磁波]!〉
〈ええ。[サイコキネンシス]!〉

エーフィーは電磁波を操り、確実にサザンドラに命中させた。

「野生とはいえ、なかなかやりますね。」
〈何回言わせるのよ♪〉
〈僕達はトレーナーのポケモンだよ!〉
〈よし!当たったね。ジャローダはフルパワーで[逆鱗]。混乱したらさっき渡したキーの実を使って攻撃を継続して!スワンナは素早い動きで相手を翻弄しつつ[冷凍ビーム]!エーフィーはスワンナの援護、[冷凍ビーム]のスピードを増加させて!コジョンドは全力で[飛び膝蹴り]!〉

ユウキはそれぞれに細かい指示を出した。

「すごい……これがユウキ君の本気の実力………。」
〈先輩達、すごい……。〉
「「こんなにすごい連携技初めて見た………」」

それぞれが感想を述べた。

「!! これはさすがにマズいですね。見くびっていまし……」

ゲーチスが言い終えるまでに数えきれない回数の攻撃が命中していた。

「……た。サザンドラ、こちらも[りゅう……] !!」

指示を出す前にサザンドラは倒れた。

「!!ゲーチス様のポケモンがやられた!?」
「僕のポケモンじゃあ、全く歯が立たなかったのに…」

「…………やられてしまいましたね。そのポケモン達に免じてポケモンを返してあげましょう。ただし、今度会ったときはそうはいきませんよ! 撤収!!


プラズマ団はモンスターボールの山を置いて立ち去った。

「あっ、また逃げられた。なんて逃げ足の速い奴らだ……。」

気がついたら周りに人だかりが出来ていた。

…………



…………

PM3:50ヒウンシティーポケモンセンター

ポケモンの数が多かったため、全員のポケモンを回復させるのにかなりの時間がかかった。

この日の事件も無事に解決した。
そして今は宿泊施設の部屋にいる。

「ブラックに君達も今日はありがとう。なんか話が大きくなっちゃったけど……」
「いやいや、僕だけじゃあ、やられてたよ。全部ユウキ君達のおかげだよ。」
「うん。 えっ、そういえばブラック。」
「何?」
「このポケモンは回復させないの?」

このポケモンとはおそらくユウキの事だろう。

〈僕の事だね。ブラック、もう話してもいいよ。〉

ユウキはブラックに伝えた(筆談で。)。

「うん、わかったよ。ベル、このポケモンは僕のじゃあないんだ。」
「えっ、じゃあ誰のポケモンなの?図鑑で調べても情報出ないし………。」
「誰のポケモンでもないんだ。」
「えっ、じゃあ野生?ユウキくんのポケモン達と仲良さそうだったけど………。」
「ベル、信じられないかもしれないけど、驚かないでよ。」
「うん。でもユウキくんのポケモンはいたのになんでユウキくんはいないの?」
「実は………このポケモン自身がユウキ君なんだ。」
「えっ!?」
「無理ないよね。僕も初めて知ったときは驚いたから……」
「………」

ベルはあまりの驚きで言葉を失っていた。

「経緯を説明すると…………(4回目の説明なので省略。)………。」
「ブラックはいつ知ったの?」
「僕はカラクサタウンにいた時に知ったよ。」
「そんなに前から……じゃあ、なんで今まで黙ってたの?」
「ユウキ君に口止めされてたんだ。たぶんベルにも言おうと思ってたけど、機会がなかったから言えなかったんだと思う………。」
「そうなんだ……でもまだ信じられないわ。」
〈無理ないよね………(………疲れてるのかな………もう頭痛が………)……。〉

「ピカ」〈ブラック?〉
「ん?何?」
〈たぶん明日は元に戻ると思うんだ。さっきから頭痛がしてるから……〉

ユウキはブラックに伝えた。

「ベル、突然だけど今日はここで休もう。明日この事が証明できるから。」
「えっ、いいけど、嘘だったらただじゃ済まないわよ!」
「わかってるよ。でもこれは事実なんだ。

ベルは信じられないようだ。

〈やっぱり言わないほうがよかったかな……。〉

ユウキは伝えた事を後悔していた。

………

AM7:30 ヒウンシティーポケモンセンター

「本当ごめんなさい!」

ユウキは元に戻っていた。

「ベル、気にしないで。信じられないのが普通だから!」
「まさか本当だったなんて………やっとわかったよ。」
「信じてくれたみたいだね。 この事は誰にも言わないでよ!」

ユウキは少し強く言った。

「うん。」

「よし!信じてもらえたし、今日はジムに挑戦しようかな。」
「「切り替え速!!」」

ブラックとベルは声を揃えてツッコんだ。

@ ( 2013/03/06(水) 00:52 )